とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

これを機にオリンピックは国別対抗を止めたらいい。

 IOCがドーピング問題を理由にロシアの平昌オリンピックへの参加を認めない決定を下した。ちょうど名古屋でフィギュアスケートGPファイナルが開催されているということもあり、フィギュア選手、中でもメドベージェワの去就に注目が集まっている。

 「メドベージェワのいないオリンピックで金メダルを取っても価値がない」とか、「個人での出場は認めるとされているから、メドベージェワはきっと出場するはず」とか、いろいろな意見が飛び交っている。私も「メドベージェワにはぜひ出場してほしい」と思っているが、どうなるだろうか。

 ロシア選手団の出場は認めないが、ロシアの選手の出場は認めるということで、プーチン大統領も「個人参加を政権が邪魔することはない」と言っているから、多くのロシア人選手が個人で参加することを期待している。とは言っても、国の支援がなければ個人での参加は難しいだろう。IOCも個人で参加するロシア人選手に対する国の支援を認めないとまでは言ってないようだから、プーチン大統領にはぜひ、個人参加する選手への支援はこれまでどおりに行ってほしいと思う。

 これまで個人参加の選手は開会式の時には五輪旗の下で入場をしてきたが、今度のオリンピックでは、五輪旗の下でこれまでのロシア選手団のように多くのロシア人選手が入場してきたら面白い。リオ五輪では、当時、IOCから資格停止を受けていたクウェートの選手ら9名が五輪旗の下に入場をしたという。現時点でロシア以外にそうした国があるのかどうか知らないが、ロシア人も含め複数の国の選手が一緒に入場してきたら、もっと楽しい。いや、本来はすべての選手が、五輪旗の下で一緒になって入場するべきなんじゃないか。

 そして表彰式では五輪賛歌が演奏される。これまでも表彰式の時に国家に抗議する態度を示して問題となったことがあったが、どの国の選手が優勝しても常に五輪旗と五輪参加で祝われるとすれば、まさに五輪の趣旨に合っていると言える。今こそ、これを機に、国別対抗のオリンピックを止めたらいい。

 でも困るのは団体競技かな。それも、FIFAクラブワールドカップのようにクラブ対抗にすればいい。今は個人競技も国内の選考会等を経て選出された選手だけがオリンピックに出場できる仕組みになっているが、大陸別に選考会を開催し、上位の選手やクラブが出場できる仕組みにすれば、より実力が上位の選手・クラブ同士による競技となり、真の実力1位を競う大会となる。もっともそうなると各競技連盟が主催する世界選手権との違いがなくなってしまうかも。それこそが、オリンピックが国別である最大の理由かもしれない。

 だが、今や日本でも、サニブラウン(陸上)や渡嘉敷来夢(バスケットボール)、大坂なおみ(テニス)など、国際結婚により生まれた選手が多く活躍し、ベイカー茉秋(柔道)などは既に日本を代表して金メダルを取っている。今後ますますグローバル化が進むと、こうした選手はますます増えていくだろう。そもそも国籍の規定も国によって異なることから、〇〇人と言っても、必ずしも同じ条件ではない。カンボジア人としてオリンピックに出場した猫ひろしという例もある位だ。

 やはりそろそろIOCも各競技連盟と調整し、世界選手権の集大成としてのオリンピック、国別対抗ではないオリンピックに変えていくべき時期ではないか。今回のロシアへの措置はそのきっかけになるかもしれない。IOC自らがその方向へレールを切ってしまったような気もする。

プレミアリーグ第15節 アーセナル対マンチェスター・ユナイテッド

 今季アーセナルのゲームは開幕戦のレスター戦を観ただけで、それ以来、観戦していない。強豪との対戦でけっこう負けている印象だったが、第11節でマンCに敗れて以降は3連勝。しかもホームは7連勝中。ダントツ首位のマンCとは勝ち点差が開いているが、2位マンUとは勝ち点4差の4位に付ける。一方のマンUも3連勝中。お互い好調同士の対戦だ。アーセナルの布陣は3-4-3。ラカゼットをトップにサンチェスとエジルが控える。対するマンUも同じ3-4-3。ルカクの下に左FWマルシャル、右FWリンガード。ポグバとマティッチのボランチは強力だ。

