とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

トゥーロン国際 準決勝 日本対メキシコ

 トゥーロン国際の準決勝。勝てば初めての決勝進出。ということだが、TV放映される画像は牧歌的で、草サッカーを観ているよう。遠目のアングルで選手の見分けも難しく、放送時間が22時からだったこともあり、眠気に襲われ、前半だけで沈没。翌朝、後半を観戦した。日本の布陣は3-4-3。旗手をトップに、岩崎と神谷の2シャドー。ワイドに右WB川井、左WB相馬が開き、ボランチは田中碧と高。CBは右から大南、岡崎、椎原。GKにはオビが入った。対するメキシコは4-1-4-1。ワントップにゴディネス。アンカーにはエスキベルが入る。

 メキシコは小柄だがテキニシャンで組織的というイメージとは違って、U-22世代の選手はいずれも身体が強い。日本がパスを回して攻めていくが、ことごとくはね返され、球際で奪い返される。15分、左IHエリック・アギーレのミドルシュートが両チームの初シュート。日本はまったくシュートが打てないまま、時間が過ぎていく。ようやく41分、メキシコのCHエスキベルのバックパスをCF旗手が奪い、ドリブルからシュート。これが日本の初シュート。メキシコも45+1分、右IHコルドバミドルシュートを放つが、DFがブロックした。前半はここで終わり。眠かったので、居眠りしている間に何かあったかもしれないが、覚えていない。

 朝になって目が覚めた。後半も日本がパスをつないで攻めていく。3分、右WB川井の縦パスを受けたCF旗手が反転からミドルシュートを放つも、GKエルナンデスがキャッチ。そして5分、右SBモソのクロスにCFゴディネスがCB大南の前に走り込み、ヘディングシュート。メキシコが先制点を挙げる。GKオビもクロスの位置に飛び出しており、これも問題だ。

 それでも後半は日本も両ワイドが積極的に高いポジションを取って攻めていく。9分には左WB相馬のドリブルからクロスにCF旗手が走り込むが、GKエルナンデスがその手前でセーブした。逆に12分、メキシコはCBゴベアのフィードに右SHイリサールが抜け出してシュート。GKオビがセーブするが、両WBが上がった後ろの守備が甘い。DFと中盤の間も空いている。日本は10分、左FW神谷に代えて小川航基を投入。小川を前に上げて、旗手がシャドーに入る。

 16分、右WB川井のクロスに右FW岩崎が走り込むが、DFがクリアする。20分、再び右WB川井が抜け出して、クロスを入れると、ファーに流れたボールを左WB相馬がミドルシュート。しかしDFに当たって、GKエルナンデスがキャッチした。逆に22分、右SBモソのクロスから左SHトーレスミドルシュート。GKオビがナイスセーブするが、ゴール前でDFの守備が甘い。25分、日本は左CB椎原を下げて田中駿汰を投入する。すると27分、中盤まで下がった左FW旗手の縦パスを右FW岩崎が落とすと、CH田中碧がミドルシュート。バーに当たったはね返りを左WB相馬がミドルシュート。これが決まり、日本が同点に追い付いた。

 メキシコは28分、CFゴディネスに代えてエドアルド・アギーレ、左IHエリック・アギーレに代えてロペスを投入。さらに34分、41分にも選手を入れ替える。日本も34分、右WB川井を長沼に交代する。そして41分、メキシコが再び右サイドから仕掛けると、右SBモソのクロスにCFエドアルド・アギーレがヘディングシュート。先制点とほぼ同じ形で失点する。しかし44分、日本も中盤まで下がった左FW旗手のフィードにCF小川が抜け出し、GKとの一対一を冷静に対応。同点シュートを流し込んだ。45+3分にはメキシコ右サイドからのFKにGKオビが飛び出して、はね返せないミス。これを拾ったCBゴベアがミドルシュートを放つが、ライン上でCH田中碧がクリア。2-2。90分では勝負付かず、PK戦になった。

