とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

負けたのは仕方ない つまらないのが問題

 日曜日の昼に地デジTVとビデオが届き、アンテナ工事を行ったこともあり、代表戦の録画をなかなか見ることができなかった。結果を知って見る気が失せたというのもある。
 優勝がかかった韓国戦ということで、またいつものメンバーに戻って、いつもの退屈なサッカーが繰り返された。韓国も同程度に迫力がなく、前半は見るべきところもない凡戦。
 23分に闘莉王をカン・ミンスが倒し、遠藤がPKを決めて得点が動いた。その後、大久保がケガで香川に代わり、ドリブルを仕掛けるようになって少し動きが出たかなと思ったら、33分、キム・ボギュンを内田が倒し、イ・ドングクがPK返しで同点に追い付かれる。少し厳しい判定とは思ったが、足が掛かっていたのは紛れもない事実で仕方ない。PKの後は審判もバランスを取ろうとするから気を付けなければいけない。内田にそうした危機管理ができなかったということ。
 しかしその後のパス回しには大いに不満。36分にはボールポゼッションを競うかのように延々とパスを回し続けたが、結局最後は韓国DFに跳ね返されて終わる。アルゼンチンのようにゴールにつながることはなかった。当たり前。攻めていないから。
 39分、イ・スンリョルのシュートは中澤にあたって楢崎の上を越えていったもので、ゴール自体は仕方ない。問題は日本に同様なシュートが見られなかったこと。40分の闘莉王のレッドカードも、立ち上がるときに顔を蹴っており、韓国選手(イ・ビョンソク?)のオーバーアクションという意見もあるが、その後の闘莉王の苦笑いを見ると、どこか投げやりで気持ちが入っていない印象。心のルーズさが気になる。
 後半、香川を下げて岩政を投入。岩政がようやく出場機会を与えられたことを喜びたい。雑なプレーもあったが、とにかくもっと経験値を上げてほしい。
 しかし香川がいなくなってますます攻撃力が低下。逆に韓国は後半開始直後から気力全開。1分、スルーパスに抜け出したイ・ドングクのシュートはバーに当たり難を逃れた。そして6分にはバランスを取るかのようなレッドカードでキム・ジョンウが退場。考えてみればどちらもグランパス関係者じゃないか。片やかつての、片や新加入の。
 これで10対10となって、また日本がボールポゼッションを上げる。13分、遠藤とのパス交換から内田がサイドに走り込みクロス。しかし長友、岡崎がうまく合わせられず、ゴールならず。16分には長友からのクロスを憲剛、玉田が合わせられない。
 と25分、キム・ボギョンイ・グノとのワンツーで抜け出し、キム・ジェソンがシュート。3点目を上げる。その後は36分に、憲剛のスルーパスに抜けだした内田がシュートを放つ場面が見られた位で、あとは韓国にうまく時間を使われ3−1でゲームセット。W杯に出ない中国に3-0で敗れた韓国にも敗れるていたらくに「岡田更迭」の厳しい横断幕が掲げられた。
 足元のシュートパスばかりが回る日本に対して、韓国は選手が汗をかき、長いレンジでのパスが通るダイナミックな展開をめざす。うまくつながらない場面も多かったが、可能性を感じさせる。対する日本は、大木コーチを迎え、ショートパスを中心にボールポゼッションを重視したちんまりとしたサッカーを目指してきたが、ゴールに近づくに従ってパススピードが上がり、最後は選手の技術がパスに追い付かず、シュートを決められない。この戦術のどこに可能性を感じればいいのか。
 試合後のインタビューで、「良かった点は新しい選手のプレイを見られたこと。課題はこれまでもわかっていたことを再認識したので、その修正に努めたい」という旨のコメントをしたが、何が課題かを明言・説明することはなかった。仮に課題を最終局面のパス精度や技術力と考えているのなら、あと数ヶ月で技術力が数段進歩するとは考えられない。
 W杯までの短い期間で改善することができ、それが改善されれば強豪国と互角で戦うことが可能になる課題とは何か? 相手国の手前、口にできないのなら、せめて今後の戦いぶりや選手選考でその意図を示してほしい。現状はますます行き詰まり感を感じただけ。職場でも普段はサッカーを見ない同僚が「日本代表はダメだ。つまらん。もう二度と見ない」と声を上げていた。岡田監督も交えた協議の末、監督続投を決めた協会幹部自身も、一般国民と同様の行き詰まり感を感じているのではないか。日本サッカーもつまらないところに来てしまった。