とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

近頃の離婚事情から見るお気楽人生 これで貧困や格差と言われても・・・

 先日、いつもの鍼灸院に行って治療を受けていたところ、隣のベッドに入った患者さんが、「ストレスが原因だな」と先生に言われて、「実は2ヶ月前に離婚したんですよ。」と語り出した。
 聞くともなしに聞いたところによると、患者さんは33歳で父が経営する店舗で一緒に働く自営業者の男性。妻とはできちゃった婚で結婚し、小一と年中の二人の子どもは母親が引き取った。日頃から口喧嘩はあったが、妻から突然、離婚届を突き出され、数日口論の末、判を押したとのこと。ただし浮気もDVもなくあえて言えば性格の不一致による協議離婚で慰謝料の支払いはなし。養育費も月3万でいいと言われ応じた。
 彼曰く、「あいつは36歳にもなって、金銭感覚もなく、突発的で、現実的に考えることができない。親に『帰ってこい』と言われて別れたけど、両親は年金暮らしだし、これからどうやって生活していくつもりなのか。」と未だ憤っている。離婚した後も、メールのやり取りはあるそうで、彼の側は未練たっぷり、妻側も親の手前、復縁できないようだと言う。
 しかし今どきの離婚ってこんな軽いものだったの? ちょっとビックリ。
 「そりゃ奥さんが悪い。復縁したらまた繰り返すだけだぞ。親が悪いな。」と先生も男性側に立って調子を合わせた言葉を口にしていたが、帰った後、妻が言うには、「私は夫の側も悪いと思う。奥さんは離婚届を突き出しつつも、断ってほしかった。愛していると言ってほしかったと思う。」と言う。うーん、いつもお前は女性の味方だな。
 「でも、お互い、親から独立できていないのが原因だと思うな。もちろん女性の親もよくないけど、36歳にもなったら親が何を言おうと頼らず生きていかなくては。男性も女性の悪口を言う前に、子どもの将来を考えれば、どう振る舞うべきかわかるはず。仮にも血を分けた子どもが母子だけの境遇でちゃんと成長できるかどうか。たとえ妻やその両親がどう言おうが、きちんと説得しようとした形跡が見られない。同居する親に甘えている。」
 確かに。離婚後の妻の生活を考えれば、別居してでも離婚すべきじゃなかった。自分だって今後一人で生きていけるのか。人生に甘えている。一人で生きていける、実の子どもが不幸になろうが気にせず生きていける。今の日本にはそんなふうに思わせる空気が漂っている。だから簡単に離婚するのだろう。だから簡単にセックスして、できちゃった結婚して、離婚するんだろう。
 それでいいのか。そんな人間が貧困に落ち込んで助けてくれと言っている。親や他人は自分を助けて当たり前。そんなお気楽な人生の果てに、今の貧困や格差社会があるのだとしたら、何となく釈然としない。みんな自立して生きようよ。その上での不幸なら同情もするけれど、甘えた人生のつけを社会に払わせるのは違っているんじゃないか。真面目な人間が損をする社会になっていないか。