とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

2010年の王者にふさわしい スペイン・サッカー最高

 ゲーム前、勝者は7:3でスペイン。オランダが勝つとすれば、ドイツやポルトガルのように守りに入らず、積極的に攻撃に出て、中盤でスペインのミスを拾ってのカウンター、スナイデルからのパスにロッベンらが走り込んで先制点を挙げた場合だろうと思っていた。そして期待したようにオランダが前線から積極的にプレスをかけ、スペインを窮屈に追い込む。
 5分、ビジャのFKにセルヒオ・ラモスがヘッドで合わせる。GKナイスセーブ。ここで先制点を挙げられないスペインに運がないかもと思った。シャビから再三スルーパスが出るが、うまく合わない。8分、中盤でのパスミスをカイトが拾ってシュート。オランダもカシージャスの前にゴールを上げるのは簡単ではない。
 11分、ペドロのスルーパスがビジャ、イニエスタとわたり、セルヒオ・ラモスがドリブル、シュート。12分、シャビ・アロンソのクロスをビジャがボレーシュートするが惜しくもサイドネット。「スペインのボール・ポゼッションが高い」と実況アナウンサーが言うが、実際はオランダ・ペース。厳しいチェックにスペインは思うようにボールが回らない。
 そんな中、両チームにイエローカードが累積していく。ファンペルシー、プジョルファンボメルセルヒオ・ラモス。デヨングがシャビ・アロンソを跳び蹴り。あわやレッドカード。カシージャスプジョルが交錯。スペインが外に出したボールをオランダが返すと、バウンドがはずんであわやゴール。オランダがCKをGKに返す。拍手。
 37分、ロッベンがCKを横に流すと、ファンペルシー(多分)のクロスにマタイセンが空振り。ロスタイム、ファンペルシーのポストプレーロッベンが抜け出しシュート。カシージャスが弾き返す。
 前半はオランダ・ペース。しかしお互い最後のところはきっちりと守り、ファールも多く、どちらかといえば重いゲーム。後半も同じような展開。
 3分、シャビのCKにプジョルがヘッドで飛び込むが、ボールは横に逸れてカプデビラに合わない。13分、ロッベンのFKにハイティンガが合わせるがオフサイド。16分、カイトのクロスにファンペルシー。そして17分、スナイデルのスルーパスロッベンが走り込んでGKと一対一。しかしシュートはカシージャスがファインセーブ。
 スペインは15分、ペドロに代えてヘスス・ナバスを投入。これで右サイドの高い位置に起点ができるようになり、スペインが次第に攻勢を取り出す。24分、ナバスのクロスがハイティンガに当たってビジャの前にこぼれシュート。オランダも25分、カイトに代えてエリアを投入。ナバスのサイドを何とか押さえようとするが、大して効果は見られない。
 31分、ナバスのクロスにビジャ。32分にはシャビのスルーパスにビジャがシュート。さらにシャビのCKにラモスが完全フリーからヘディング・シュート。しかし枠を外れる。36分にはイニエスタがドリブルで切れ込むが、スナイデルがチェック。シュートならず。38分、クリアボールをファンペルシーがヘッドで前に流すと、ロッベンが抜け出してドリブル。プジョルが手で押さえたが、ファールにならずGKに抑え込まれる。
 41分には、シャビ・アロンソに代えてセスク・ファブリガスを投入。オランダの中盤が空いて、いよいよスペインのパスが回り出すが、オランダの最終ラインも固い。このまま延長戦。
 延長に入ってもスペイン・ペース。2分、イニエスタからセスク、シャビと華麗なパス回し。5分、イニエスタのスルーパスにセスクが抜け出しGKと一対一。ステレケンブルフ、好セーブ。6分、CKにマタイセン、ヘッド。7分、シャビ、イニエスタとつなぎ、カプデビラのクロス。ビジャに届かず。11分、セスクからビジャ、ナバスがシュートするがDFに当たりサイドネット。14分にもセスクがドリブルからシュートを放つがダメ。
 しかしオランダも必死の守り。延長前半15分にファンブロンクホルストに代えてブラーフハイトを入れれば、スペインはなんと延長後半からビジャに代えてフェルナンド・トーレスを投入。勝負に出る。
 4分、シャビからのパスにイニエスタが抜け出そうとしたところをハイティンガがつかんで2枚目のイエロー。そして延長後半11分、ナバスのドリブルからイニエスタのヒールをまじえ、F.トーレスがクロス。中央でセスクのスルーパスイニエスタが右手前に抜け出してシュート。ついにスペインが決勝点を挙げた。
 W杯の決勝戦らしい重いゲームだった。オランダも決勝戦に進出したチームらしく勇敢に戦ったが、スペインの守備は堅かった。特にカシージャス。大会MVPはフォルランが選ばれたようだが、優勝チームから選ぶとすればカシージャスがふさわしい。そしてなかなか決定機が訪れない中、最後まであきらめずパスをつなぎ続けた選手たち。その粘り強さ、勝利を信じるメンタリティが勝利を呼び込んだ。
 もう一人、デル・ボスケ監督を忘れてはならない。F.トーレスを最後まで庇い続け、選手全員のパフォーマンスを引き出した。好々爺然とした雰囲気が格別。いい監督の下に集まった、いい選手たち。スペインはまさに優勝に値するチームだった。そして南アフリカ大会は私にとってこれまでで最高に楽しい大会だった。