とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

日本 気迫の勝利! 未来へつながる集中力

 日本がカメルーンに勝利した。3連敗を覚悟していただけに、取り敢えずの勝利を喜ぼう。たとえカメルーンが本来のカメルーンでなく、日本の勝利も薄氷を踏むようなカツカツの勝利だったとしても。
 両チーム、立ち上がりから慎重な試合運びに徹する。日本は、アンカーに入った阿部がよく効いて、本田、大久保、松井の3トップも前線からよく動いていた。8分、エトーのスルーパスにウェボが走り込み、クロスを流そうとするが、DFがよくクリアする。DF陣の集中力も高い。エトーが右SHに入ったカメルーンは前線の動きが少なく、有効なパスが出せずにイライラする。それだけ集中した守りだった。
 それにしてもボールがよく伸びる。川島が再三目測を誤る場面が見られ、肝を冷やす。33分、駒野のドリブルから松井がクロスを上げるが、ゴール前を通り過ぎる。返しの大久保のクロスも長い。カメルーンも35分、焦れたエトーがドリブルで前進するが、長友、川島で抑える。38分のエノーのシュートは川島がセーブ。そして39分、松井が右サイドで大きく切り返すと、長すぎるクロスがファーサイドにいた本田につながり、落ちついたトラップから左足インサイドでシュート。先制点を挙げた。
 後半に入り、カメルーンがプレッシャーを強める。5分、エトーが右サイド・ライン際を突破しクロスを上げると、シュポモティングがシュート。危ない。カメルーンは18分、アンカーのマティブに代えてエマナを入れると、日本も23分、松井に代えて岡崎を入れる。27分、遠藤、本田とつなぎ、スルーパスを入れると岡崎が走り込み、ファールをもらう。
 日本も全体的に疲労感が出て中盤が空き始めるが、カメルーンもパスがうまくつながらず攻撃が停滞する。ソングがいないことが大きい。エトーがイライラを募らせる。日本は集中した守備に、時間を使ってマリーシアを発揮する。このあたり前回ドイツ大会の教訓か。
 30分、カメルーンが前線にイドリス、中盤にジェレミーを入れて、いよいよ最後の反撃を試みる。日本も疲れの見える大久保に代えて矢野を入れる。37分、長谷部のミドルシュートはGKに弾かれた。岡崎が詰めるがポストに当たってゴールならず。41分、ムビアのミドルシュートがバーを叩くと、拾ったエマナのシュートを川島が抑える。逆に日本は42分、本田がミドルシュートを放つが、GKに跳ね返される。
 日本の中盤が空いてDFラインに吸収され、カメルーンは遠目からボールを放り込んでは、跳ね返りを拾ってまた放り込む。矢野や本田が跳ね返りのボールを追いかけるが、人数が少なく簡単にかわされてはまたゴール前へ。
 43分、ジェレミーのクロスにウェボがシュート。川島がファインセーブ。日本のCBもよくボールを跳ね返しているが、DFが下がりすぎ。どうして日本の勝ちゲームの終盤はいつもこういう展開になるのか。42分、長谷部を稲本に代えて、ますますゴール前勝負に。ひやひやドキドキのロスタイム4分もかろうじて経過し、日本海外W杯初勝利を手に入れた。
 全く楽勝ではなかった。カメルーンの内紛に助けられたラッキーな1勝だった。しかし集中力は見事だった。日本の実力とメンタル・コントロールがうまくいけば、この結果はあり得るものだった。もちろんサッカーは実力だけで勝利が得られるわけではない。だが運も実力のうち。
 なまじ本番前にフォーメーションで迷走し、敗戦を重ねたことがこの日の勝利につながったのかもしれない。だからといって次戦、次々戦もラッキーが重なるとは限らない。しかしラッキーが重なることもありうる。全ての状況に対応し、集中して戦いに臨むことが、2014年への日本の未来サッカーへつながっていく。結果は問題ではない。残り1週間余りの過ごし方こそが、我々が注目しているものだ。