とんま天狗は雲の上

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公務員給与が支える経済

 愛知県が、トヨタ自動車を始めとする企業の経営状況の悪化による税収の落ち込みのために、来年度予算について厳しい予算編成を強いられており、職員給与も削減する方向で検討している。公務員の給与は、人事院が民間給与実態調査に基づき毎年勧告を行い、それに従って決定される。これには公務員に労働基本権が制約されている代償の意味がある。
 国家公務員については、税収減や歳出増に関わらず、歳出超過を抑制するため、給与を削減するという話はあまり聞かれないが、これは労働基本権との関係がよく考慮されているのだろう。しかし地方自治体の場合は、地方債の発行に総務省許可が必要なこともあってか、給与削減が比較的安易に行われているように思う。
 もちろん、市民の側から見れば、収入が減れば給与も減るのは当たり前という気もするが、労働基本権との関係ではどう整理されているのだろう。
 この数年の市町村合併によって、多くの町村役場が廃止され、その多くは支所に格下げされた。その結果、その地域で勤務する公務員の数が減少し、少なからず地域経済にマイナスの影響をもたらした。行政改革の観点から、公務員定数の削減が各自治体で進められているが、効率化をもたらす程度であればいいが、度を超すと地域消費の冷え込みにつながりかねない。
 内需は企業支出が大きいとは言いながら、結局は国民の消費額の総量であり、それは国民の所得額の合計に左右される。連合がこの経済状況の中でベースアップを要求している理由として内需への貢献を上げるのは意味がある。労働者の給与が経済にもたらす影響は少なくない。
 企業が社員の給与を削減するのはやむを得ない事情もあるだろうが、公務員給与の削減は民間給与の削減にも影響する可能性があるし、地域経済全体の低迷にもつながりかねない。税収の増減などによる会計収支だけで決定してはいけない側面があると思う。