とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

よくやった日本代表 ブラジルへつながるステップ 次期監督は誰?

 パラグアイ戦は激闘の末、延長戦まで闘ってドロー。PK戦でベスト8進出を逃した。その頑張りは日本全土を感動させたし、長谷部の言った「Jリーグをよろしく」という言葉は、彼らの日本サッカーを思う気持ちがよく表れており感動した。長谷部自身はドイツ・ウォルフスブルクでプレーしているというのに。
 しかし守り勝つ戦いもここまでが限度だろう。ゴールに迫った数では圧倒的にパラグアイが優勢だったし、判定で言えばパラグアイの勝ち。ドローというのは最善の結果と言うべきだ。
 立ち上がり、1分大久保、3分駒野とミドルシュートを放ち、気炎を上げる。しかし次第にお互い中盤でパスを回すもののゴール前には迫ることができない我慢較べの時間帯になっていく。その中で20分、日本ゴールの右前、密集の中でパラグアイが細かくパスをつなぎ、バリオスが反転からシュート。GK川島がよく防いだが、弾いたボールは中澤がクリアした。
 日本も22分、本田のポストプレーから大久保が抜け出し、ボールがDFに当たって中央にこぼれたところを松井がミドルシュート。バーに当たる。この時間帯、全体的にはパラグアイ・ペース。29分にはCKからサンタクルスがシュートするが、わずかにゴールを外れる。よかった。40分、松井から遠藤、長谷部とつないで松井が抜け出しクロス、本田がシュートするがボールはゴール左に逸れていった。惜しい。
 阿部をアンカーに置き、中澤・闘莉王がゴール前に立ちはだかる日本の守備は、パラグアイの変幻自在な攻撃陣の前でも有効に機能し、チャンスの芽を摘み、シュートをはねかえす。
 後半5分、ボランチオルティゴサバリオスとのワンツーからゴール前に飛び込むがDFがクリア。9分には松井のクロスがDFに弾かれたところを長友がミドルシュート。しかしここから次第にパラグアイに押され出す。11分、ベラからベニテスがシュートを放つも中澤がブロック。13分にもオルティゴサのスルーパスベニテスがクロスを送るが、またも中澤。14分にはスローインから左SBモレルのクロスをリベロスがヘッド。ここでパラグアイベニテスに代えて攻撃的で運動量のあるバルデスを投入、一気に試合を決めにかかる。遠藤や阿部、長谷部が必死のマーク。
 18分、遠藤のCKに闘莉王がヘディングシュートを狙うが、191cmサンタクルスが競ってゴールならず。日本は20分に松井を岡崎に交代。26分、駒野から岡崎のスルーパスに岡崎が走り込むが届かず。36分、阿部に代えて憲剛投入。日本の攻撃にタメと視野の広さが加わる。37分、憲剛のパスに長友がクロスを上げ、ゴール前で大久保とGKが競るがゴールならず。ロスタイムには遠藤のFKを中澤が落とすが、闘莉王にわずかに届かない。
 両者必死の闘い。延長戦突入。2分、CKに岡崎が飛び込むが枠を外れる。3分、パラグアイが疲れの見えるサンタクルスに代えて同じく高さと巧さを備えるカルドソを投入。4分、モレルのクロスにバリオスがヘッド。川島、好セーブ。8分、モレルのクロスにバルデスがシュート。川島が弾く。その後もシュートの嵐をDF陣が身体を張ってはねかえす。11分にはモレルのクロスに途中交代のバレットがシュート。体勢を崩して枠を外れた。
 しかし延長戦はパラグアイが圧倒。特に駒野の右サイドを破られ、疲れが頂点に至る。ここで日本は大久保に替えて玉田。確かに攻撃的にはありうる交代だが、駒野を交代させてもよかった。守れる本職のSBが駒野と長友しかいない日本。
 延長後半も4分、モレルのFKにバレットのヘッド。6分にもモレルのCKからダシルバがヘディングシュート。8分、遠藤のFKがファーの闘莉王に合うが、ヘディングシュートは正確性を欠いた。11分、本田が中盤ライン際でポストとなって、玉田が岡崎とのパス交換から左サイドを抜けだし、ゴール前に迫る。シュートかと思ったが中央に待つ憲剛にパス。ところがこれが合わない。遠藤が再度右サイドから放り込むが、岡崎のヘッドはゴールを逸れていった。
 両者死闘の末のタイムアップ。ベスト8進出はPK戦に委ねられる。
 ベレット、飛ぶ方向は合っていたが惜しくも○。遠藤、コロコロPKではなく気持ちのこもったシュートが右サイドを襲う○。バリオス、これを止めたかった。指先をわずかに外れて○。長谷部は落ちついて○。リベロス○。駒野、思い切り蹴ったボールはバーに当たりはね返される×。バルデス○。本田、落ちついて○。カルドソ、確実に○。PK戦、5-3でパラグアイがベスト8進出を決めた。涙を流す駒野、長谷部、阿部らの姿が心を打つ。なぐさめる遠藤、本田・・・。
 よくやった。心底そう思う。岡田監督の最大の功績は、選手23人の心を一つにまとめてゲームに向かわせたところだ。しかしその代償もあった。それは俊輔中心のメンバー選考にならざるを得なかったこと。俊輔・遠藤中心でチーム作りをし、メンバーを選考した。しかし直前の代表合宿で、それでは世界と闘えないことに気づいた。そして試験的に採用した阿部アンカーシステムがイングランド戦に通用したことを唯一のよすがに、W杯全4戦を戦い抜いた。それしかなかった。松井が疲れたら岡崎投入。さらに大久保に替えて玉田。それ以外には信頼できるシステムと選手はいなかった。
 駒野に代えて今野という選択肢もあったが、このゲームではこれは選択せず、憲剛を起用した。しかし、W杯前にもっと試しておくべきだった。オランダ戦で俊輔を起用する愚を犯したが、幸いにも失点せず、しかも俊輔起用の愚を悟り、以後、交代出場させることはなかった。
 こう考えると、今回の岡田ジャパンの戦績の多くは、運に救われたと言える。監督自身、カメルーン戦の勝利が一番うれしかったと言っているが、たぶんそうだろう。監督にすれば一か八かの布陣が成功し、幸運なことに勝利を得た。かなりの部分、幸運に支配された得点によって。そしてオランダ戦、俊輔起用の失策がさらなる失点を呼ぶことなく最小失点でゲームを終えた。デンマーク戦は絶対勝利が必要のデンマークが攻守のバランスを崩して日本に勝利が訪れた。そしてパラグアイ戦の日本中の後押し。
 娘に言わせると「もっと早く負ければ良かった」「なんで?」と聞くと、「岡田監督に続投してほしくないから」。そうだ。そのとおりだ。
 今回の成績で「岡田監督続投」の声が上がるかもしれない。岡田監督は必ずや受諾することはないと信じている。本人がこの成績は多分に幸運に後押しされたものであり、今後これを上回る成績を上げさせる能力がないことを自覚しているはずだから。岡田監督を早く楽にさせてあげるためにも、後任監督を少しでも早く決定し公表してほしいと思う。既に候補はリストアップされているはずだから。そうですよね?原さん?