とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

天皇杯3回戦 名古屋グランパス対ヴァンラーレ八戸

 水曜日の雨はすごかった。7時のキックオフ頃には雨の気配もなかったのに、8時頃からわが家でも雷が鳴り始め、そしてすごい雨。TVの中でもすごい雨。そしてゲームが中断。やれやれどうなるんだとTVを見ていると、娘から「電車が止まっている」と電話が入る。雨で中断中のTVを切って、娘を迎えに出かけた。帰宅してから録画を観ると、案の定、ゲームは中止。8月2日に再試合ということだが、どういう形になるのだろうか。グランパス・ファンとしては当然、1点リードのまま、後半20分から再開したい。と思ってJFAのサイトを確認したら、そのような判断になっている。当然そうだよな。残り25分、このまま勝利してほしい。

 リーグ戦から中3日のグランパスは、かなりメンバーを入れ替えてきた。GKは渋谷。櫛引と酒井のCBに右SB古林、左SB内田。ようやくケガも癒えてきたようだ。小林裕紀がアンカーに入る4-1-4-1の布陣。矢田と和泉が左右のIHに入り、右SH押谷、左SH杉本。ワントップには永井が入った。矢田は今シーズン初めて見る。

 序盤、ヴァンラーレが積極的に攻めてくる。2分、左FW谷尾がドリブルからミドルシュート。8分には右FW中田のミドルシュートがバーを叩く。グランパスは15分、CHのはね返りを拾った左IH矢田のクロスにニアにCB酒井が飛び込むが、触れず。ファーサイドにいたSH押谷とCF永井のところにボールが流れるが、うまくシュートが打てないまま、DFにクリアされる。19分にはヴァンラーレのCKからCB成田がヘディングシュート。ヴァンラーレの方が積極的にシュートを打っていく。

 グランパスはパスを回すもののなかなか決定的なチャンスを作れない。サッカーは点取りゲームだということを忘れているんじゃないか。そんなイライラな状況が続く。ようやく28分、CH小林の縦パスを右IH和泉が落とし、右SH押谷とのワンツーから和泉がシュート。GK田中がナイスセーブ。しかしこのチャンスの後、ようやくグランパスがペースを掴みだす。30分、右SB古林のクロスにCF永井がヘディングシュート。わずかに左に外す。

 その後はグランパスが攻めたて、CKやFKが続く。しかしゴール前を固めるヴァンラーレ。45分、右SB古林の縦パスに左IH矢田が走り込み、クロスのこぼれを右IH和泉がゴール前に運んでいくが、シュートは打てず。アディショナルタイム1分、左SB内田のドリブルから左SH杉本がミドルシュート。前半30分過ぎ以降はグランパスが押していったが、結局、前半のうちにゴールはならず。スコアレスで折り返した。

 ヴァンラーレは後半頭に右FW中田に代えて高見を投入。3分、CH金久保がパスカットからドリブル。ミドルシュートを放つが、GK渋谷が正面でキャッチ。7分には右FW高見のクロスにCF井上がヘディングシュート。わずかにポスト左に外す。グランパスは6分、左SH杉本に代えて右SH杉森を投入。矢田を左SHに回し、押谷をFWに上げる4-4-2。そして8分、前半までCKは矢田が蹴っていたが、後半最初のCKはFW押谷が蹴ると、CF永井がドンピシャのヘディングシュート。これが決まり、ようやくグランパスが先制点を挙げた。

 12分には左SB内田のクロスにFW永井がスルー。FW押谷がシュートを放つ。さらに15分、CH和泉の縦パスから右SH杉森がスルーパス。FW永井が走り込むが、GK田中がセーブする。この頃から雨が降り始め、次第に強くなってくる。ヴァンラーレは16分、CF井上に代えて村上を投入する。18分、CH金久保のクロスに左FW谷尾がボレーシュート。しかしGK渋谷の正面。19分にはCF村上の落としから左FW谷尾がミドルシュート。しかし枠を外す。

 そして雷が鳴り始める。主審がゲームを中断して、選手にベンチへ避難するように指示。TVの中の雷の音はそれほど大きくは聞こえないが、わが家の方がすごい雷と雨。そして娘からの電話。結局、後半20分で中止。8月2日に同条件で再びゲームを始めることとなった。さすがにここからよもや負けることはないと思いたい。今度はNHKも中継しないかな。ネットで結果を確認するのを楽しみにしよう。

