とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

サッカー批評44

 今号の特集は「サッカー監督の取扱説明書」。今シーズンも大分のシャムスカ監督、柏の高橋監督、千葉のミラー監督と相次いで途中で退任・交代をしている。一方で、8年にも及ぶ長期政権を続ける西野監督やJ2陥落から指揮を執り始め今シーズン絶好調の広島をリードするペトロビッチ監督など、成功する監督もいる。好調な両監督に加え、柏レイソルネルシーニョ監督やベガルタ仙台の手倉森監督、JFL町田ゼルビアの戸塚監督、また柱谷幸一氏や望月重良氏などの監督経験者や名将と言われる監督の下で活躍した選手など、多くの関係者にインタビューを行っている。またファーガソンベンゲルモウリーニョカペッロなどを取り上げ批評する海外リーグの監督事情レポートやGMから見た監督の選び方、契約事情などあらゆる面から監督の実態と哲学を明らかにする。「取扱説明書」というタイトルにふさわしいわかりやすく興味深い特集だ。
 個人的には、「数字で読み解く『J』で成功する外国人監督 失敗する外国人監督」が興味深かった。ストイコビッチは成功する監督条件を満たしているのか。なるほど、今後さらに期待しよう。
 楽しかったのは小田嶋隆氏の「サッカー番組向上委員会」。TV局をサッカーのポジションに当てはめてしまうというのはなんと奇想天外な着目。TBSをホペイロに置いたのは大ナットク!もっと勉強しなさい。Jリーグ羽生事務局長へのインタビューを伝えるミナミカンタ氏の「Jリーグが考える『開かれたJリーグ』のあり方」はイマイチ。個人的な思いはともかくとして引き出せなければ何にもならないと思うのは僕だけ?
 ということで今号も楽しさ満載。次号の「ワールドカップ考察」にも大いに期待したい。

●サッカーは勝つための手段ではなく、勝ち負けの前にサッカーをプレーする理由があるはずだ。なぜ、サッカーをするのか。どういうサッカーをして勝ちたいのか。どんなサッカーに愛情を注げるのか。それが哲学の根本だと思う。/愛のあるサッカーが強いとはかぎらないが、愛のある監督は強い。哲学はそれぞれだが、強い愛はファンの共感を呼ぶことも多い。/名監督とはサッカーを愛し、サッカーに愛される人だ。(P009)
●受信料不払いによる年棒ダウンにもめげず、卓越した放送技術と無尽蔵の運動量(放送量)で中継を司るダイナモNHK。同局の堅実無比な展開から、地味ながら効果的な攻め上がりを見せるUHF局のオーバーラップ、「24時間マラソン」の異名を持つ走力と体力を誇る日テレの動き出し、そしてフィニッシュは放送点数ランキングを独走するスカパーの得点力を生かす。こう見るとなかなか機能しそうな布陣と戦術。テレビ界にこそ、ベストメンバー規定が必要なのかもしれない。(P104)