とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

70年W杯決勝 ブラジルvsイタリア戦

 W杯が間近になって、NHKで過去の名勝負をまるごと振り返る「FIFAワールドカップ 記憶に残る名勝負」の放送が始まった。ペレが3度目のワールドカップを手にした70年のメキシコ大会は、高い打点のヘディング・シュートを決めたペレが味方選手に抱きつき、片手を高く上げるシーンがよく放映される。
 1970年と言えば、五輪メキシコ大会で日本が銅メダルを取ってから2年後のことで、私もその影響でサッカーを始めた一人だ。当時、ダイヤモンドサッカーの放送は始まっていたと思うが、この有名なシーンが見られた決勝戦を90分フルで見たことはなかったので、興味を持って見始めた。なお、画像が思いの外悪く、選手名がよくわからないので、以下の記述の中で間違いがあれば許してほしい。
 最終スコアが4-1であり、かつペレが大活躍をしたゲームという言われ方をしてきたので、ブラジルの一方的なゲームかと思っていたが、意外なほどイタリアがいいゲームをしていたので驚いた。
 とは言っても、基本的にはブラジル・ペースである。当時の緩い中盤の中、ブラジルの選手たちが自由にボールを回し、のんびりとドリブルをして前線まで詰め寄る。イタリアはペナルティエリア付近に守備ブロックを引き、うまくボールを奪うとそこから一気呵成に駆け上がりミドルシュートを放つ。3分、11分とリーバがミドルシュートを放ち、16分にはマッツォーラのFKにまたもやリーバがヘディング・シュート。
 ブラジルも元名古屋グランパス・トーレスの父親、カルロス・アルベルトが再三駆け上がりクロスを上げ、また中盤でリベリーノ、ジェルソン、トスタン、ジャイルジーニョらがドリブルを仕掛けてFKを得てはゴールを狙う。
 そして18分、左サイド、リベリーノからのクロスにペレがヘディング・シュートを決め、先制点を挙げる。有名なゴールシーンだ。
 しかしこれでイタリアがへこむことはなかった。32分にはマッツォーラがワンツーからシュートを放つと、37分にはブラジルが中盤で華麗にヒールでボールを回そうとしたところをボニンセーニャがかっさらいシュート。前半のうちに同点に追い付いた。
 後半に入っても同じような展開。ブラジルがボールポゼッション高く攻め上がり、イタリアがカウンターを狙う。3分、カルロス・アルベルトのクロスにペレ。4分にはボニンセーニャのミドルシュート。7分、リベリーノのFK。9分、ボニンセーニャからドメンジーニがシュート。しかし次第に、準決勝で延長戦までの死闘を戦ったイタリアに疲れが見え始め、ブラジルの仕掛けにファールでしか止められないようになってくる。
 15分、リベリーノのFKはバーに弾かれる。そして21分、ジェルソンがゴール前でジャイルジーニョとスイッチしてボールを受け渡しシュート。ついに勝ち越し点を挙げた。さらに26分にはFKからペレが落として、ジャイルジーニョがシュート。追加点を挙げると後はブラジルが圧倒。28分、ジャイルジーニョのテクニックにジェルソンがシュート。35分、ペレがスルーパスからシュート。そして42分、ジャイルジーニョ、ペレと渡ってカルロス・アルベルトが切れ味鋭く地を這うシュートをネットに突き刺し4点目を挙げた。
 再三のオーバーラップ、ゴール前に上がってのシュートはまるで現在のブラジル代表のマイコンのよう。数多いW杯のゴールの中でも最高のゴールの一つだと思う。
 既に、86年のアルゼンチンの準々決勝イングランド戦を始め、4試合が放映された。暇を見つつ順に見ていこうと思う。また新しい発見があるかもしれない。70年決勝戦は思った以上に面白いゲームだった。