赤いゾンビ、青いゾンビ

 川上弘美がウェブ平凡に連載している「東京日記」からの単行本化5作目。2013年2月から16年3月まで。「あとがき」に「半分くらいは、つくりごとなのですよね?」という質問に対して、たいがい、ほんとうのことなのです」と書かれている。いや、ホント、たいがい本当のことなんだと思う。幻想的だったり、妄想的だったりするけど、だからこそ小説家だし、だからこそ川上弘美らしい。

 それで、本書を読んでいると、川上弘美は1回離婚し、でも今も家人がいるから再婚しているらしい。そして旧姓は「ヤマダ」。すると、川上は現在の姓なのだろうか、それとも前夫の姓? それから句会に行っているらしい。へぇ、小説家でも趣味で句会に参加したりするんだ。それで調べてみたら、俳人の小澤實氏と再婚したようだ。小澤氏のWikiに門下として一番に川上弘美の名前が記されているのが興味深い。それから最近は英会話も習っているらしい。これは最新の東京日記の内容。

 こうして小説家の素顔がかいま見られるのもファンには嬉しい。最新作「ぼくの死体をよろしくたのむ」も楽しかった。ぼやっと、のんびりと、次の作品も期待したい。

 

東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。

東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。

 

 

○「そのピーターラビットのにします」/と言うかわりに、/「その、へんに人くさいウザギのにします」/と言ってしまう。/もしやこれは、自分の中にある、ピーターラビットへの無意識の屈折した愛憎の発露か!?/今後、ミッフィー・キティ・スヌーピー・某ランドのネズミ・くまモン等々に対する屈折をうっかり発露しないよう、厳重に注意することと、心に期する(P12)

○原稿が進まない。/なぜなら、頭の中に「しかるべき個室」という単語が充満しているからである。/いったい何なのだろう、「しかるべき個室」。/前ぶれもなしにその言葉は、頭の中に充満しはじめたものであり、このような現象はしばしば原稿が進まない時にあらわれる。非常に、困る。(P35)

○吹き出した「過去の記憶」のせいで、一晩中悪夢にうなされる。/とても小さくてかゆそうなものや、とても大きくて黒々としたものや、とても四角くてピカピカ光っているものや、とても柔らかくてくさいものなどが、入れ替わり立ち替わり、あらわれる。/寝不足で、ぼんやり。かかってきた電話に、「はい、ヤマダです」と答えてしまう。/ヤマダは、旧姓。ものすごく久しぶりに「ヤマダ」という名前を発音したので、ちょっとなつかしくて、「はい、ヤマダです」と、電話を切ってからも、何回か、こっそり言ってみる。ヤマダとして生きていた28年間の過去が、ふたたびゆらゆらとたちのぼってくる。/あう、と言って、あわてて仕事に戻る。(P95)

○夢を見る。/頭だけしかない人が、地面に立っている(頭だけなので、実際には地面にじかに頭が置いてあるようにみえる)。/「どうやって歩くんですか」/と聞くと、/「歩かん。用があったら、呼びつける」/と、いばられる。(P112)

○K田さまの摂理によりドラクエにはげんだ日々を静かに振り返る。/作られなかった食事。/なされなかった掃除。/迫り来る締め切りを前にまったく書かれていない原稿。/入られなかった風呂。/いいかげん、K田さんに責任を負ってもらうことをやめにしなさい、という良心の声は無視して、あらためてK田さまに感謝の祈りをささげる。/この堕落した日々は、なんて安らかだったことか……。/ありがとうごぜえやす、ありがとうごぜえやす。/どうかまた一年後くらいに、ぱったり道でK田さまにお会いできますように。あおして、また堕落の日々がわたくしにお与えくだされますように。父と子と聖霊の御名によりて、アーメン。(P125)

 

J1リーグ第18節 セレッソ大阪対柏レイソル

 前節、アントラーズに敗戦して首位から滑り落ちたレイソル。ミッドウィークには1ゲーム消化が少なかったACL参加チーム同士のゲームが行われ、アントラーズ勝利して3位に転落。しかしアントラーズとの勝ち点差はわずか2。2位セレッソとの上位対決に臨んだ。対するセレッソは5月6日にレイソルに敗れて以降、公式戦11試合負けなし。J1リーグ戦も連勝を続けている。レイソルは左SHに大津が先発して、FW武富がFWクリスティアーノとコンビを組む4-4-2の布陣。左SBにはユンソキョンが先発した。対するセレッソは右SH水沼が入った以外は不動のメンバー。このゲームでも序盤から積極的に攻めていった。

