とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

メッシは如何にして神の子となったか。

 バルセロナが延長の末、メッシの決勝ゴールでクラブワールドカップの2009年勝者となった。準決勝も交代出場後ファーストタッチで決勝点を挙げ、メッシはこの大会で神の子になった。
 準決勝では開始早々の5分に、後方からのフィードにロハスが抜け出し、アトランテが先制点を挙げる。その後は専ら守備に徹するアトランテの前に攻めあぐねるバルセロナ。24分、アウベスのクロスからイブラヒモビッチ。25分、イエニスタ。31分、トゥーレ・ヤヤ。33分、イブラヒモビッチとシュートを重ねるも、なかなかゴールを挙げられない。35分、ようやくシャビのCKにトゥーレがヘッドで合わせ、ブスケッツがシュート。同点に追い付く。
 後半はビデオを見ていないので何とも言えないが、バルセロナが追加点を挙げるのは時間の問題という展開の中で、交代出場後すぐのメッシの決勝点。確かにボールタッチやゴールへの嗅覚はすごいが、メッシだけで挙げた得点でもなく、取り上げすぎという気がしていた。
 そして、エストゥディアンテスとの決勝戦もまた、バルセロナはあわや敗戦というギリギリまで追い込まれた。
 準決勝で太股を痛めたイエニスタが欠場したこのゲーム。代わりにケイタを起用し、イブラヒモビッチのトップにアンリが左へ開き、メッシがシャビと連携しつつ、右からトップ下までをカバーしてゲームを作ろうとするが、ベロン率いるエストゥディアンテスも堅守速攻でバルセロナの攻撃陣をペナルティエリアまで寄せ付けず、シュートさえ打たせない展開。イニエスタの不在でボールが回らず、イブラヒモビッチがボールを受けに下がってきては、パスの出所を探す。
 22分にはメッシがシミュレーションでイエローカード。咄嗟に足を引っ込めたベロン。このゲームのMIPはベロンだったと言っても過言ではない。27分にはCKからのこぼれ球を胸トラップ一発でアンリをかわし、シュートを放つ。
 バルセロナは25分過ぎからメッシが中央に入り、左右にイブラヒモビッチとアンリが開くが、功を奏しない。32分、メッシのヘディングによるスルーパスもシャビにつながらず、シュートも打てない。
 そして37分、ディアスからのクロスをプジョルアビダルの間に飛び込んだボセッリがうまく身体を抑えてヘッド。エストゥディアンテスが先制をしてしまう。43分にはメッシのFKからイブラヒモビッチがオーバーヘッドを見せるがヒットせず。この日のイブラヒモビッチはことごとくはずして彼の日ではなかった。
 後半に入り、ケイタをペドロに代えて、バルセロナが攻撃モードに入る。メッシはトップ下の中盤に下がり、再度イブラヒモビッチが中央に陣取るも、エストゥディアンテスのクレバーな守りが立ちはだかる。3分、メッシからイブラヒモビッチ。7分、アンリからイブラヒモビッチ。9分、アウベスからイブラヒモビッチ。14分にはシャビからのパスを受けたメッシがドリブル。イブラヒモビッチ、アンリとつなぐがペドロに届かない。
 その後もピケを前線に挙げ、ペドロにチャンスが巡ってくるが、シュートはGKにセーブされる。もうこれまでと思ったロスタイム、メッシからのパスがDFに当たってピケの元へ。ピケがヘッドでつなぎ、ペドロがふわっとしたヘッドでGKをかわしてようやく同点に追いついた。起死回生のゴールだ。
 そして延長戦まではベロンの体力が保たなかった。延長前半12分、ジェフレンからのクロスをまたもやイブラヒモビッチがはずしてしまう。そして栄光はメッシの下に訪れた。延長後半5分、シャビがメッシとのパス交換から右サイドのアウベスに送り、クロスに長躯走り込んだメッシが胸で決勝ゴールを押し込んだ。あそこでゴール前まで走り込むことがさすがはメッシではあるが、それにしてもメッシである。誰でもできたがメッシがやった。終了間際にはベロンのFKにデサバトが合わせたが、惜しくもゴールを外れ、タイムアップ。
 結局、メッシのために準備されたメッシのための大会だった。2009年はメッシの年と言われ続けるのだろう。メッシはこうして神の子になった。2010年は神はメッシの下に微笑むのだろうか。