デンマーク戦、どういうゲームになるかと不安もあったが、立ち上がりからデンマークがこれまでのポジションを崩して攻撃的に出てきた。3分にはシモン・ポールセンがトマソンとのワンツーからシュートを狙えば、8分にはCKにクロルドルップがシュート。
前からプレスをかけ、ワイドに広がってパスを回すデンマークに対して、最初、日本の守備も混乱したが、積極的に声を掛け合い、守備を修正すると、そこからは落ち着いてゲームをコントロールできるようになってきた。
13分、大久保のクロスに松井が走り込み、右足アウトサイドで流しこむような松井らしいシュート。14分には松井のスルーパスから長谷部がシュートするが惜しくも枠を外す。しかしその直後、駒野と阿部の間を突いてトマソンがフリーになってシュートを打たれる。危ない！
デンマークの攻撃はトマソンがうまくマークを外して自由にDFの間に入りこみ、かなり嫌らしい。しかし17分、本田の中距離のFKがゲームの展開を大きく変えた。
その前のFKでは遠藤が遅延行為でイエローカードをもらっていただけに嫌な感じもあったが、最初右へ飛び出したボールは無回転のまま、壁の上を越えたあたりから大きく左にスライドして落ち始め、GKの手先をかすめてゴールに飛び込んだ。先制ゴール。やはりこれが大きかった。
22分には、クリスチャン・ポールセンのふわりとしたクロスにトマソンが走り込みシュートを放つが、川島がファインセーブ。そして30分、先ほどよりも近い位置でのFK。本田ではやや近いんじゃないかと思っていたら、遠藤がGKの虚を突いて右サイドに曲がって落ちるFK。貴重な追加点を挙げる。
その後、32分には本田のクロスに遠藤がダイビングヘッド。41分には大久保がオーバーヘッド。44分、FKに合わせたC.ポールセンのシュートは川島がセーブ。45分には松井のスルーパスに駒野が上がってシュート放つが追加点はならず前半が終わった。
後半3分、FKを蹴った遠藤のボールは思った以上に伸びてGKソーレンセンがかろうじて弾いたところを闘莉王が詰めるが、余裕がなくシュートは大きく外れていった。しかし後半開始前からかなり気合を入れて積極的に出てきたデンマーク。6分には、ロメダールのクロスがトマソンのヘッドをかすめてカレンケアがシュートするが、枠を外してくれた。7分にはヤコブセンのクロスにベントナーがヘッドでつないでトマソンがシュート。この時間帯は危なかった。
前がかりに出るデンマークに対して、9分長友がドリブルからシュートを放つと、12分にはカウンターから松井、本田、遠藤と短いパスをつないでデンマークDFを翻弄。しかし余裕があり過ぎたか、最後は余計なパスでオフサイド。残念。だが慢心が逆転を呼ばないか、少し不安。
デンマークも、10分にCBクロルドルップを外して前線にラーセン、18分には早くも3人目の交代でエリクセンを投入し、パワープレーの構えを見せる。14分、ヤコブ・ポールセンがミドルシュート。23分、エリクセンがミドルシュート。25分には駒野のミスからトマソンがボールを奪いシュートを打つが中澤が撥ね返すと、ヤコブ・ポールセンのシュートにも中澤が立ちはだかる。再三ロングボールを外から放り込まれるが、中澤が何度もヘディングで撥ね返す。
28分には本田のサイドチェンジに長友がミドルシュート。29分、運動量の落ちた松井に代わって岡崎投入。しかし34分、ラーセンのシュートがバーを叩くと、35分、パワープレーを続けるデンマークに対して、ペナルティエリア内で長谷部がアッガーを倒し、PKを献上。トマソンのPKは川島がいったんは止めたものの、撥ね返りをトマソンに詰められ1点を献上してしまう。
その後もデンマークの攻撃は続く。本田がカウンターからCKを得るが、バテバテで動きが遅い。「代えてやれよ」と思ったが、その直後の42分、大久保から出たスルーパスに本田が走り込み、DFをかわして岡崎にパス。ごっつぁんゴールを決めて3点目。デンマークを突き放し勝利を確信。最後は今野、稲本を投入し、4分間のロスタイムをしのぎ切って決勝トーナメント進出を決めた。
W杯前の俊輔にこだわり、負けを重ねた2月以降のゲームを観ている限りは、とてもここまで来れるとは思っても見なかった。勝利後のインタビューで岡田監督が「最後までこれまでの中心選手の復調を待っていたが、そうした選手の方がW杯の精神的な重圧をより強く感じており、復調してこないので直前で決断した」と言っていたが、決断できてよかった。特に阿部の起用が大きい。
さて次はパラグアイ戦。しっかり守って攻めることができれば勝利も十分可能だ。ひょっとするとベスト4も夢ではない。期待がふくらむ。がんばれ！ニッポン！