 2分、右SH水沼がミドルシュートを放つと、3発連続CK。5分にはレイソルのCB中谷にプレスをかけると、CHソウザが奪い取り、左SH柿谷がドリブルからクロス。CF杉本がヘディングシュートを放つが、わずかにバーの上に外す。しかしその後はレイソルも押し返し、互角の展開が続く、21分にはFWクリスティアーノのクロスに左SH大津がオーバーヘッドキックを見せる。

 内容的には互角だが、セレッソがパスを回して攻め込んで、レイソルは守りからカウンターを狙う展開。38分、CHソウザのクロスにOH山村がヘディングシュート。わずかにバーの上。レイソルも38分、FW武富の落としからFWクリスティアーノミドルシュート。GKキムジンヒョンが正面でキャッチする。そして41分、FWクリスティアーノが右サイドからアーリークロスを入れると、FW武富がダイビングヘッド。これが決まり、レイソルが先制点を挙げた。

 さらにアディショナルタイムにはCH手塚がミドルシュート。続くCKから左SH大津がニアに走り込んでヘディングシュートを放つ。セレッソもAT3分、右SH水沼のクロスをCH山口がスルー。CHソウザがミドルシュートを放つが、枠を外した。前半は1-0。レイソルのリードで折り返した。

 後半に入ると、セレッソが攻勢をかける。左SH柿谷の落としからCF杉本がミドルシュート。GK中村航輔がナイスセーブ。2分、左SB丸橋のクロスにOH山村がヘディングシュート。しかしレイソルも反撃していく。10分、右SH伊東が横にドリブルをしてミドルシュート。GKキムジンヒョンがナイスセーブ。12分、右SH伊東のクロスをFW武富がフリック。FWクリスティアーノのシュートはポストにはね返された。後半に入っても両者、互角の展開が続く。

 先に動いたのはセレッソ。16分、右SB松田に代えて田中裕介、左SH柿谷に代えてFW澤上を投入する。杉本が左SHに下がる。するとその直後、左SB丸橋のCKからこぼれ球を左SH杉本が蹴り込むと、左SH大津に当たってゴールに転がり込む。セレッソが同点に追い付いた。その後もセレッソが攻めていく。レイソルは24分、左SH大津に代えてFWディエゴ・オリベイラを投入。武富を左SHに下げる。そして25分、CH山口から右に展開。右SH水沼のクロスにCHソウザがダイレクトシュート。これが決まり、ついにセレッソが逆転した。

 するとセレッソは山村を右CBに下げる3-6-1の布陣にして守備を固める。なるほど、山村は本来、守備の選手だった。一方、必死に反撃するレイソル。29分には右SB小池のクロスがいい感じでゴール前に入るが、走り込んだ左SH武富を右WB田中がうまく身体を入れてシュートを打たせない。レイソルは31分、左SBユンソキョンに代えて輪湖。34分、右SB小池に代えて右SHハモン・ロペスを投入する。伊東が右SBに下がった。

 32分、FWディエゴ・オリベイラのシュートは枠を捉えられず。逆に35分には右SH水沼の縦パスに左SH杉本が走り込み、クロスにCF澤上がヘディングシュート。GK中村航輔がナイスセーブ。セレッソは守備を固めつつ、カウンターを狙う。39分、CHソウザがドリブルで持ち上がって左に流し、左SH杉本の落としからソウザがミドルシュート。これもGK中村航輔がファインセーブした。一方、レイソルはなかなか有効な反撃ができない。45分には右SHハモン・ロペスのクロスが入るが、右CB山村がヘディングでクリア。セレッソは最後にはCH秋山も投入して守り切った。2-1。逆転勝利で3連勝。アントラーズが引き分けたために再び首位に立った。

 なかなか見応えにあるゲームだった。全体的にはセレッソの方が攻撃的。攻めのバリエーションがあって、FW杉本が再三決定機を掴んだが、決めきれず。前半はレイソルのカウンターによる決定力に屈した。しかし後半も粘り強く攻め続け、同点に追い付いた杉本のゴールは幸運なところもあったが、逆転後は山村をCBに下げる布陣で守り切った。お見事。ユンジョンファン采配に拍手を送りたい。このままのペースで首位という順位にプレッシャーを感じることなく戦い続けてほしい。一方のレイソルはこれで2連敗。ここで何とか踏ん張って、首位に食らいついて、リーグを盛り上げてほしい。