とんま天狗は雲の上

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貧困ビジネスはいけないか? 無料低額宿泊所をうまく活用する方法

 先週、ある講演会で、ホームレスの居住施設について聞いた。首都圏ではいくつかのNPOがホームレス収容施設を設置し生活支援をしているという。入居者は生活保護から支給される住宅扶助費(首都圏53,700円)を住宅費として収め、さらに生活費として3〜7万円を徴収し食事等が支給するというもの。中には首都圏で100ヶ所以上の施設を運営し、4000人以上が入居している組織もあるという。
 貧困ビジネスという言葉を最近よく聞く。Wikipediaによれば、代表的な貧困ビジネスとして、人材派遣会社、ネットカフェ、保証人ビジネスと並んで、無料低額宿泊所が挙げられている。「社会福祉法第2条第3項に規定されている第2種社会福祉事業の第8号にある『生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業』という記述に基づき設置される施設」とのこと。
 私が聞いた施設はまさにこれのようだ。Wikiによれば、施設内では暴力的な扱いが横行し、生活保護費を搾取しているという。確かに53,700円の家賃は広さを考えれば狭いし、生活保護費の大半を吸い上げられれば、施設を出て自立することは難しそうだ。
 しかし、こうした施設がなければ路上ホームレスはもっと増え、生存すら危ぶまれる状況になるだろう。公的な収容施設がもっとあればいいが、増設しているという話はあまり聞かない。
 もっともこうしたビジネスも生活保護予算と連動するから、際限なく拡大するわけではない。昨今のように生活保護支給額が急増すると、事業者に流れる費用に対して厳しい目を向けられるのは必定だ。無料低額宿泊所に入居する場合は、住宅扶助費の上限を低く抑えるとか、居住する住宅の規模に応じた住宅扶助費にするといった対応が考えられる。
 ネットカフェにしろ保証人ビジネスにしろ、必要に応じて生まれてきた事業であることは間違いない。それを一律、貧困ビジネスと呼んで汚名を浴びせ叩くだけでは、公的なセーフティネットが十分ない現状ではかえって不幸を招くだけのような気がする。うまく活かしつつ、効果的・効率的なセーフティネットを創ることを考えなくてはいけないだろう。

【参考】
「23mmの銃口から飛び出す弾丸は:貧困ビジネス、続報メモ」
「貧困ビジネス研究会」