とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

勝ちたいチームと勝たねばならないチームの差

 U-17ワールドカップ・ナイジェリア大会が始まった。ブラジル、メキシコにスイスという厳しいグループに入った日本。初戦ブラジルとのゲームは悔やむに悔やみきれない敗戦となった。
 序盤こそ日本もボールを回し、4分には柴崎のシュートも見られたが、最初様子見だったブラジルが次第にペースを早め、圧倒する展開になる。7分、コウチーニョのFKからヘッドで逸らしたボールがバーに当たる。9分にもネイマールがフリーでシュート。その後も一方的に攻め立てられる。
 18分にはFKからロマーリオ・レイリア。日本も21分、宇佐見から杉本を経て高木がシュートするが、26分、ギジェルメのミドルが豪快にゴールに突き刺さる。その後もブラジル・ペースで進むが、35分、右サイドを上がった松原からのクロスを高木がミドルシュートを放ち、ネットに同点ゴールを突き刺す。
 個人毎の巧さ、早さでは圧倒的にブラジルが際立ち、前半は特に広木の左サイドを何度も破られ危ない場面を作られた。しかし、同点に追いついてからは、日本の集団で囲みパスを回すサッカーが功を奏し始め、37分、掘米から高木のシュート。43分には堀米。45分にも宇佐見のパスから堀米がクロスするも惜しくもGKにセーブされた。
 後半に入ってあせるブラジルに対し、組織で戦う日本サッカーが優勢に展開し始め、7分宇佐見、15分柴崎と惜しい場面を作る。しかし強さを見せたのはブラジル。22分、中盤でコウチーニョから一瞬のスルーパスネイマールが素早く飛び出し、DFを置き去りにGKをかわしてゴールを流し込む。
 その後も圧力を強めるブラジル。FKをGK嘉味田が弾いたところをギジェルメにシュートされるが、ゴール内で弾き返した。そして39分、松原からのフィードに抜け出た杉本がGKをよく見てシュート。再び同点に追いつく。
 勝たなければとあせるブラジルに対して、日本は44分、松原のクロスをGKが跳ね返したところを高木がダイレクトでロングシュート。惜しくもGKに弾き出される。さらにロスタイムには柴崎、宇佐見とシュートを放つが、ブラジルも必死で盛り返し、カウンターを狙う。そして残り1分を切ってからの長いFKをウェリントンが蹴ると、山なりのボールに嘉味田が痛恨のパンチング・ミス。手に当たったボールがゴールネットに向かって転がり込んだ。
 優勝候補と言われるブラジル相手にあわやマイアミの奇跡の再来かという見事な戦いだった。宇佐見のボールキープに加え、高木や堀米、柴崎らも十分ブラジルに通用する攻撃力を見せつけた。また内田、岡田のCBコンビも再三オフサイドをとるなど終始落ち着いた守備を見せた。しかし負けてしまった。
 この差が日本とブラジルの差。いや、ヨーロッパも含めサッカー先進国と発展途上の日本との差だ。ゲーム内容では互角に追いついても、どうしても最後で勝利を、勝ち点を掴みきれない差。前回W杯オーストラリア戦の3失点にも通底する何か。
 しかし彼らには、この差をU-17W杯という場で経験できた。アトランタ五輪でもW杯ドイツ大会でもその後は予選敗退で終わっている。今回はぜひこの経験を直後のゲームに生かしてほしい。次はスイス戦。裏番組のリバプールvsマンUの録画をはずしてU-17に録画を変更した。奮起する姿を見せてくれ。