とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

ブラジルの憂鬱 ポルトガルの希望

 G組最終戦。第2戦の北朝鮮の無謀な戦いで結果がほぼ決まってしまった。初の全国生中継で将軍様の命令一過、攻撃的に出たのだろうが、これが却って惨敗を呼び0-7。彼らは無事に北朝鮮に帰れるのだろうか。
 逆にポルトガルでこれで楽になって、ブラジル戦引き分け以上で決勝トーナメント進出。負けても余程の大敗でなければOKということで、守備的な布陣にC.ロナウドのワントップでカウンターに勝機を見出す作戦。一方のブラジルは既に決勝トーナメント進出を決めて、負けてもOK。前試合退場でカカがいない中、どうやってチャンスを作っていくかが課題。そして結果はポルトガルの思惑どおり。C.ロナウドの活用に希望が見えてきたポルトガルとカカがいないと変化が与えられないブラジル。この先の決勝トーナメントを戦う上で、いろいろな意味で示唆と教訓に富む一戦となった。
 前半序盤、ブラジルが攻勢に出る。ジュリオ・バチスタがよくゲームをコントロールし、ニウマールの飛び出しも可能性を見せた。D.アウベスはエラーノを上回る積極性を見せ、ドゥンガにアピールした。しかし得点にならない。
 逆にポルトガルがC.ロナウドが前線でボールを捌き、カウンターの起点として、原動力としてブラジル守備陣に脅威を与える。15分、コエントランが左サイドを駆け上がりクロスを上げれば、18分にもロナウドからのパスにコエントランが駆け上がり、クロスにチアゴがボレー。
 ブラジルも中央の4人のブロックは固く、ボールを回してくさびのパスからチャンスを作ろうとするが、読みのよいポルトガルの守備もなかなか簡単には開かない。そしてもう一つ、ゲームを殺したのが審判のイエローカード。フアンのハンドは仕方ないとして、それをアピールしたポルトガルのドゥーダにもイエロー。チアゴのシミュレーションとペペのファールはいいとして、ルイス・ファビアーノやコエントランへのカードは厳しすぎる。
 30分、D.アウベスのクロスにニウマールのシュートはGKを弾き、バーを叩く。39分、マイコンのクロスにルイス・ファビアーノがヘッドを叩きつけるが、撥ね返りはバーを越えていった。一瞬の隙を突くクロスは怖いが、中で合わないと厳しい。42分、フェリペ・メロがイエローをもらうと、前半終了間際の時間というのにさっさと選手交代。「気をつけろよ」と言い合っているシーンが映し出された。
 後半も同じような展開。3分、今度はコエントランのパスにロナウドが左サイドを駆け上がるが、クロスは上げられず。ブラジルもマイコンからD.アウベスのクロスにL.ファビアーノがヘッドで狙うが、GKが弾いて枠の外へ。
 ポルトガルは9分、ドゥーダに代えてシモン・サブローザを入れてから、C.ロナウドのサポートができるようになり連携が良くなった。13分、シモンがミドルシュートを放つと、15分にはC.ロナウドが右サイドを駆け上がり、付いていったルシオがボールを蹴り出すとゴール前に転がりメイレレスがシュート。わずかにGKが触ってゴールは外れた。18分にはペペに代えてペドロ・メンデスを投入。C.ロナウドのワントップに4-1-4-1の布陣で守備がさらに安定し、ロナウドの強烈な個性を支えることができるようになる。
 32分、コエントランからのパスにシモンがドリブル、クロスをC.ロナウドがシュート。いい形が作れるようになる。ただしC.ロナウドはFKが不発。いつものように打てば宇宙開発。修正して下目を狙えば地面でワンバウンド。南アフリカにおける無回転シュートの打ち方を本田に習わねば。
 ゲームは、終盤ブラジルが多少のチャンスの場面もあったが、このまま終わりたい雰囲気が蔓延してタイムアップ。ポルトガルにしてみれば予定どおりのドローで、決勝トーナメント進出を決めた。
 ブラジルは個々の能力も高いし組織もしっかりしている。マイコンルイス・ファビアーノ、D.アウベス、ルシオ、フアン、ミッシェル・バストス、ジウベルト・シウバフェリペ・メロ。みんな特別な才能と技術を持っているが、C.ロナウドのような突き抜けた才能には今一つ。このゲーム、カカに代わって出たジュリオ・バチスタもいいものを持っているがカカには及ばない。ロビーニョに代わったニウマールも面白いがロビーニョほどではない。フェリペ・メロに代わったジョズエやラミレスは小粒で大仕事ができるタイプではない。いいチームだけど特別なものがない。このままのいいチームのままで本当に勝ち上がっていけるのか。オランダを倒せるのか。やや心配。
 ポルトガルは大分いい形になってきた。次のスペインとのイベリア半島対決が楽しみだ。

 ここで勝手なベスト4予想後半。オランダとブラジルのベスト8進出は予定どおりとして、ブラジルがL.ファビアーノやルイス・フェリペらの累積でオランダ戦に出場できず、2-1でオランダが勝ち抜け。
 一方、日本の入ったグループは、パラグアイとスペインが勝ち抜いて、スペインが4強進出。日本は頑張るが試合巧者のパラグアイの前に1-0と先制されて、森本の惜しいシュートも決まらずベスト16で敗退。スペインはF.トーレスの活躍でポルトガルパラグアイに競り勝つと見た。
 ああ、楽しいな。今日から決勝トーナメントだ。見逃せないゲームが続く。