 開始4分、アーセナルの右CBコシエルニから左サイドへ大きくパスを送ると、これをマンUの右WBバレンシアがカット。CHポグバとのワンツーからミドルシュートを決めて、マンUが先制点を挙げた。痛恨のミス。その後、アーセナルもパスを回して攻めるが、11分、CBムスタフィが右FWリンガードにプレッシャーをかけられると、縦パスをCFルカクに奪われ、左FWマルシャルの落としから右FWリンガードがシュート。またもDFのミスから追加点を献上する。しかもこれで足を痛めたCBムスタフィが右FWイウォビと交代。布陣も4-3-3に変更する。DFミスによる2失点は痛い。

 19分、右FWリンガードの落としから右WBバレンシアのクロスに左WBヤングがシュート。DFがブロックすると、次はCHマティッチがミドルシュート。DFがブロックする。アーセナルも20分、IHエジルのCKから右WBベジェリンがヘディングで落とし、CFラカゼットが詰める。伸ばした足にわずかに当たるが、最後はGKデヘアにはね返された。30分、IHエジルのFK。32分、サンチェスのクロスからCFラカゼットがシュート。はね返りを右FWイウォビがシュート。さらにCHジャカのミドルシュートアーセナルが攻めるが、どうしてもゴールが遠い。44分には右WBベジェリンのミドルシュートはGKデヘアがナイスセーブ。さらに左WBコラシナツのミドルシュートもGKデヘアがファインセーブ。アディショナルタイム47分には左FWサンチェスのFKをCFルカクがあわやオウンゴールのクリアミスだったが、これもGKデヘアがスーパーセーブ。デヘアの活躍で、前半を2-0で折り返した。

 しかし後半に入り4分、左FWサンチェスのクロスをIHラムジーが落として、CFラカゼットがシュート。アーセナルが1点を返した。マンUも7分、DFの縦パスをCFルカクが落とし、左FWマルシャルのスルーパスから右FWリンガードがシュート。GKチェフがよく飛び出して身体に当て、弾かれたボールはポストにはね返される。直後の7分にはCFラカゼットのクロスに右FWイウォビがシュート。またもGKデヘアがナイスセーブ。その後はアーセナルが攻める。9分、右FWイウォビがミドルシュート。10分、左FWサンチェスのクロスに右FWイウォビがヘディングシュート。11分、CHジャカの縦パスから右FWイウォビのパスにCFラカゼットがシュート。GKデヘアがセーブ。さらにはね返りを左FWサンチェスがシュートするが、GKデヘアがファインセーブ。どうしてもゴールが決まらない。GKデヘアの守りが鉄壁だ。

 すると18分、CHマティッチが自陣から縦パスを送ると、CFルカクが落として、右FWリンガードがドリブル。右サイドを駆け上がったCHポグバにパスを送ると、ポグバはCBコシエルニをかわして切れ込み、クロスにリンガードが合わせる。マンUが鮮やかな速攻から3点目を挙げた。強い!ポグバ。22分、マンUはマルシャルに代えてエレラを投入。アーセナルも25分、CHジャカに代えて右SHウェルベックを投入する。イウォビをCHに下げて、エジルがトップ下。29分、CHポグバが右WBベジェリンを踏み付けて1発退場。マンUは一人少なくなる。

 そこで31分、マンUは右FWリンガードに代えて左WBダルミアンを投入。ヤングを一列上げて5-3-1の布陣で守る。アーセナルも左WBコラシナツに代えてFWジルーを投入。コシエルニを中央にモンレアルとベジェリンの3バック。イウォビとラムジーボランチに、左WBサンチェス、右WBエジル、そしてラカゼットにウェルベック、ジルーの3トップと超攻撃的布陣で攻める。

 38分、FWウェルベックミドルシュートはDFに当たってゴールに向かうが、GKデヘアがナイスセーブ。40分、CHラムジーのクロスにFWウェルベックがヘディングシュート。43分、右WBエジルのクロスに左CBモンレアルがヘディングシュート。アディショナルタイム47分には左WBサンチェスのサイドチェンジから右WBエジルのクロスにCHラムジーボレーシュートを放つが、枠を捉えられない。最後まで攻め続けたが、タイムアップ。3-1でマンUが勝利した。

