とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

日本代表バラバラ崩壊 残り1ヶ月の過ごし方

 昨日の日韓戦は衝撃的だった。彼我の戦力や負け方はもちろんだが、岡田監督の気持ち、メンタリティが心配だ。この期に及んで「このまま続けていいんですか」と犬飼会長に尋ねたという報道を聞いて・・・。
 確かにショックの残る敗戦だった。立ち上がりはいつものやたらと走り回る日本代表がいた。しかしいつまでもブロックの外側で走り回りパスを回すばかりの日本に対して、パク・チソンが「サッカーとは点を取るゲームなんだよ」と言わんばかりに、厳しいチェックからルーズボールを奪ってゴールへ一直線。そのまま先制ゴールを突き刺した。
 これでますます日本は腰が引けてしまった。後ろでパスを回すばかりで勝負できない。14分にはCKからキム・ジョンウがヘディング・シュート。それでもこの頃からようやく戦う選手が出始める。21分、ルーズボールを拾った長谷部から大久保がシュート。22分には俊輔のスルーパスに長谷部が走り込みクロスを上げると、大久保がオーバーヘッド。
 大久保、長友、本田、長谷部。戦っていたのはこの4人。40分前に見られた長友とパクの競り合いは見応えがあった。逃げていたのは俊輔、遠藤。韓国の気迫に気持ち負け。しかし逆の見方をすれば、今までのやり方でゲームを作ろうとしていたメンバーと、これまでのやり方を無視して暴走した者たちと言えるかもしれない。しかし明らかに劣勢の中では気持ちを前面に出した頑張りが必要だ。
 後半に入り韓国がゲームをコントロールし出す。無理をせず、マイボールになればボールをキープし、日本ボールの時はきちっと守備を固める。15分、中澤のロングフィードに岡崎がシュート。18分、長友のクロスが跳ね返ったところを本田がシュート。ここでようやく岡田監督は絶不調の俊輔に見切りを付け、森本投入。しかし森本も最初はうまく乗り切れない印象。
 ようやく身体も温まった32分。スローインのボールを抜けだし反転して強烈なシュートを放つがGKの正面。その直後には韓国のカウンターを浴びて、キム・ナミルに惜しいループシュートをくらう。楢崎ファインセーブ。41分、パク・チュヨンのスルーパスイ・スンヨルが抜け出しシュートを放てば、日本も43分、森本の落としから憲剛がクロスを上げるが、岡崎、長谷部にうまく合わない。
 そして45分。カウンターからゴール正面に鋭く出されたスルーパスパク・チュヨンが走り込むと楢崎が痛恨のPK。2-0で日本代表は木っ端微塵に撃破された。
 完敗。前への速さ、ボール際の強さ、気持ち。全ての面で韓国に劣っていた。韓国は後半勝利に向けてゲームをコントロールしたが、それがなければ何点入っていたことか。しかも攻撃はバラバラ。本田の単独プレー。長友の単独突破。大久保の気迫の単騎突入。そして気迫でボールを奪った後も回りはどう動いたらいいかわからず呆然と見守るばかり。
 アジア仕様の俊輔、遠藤だけではオランダ、デンマーク等に勝てないことは明らか。しかし本田や森本を生かした戦術は未開発。加えて闘莉王、内田が負傷すると、とたんにバックアップ・メンバーで無難な戦い方しかできない。オプションがない。ここに至って「このまま続けてもいいんでしょうか」とは、「世界仕様の戦術、戦い方はわかりません」と言っているに等しい。それなら2月の東アジア選手権時点で監督辞退すればよかったが、その時は協会も準備ができていなかったのだと思う。無策な協会をバックにした続行発言。そして今回も同じ。
 岡田監督の気持ちはよくわかる。日本サッカー界の一員として、協会からの負託を引き受けざるを得ない責任感。日本サッカーの未来という重すぎる責任の前に、逃げたいが逃げられない立場。
 ここまで解体、崩壊した日本代表を抱えて、岡田監督は残り1ヶ月をいかに戦っていくのか。モチベーションをいかに保つか。結果をどう位置付けて未来の日本サッカーにつなげていくのか。W杯の結果がいかなるものであっても、そこに未来につながる意味を見出し、アピールしていく必要がある。今、岡田監督はこうした作業を強いられている。いかに負けるか。それこそがこれから1ヶ月間の日本代表の、岡田監督の最大の課題である。