 日本は、CF小川、左WB相馬、右FW岩崎とゴールを重ね、メキシコの4人目、右SBモソがポストに当てる失敗。日本は4人目、右WB長沼、そして5人目FW旗手も決めて、5-4でPK戦に勝利。トゥーロン国際初めての決勝進出を決めた。相手はここまで4試合13ゴール無失点で勝ち上がってきたブラジル。結果はどうあれ、いい経験を重ねてほしい。

 それにしても、東京五輪を狙うこの年代だが、この大会には堂安も三好も安倍も冨安も板倉も中山も杉岡も上田も、そして久保も出ていない。GK大迫もいる。3人のオーバーエイジ枠も考えると、この大会に出場した選手のうち何人が東京五輪に出場できるだろうか。コパ・アメリカに選出されなかった選手はこの経験を糧にチームに戻って、彼らを少しでも脅かし、追い抜くべく精進を重ねてほしい。まずは次のブラジル戦だ。恥ずかしくないゲームを期待したい。

女子ワールドカップ グループD アルゼンチン対日本

 いよいよなでしこのワールドカップが始まった。先に行われたグループD、イングランドスコットランドは2-1でイングランドが順当に勝利した。日本もグループ内でFIFAランキングが最下位のアルゼンチン相手に、確実に勝利を挙げておくべきところ。当然勝てると思っていた。

 日本はFWに横山と菅澤の二人を並べる4-4-2の布陣。両ワイドには右SH中島、左SH長谷川。ボランチに若い杉田と三浦を並べて、DFは右から右SB清水、CB熊谷、CB南、左SB鮫島。GKには山下が入った。対するアルゼンチンは4-1-4-1。長身180㎝のハイメスをワントップに、ゲームメーカーのバニーニは左SH。若い20歳のベニテスがアンカーに入る。GKは35歳ベテランのコレア。

 序盤から日本がパスをつないで攻めていく。9分、CH三浦から右に流して、右SH中島がミドルシュート。10分、右SB清水のクロスをFW菅澤がヘディングで折り返すが、走り込んだ右SH中島には届かず。GKコレアがセーブする。守備ブロックを固めるアルゼンチンに対して日本は、FW横山や左SH長谷川が強引にドリブル突破を図るが、アルゼンチンの寄せが早く、抜け出せない。だがアルゼンチンもボールを奪っても、CFハイメスまで下がって守備をしており、前線には誰もいない状況。25分、右SB清水のクロスのクリアをCH杉田が拾い、CH三浦に落としてミドルシュート。だが枠を捉えられない。その後も日本が攻めるが、アルゼンチンの堅い守りを崩しきれない。そのまま前半はスコアレスで折り返した。

 後半も同様、日本が圧倒的に攻めていく。5分にはFW横山が中盤深い位置からのロングシュート。GKコレアが弾いたところをFW菅澤が詰めてシュートを放つが、枠を外した。さらに11分、右SH中島の縦パスをFW横山がさらに縦につないで、右SB清水が走り込む。クロスをCH杉田がスルー。左SH長谷川がシュートを放つが、わずかにポストの左。なかなか攻め切れない。シュートが決まらない。

 すると11分、日本はFW横山に代えて岩渕を投入。アルゼンチンも19分、右IHブラボに代えてサンタナ。だいぶ疲れが見える。だが20分、アルゼンチンは左SHバニーニがドリブルで運ぶと、CFハイネスにパス。DFがしっかり対応してシュートを打たせないが、この時間、初めてアルゼンチンが攻勢に出ると、その後は他の選手も積極的に上がって攻めてくる。28分には右SHボンセグンドがミドルシュート

 日本は29分、右SH中島に代えて左SH遠藤を投入。長谷川をトップ下、岩渕を右SHに回す。だがアルゼンチンの寄せが早く、なかなかパスが回っていかない。日本に焦りからのミスが多くなる。アルゼンチンは32分、右SHボンセグンドに代えてラロケット。34分にはCHベニテスを下げて右IHコロネルを投入。マジョルガがアンカーに下がる。すると37分、左SHバニーニのパスからCFハイメスがシュート。38分には途中出場の右SHラロケットがミドルシュートを放つ。さらに41分には中盤左サイドからのFKを右IHコロネルがヘディングシュート。20分以降、アルゼンチンの方がシュートが多い。