 しかしパスを回して攻めるアーセナル。堅守からカウンターでゴールを挙げるマンUと対照的でかつ面白いゲームだった。アーセナルではサンチェスとエジルが好調。だがDFラインのミスで3失点。一方、マンUルカクの調子は落ちているかも知れないが、代わりにリンガードがよく働いた。だが次節はマンチェスター・ダービー。絶好調のマンCに対してポグバが出場停止となってしまったのは大きな痛手。どんなゲームが観られるか、楽しみにしたい。

紅葉の「愛岐トンネル群」を散策

 JR中央本(西)線の高蔵寺駅と多治見駅の間は、愛知県と岐阜県を分ける山をくぐるトンネルとなっている。現在、定光寺駅と古虎渓駅の間はほぼ一直線の長いトンネル1本でつながれ、古虎渓駅を過ぎると、3本ほどのトンネルをくぐって、開けた多治見市街地に出る。この間は、切り立った谷あいを庄内川土岐川)が曲がりくねって流れており、通称「愛岐道路」と呼ばれる県道が川に沿って走っているが、かつては道路の対岸を中央本線がいくつものトンネルを抜けて通っていた。1966(昭和41)年に現在の軌道が建設され、いつしか廃線路は忘れ去られてしまった。

 しかし2005(平成17)年、地元の古老から話を聞いた有志が立ち上がり、発掘と調査を開始。2008(平成20)年に実施した見学会で予想以上の来場者が集結。以来、毎年春と秋に特別公開を実施している。この間、2016(平成28)年には登録有形文化財にも指定され、最近では毎回、1万人を超える人が集まる観光地となっている。

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 すぐ近くだが、これまで機会がなく、行ったことがなかった。それで先日、午前中で仕事が終わった日の午後、一度は行かねばと初めて足を延ばしてみた。高蔵寺駅から1駅。崖にへばりつくように作られた定光寺駅で降りると、1時間に2~3本の電車ながら、多くの人が下車する。60歳を超えた高齢者夫婦が多いが、中には若いカップルや女性のグループもいる。リュックに軽登山靴としっかりとした服装の人も多いが、運動靴があれば足りる。玉野堰堤で取水された水を玉野水力発電所まで導く導水路沿いにしばらく歩くと、崖際に梯子のように急な階段があり、堅固な鉄扉が開いている。そこを上がっていくと廃線路に着いて、保存再生委員会の方が案内をしている。入場料は100円。目の前に実物大のSLが描かれた大幕が張られ、これが3号トンネルの入り口。中は灯もなく真っ暗なので、懐中電灯があった方がいいかもしれない。また、廃線内はバラスト(砕石)が敷かれており、歩きにくいが、いったん廃線路上に上がってしまえば、あとはほぼ平坦なので、それほど疲れることはない。

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 トンネルの終端では馬蹄形に切り取られて、その先の風景が見える。それがなかなか楽しい。竹林の中を抜けると次は4号トンネル。この中ではSLの通過音と汽笛が楽しめるようになっている。そして抜けた先は大もみじ広場。大きなモミジの大木が立ち、見下ろす川の流れも壮観。この広場には水車も置かれ、奇岩があり、そしてマルシェ広場と呼ばれる売店もある。

 さらに歩くと5号トンネル。そして333mとこの区間でもっとも長い6号トンネルをくぐると行き止まり。愛知県と岐阜県との県境には深見川という支流が流れており、そこから先はまだ探索ができていないとのこと。ここまで入口から1.7km。足下が悪いので、40分位はかかるかもしれない。6号トンネルを戻ってレンガ広場まで出ると、健脚者向けコースが案内されている。エノキの巨木「山おやじ」やモミジの中の周回路を抜けて、玉野古道に至り、さらに進むと、庄内川の河原に出る。

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 帰りはトンネル下の玉野古道を歩いていくと、右手にトンネルの下をくぐる暗渠が見られる。もちろんレンガ製で、水路の中を通って反対側まで行くと、井戸のようになって、上から光が降り注ぐ。トンネル下の道は間知石積みの擁壁に苔が生えて、川側はモミジや対岸の展望、そして眼下には渓流が流れる気持ちのいい道だ。途中の河原で休憩を取るなどして約2時間。紅葉もきれいだし、何より気持ちがいい。クラブツーリストのバッチを付けた人もいたが、会社の同僚に聞くと、意外にまた行っていない人が多い。まさに灯台元暗し。ぜひ行くべきだよと勧めておいた。一応、今年の秋の特別公開は今週末3日までやっている。