 日本も44分、ようやくCH杉田がミドルシュート。どうしてもゴールが遠い日本は45分、FW菅澤に代えて代表初出場の宝田を投入する。45+3分、右SH岩渕のドリブル突破からFW宝田がPA手前でパスを受けるが、アルゼンチンDFの寄せに仕掛けられない。そしてタイムアップ。日本のグループリーグ初戦は痛恨のスコアレスドローに終わった。

 アルゼンチンにしてみればしてやったり。集中した守りで最後まで日本の攻撃を自由にさせず、狙い通りの勝ち点1を手に入れた。一方、日本は最悪のスタート。先発した選手は若い両ボランチも含めて、いいプレーを見せていたと思うが、最後の崩しのアイデアがなかった。敢えて言えば、左SH長谷川やFW横山に気負いがあったか? しかしこれで日本は次のスコットランド戦、絶対に勝利が必要となった。そのためにもゴールがほしい。そしてシュートがほしい。追い込まれてこそなでしこの底力を見せてほしい。

2000万円問題「高齢社会における資産形成・管理」について

 金融庁が公表した金融審議会「市場ワーキング・グループ」による報告書「高齢社会における資産形成・管理」が大きな問題になっている。そもそも「国が国民に対して公的年金以外の資産運用を勧めるということ自体が問題ではないか」と思っていたが、ようやく時間を作って、報告書本文を読んでみた。付属文書を除けばわずか35ページの報告書なので、パラパラと眺める分には5分とかからない。

 それはさておき、そもそも本報告書では、結論に当たる「3.考えられる対応」で、(1)個々人にとっての資産の形成・管理での心構え、(2)金融サービスのあり方、(3)環境整備、の3つの項目が立てられている。一言で言えば、(1)高齢期のことを考えて、公的年金に頼るだけでなく、個人的な貯蓄・資産形成にも努めてね。(2)金融業者は顧客本位の金融サービス提供に努めてね、(3)上記のために行政等は制度の充実やリテラシー向上への取組と高齢者に対する保護とアドバイスに努めてね、と書かれている。言ってみれば至極真っ当なことだ。

 今回問題となっているのは、「2.基本的な視点及び考え方」の中で、「毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万円~2,000万円になる」という一文だ。話題になっているグラフはその前の「1.現状整理(高齢社会を取り巻く環境変化)」の中の「(2)収入・支出の状況」に掲載されている。

 実は、私が定年前に受講したセミナーでも、某信託銀行の方からほぼ同様のグラフが示されたことがある。その時は「実は不足する分は孫などへ支出する交際費なので、必要最低限の生活は公的年金で可能です」と説明をされていた記憶がある。いや、そもそも貯蓄があるから収入以上に支出するのであって、貯蓄がなければ支出はできない。だから平均的な収入と支出の状況としてこのグラフを提示されても、現在の高齢者の消費性向を説明するだけであり、将来を見越したものでは全くない。そういう意味では、これをもって公的年金制度の不具合を言うのは間違いであり、野党側にも「本当に報告書を読んでいるのですか」と言って然るべきな気もする。

 それよりもたったこれだけのこと、上記の「3.考えられる対応」を提言するだけのために、総勢21名の委員と13の省庁・団体の担当者を集めて、ワーキング・グループを設置していることの方にびっくりする。たぶんこれらの委員の多くは、事務局が用意した報告書案に対して、多少の意見を言ったくらいのことだろうし、単に事務局でまとめるだけでは箔がつかないということでもあるのだろうが、それにしても大仰な・・・。

 国民の個人的な資産形成に対して、金融庁が果たす役割がどれほどあるのか、よくわからないが、平成30年9月に公表された「金融行政のこれまでの実践と今後の方針」では、「金融行政の目的」として、「安定的な資産形成と企業・経済の持続的成長を通じた国民の厚生の増大」が掲げられている。せいぜいその目的に向かってがんばってください。今回の報告書が今後どのように活用され、金融行政に生かされていくのかよくわからないけど。あ、麻生さんが「正式な報告書として受け取らない」と言っている。じゃ、結局、報告書やワーキング・グループ自体が無駄だったということになるのかな。それも何だか違っているような気がする。