とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

仮設建築物の許可の話

 大相撲名古屋場所野球賭博問題でNHK生中継が中止されるなど、大騒動の末、終了した。47連勝した白鵬の優勝杯のない涙の表彰式がニュースで流され、一部ではこれでそろそろ禊ぎという雰囲気もないではないが、その後も貴乃花親方や松ヶ根親方の暴力団関係者との関わりが話題となるなど、場所前と何かが大きく変わったわけではない。一説には、貴乃花グループの追い落としが目的だという話もあるし、地元名古屋では名古屋場所興行権を持つC新聞社に対するY新聞社の嫌がらせだという噂も聞いた。
 これらの話題の裏でひっそりと片づけられたのが、プレハブ小屋の撤去問題。名古屋場所が開催された愛知県体育館の前に設置されたグッズ販売等を行うプレハブ小屋が、建築基準法に基づく仮設建築物の許可を得ておらず、急遽撤去されて仮設テントに置き換えられたという話。
 地元では多少の報道もされたが、あまり大きくは扱われていない。噂では、許可を取らずに設置される仮設建築物を市役所に違反通報するマニアが現れ、猛威を振るっているとのこと。しかし法手続の違反もさることながら、こんな短期間の建築物の設置にまで許可申請を求める建築基準法自体が間違っているのではないか。
 建築基準法の許可ということは、建築技術の専門家が審査をするわけだが、建築されるのは既製品のプレハブ建築である。建物自体は一つ審査をすれば、後は個別に審査をしなくても構造的に大丈夫なのは決まっている。
 仮設建築物を建築基準法に照らした場合、問題になるのは基礎構造で、法律ではコンクリート製の基礎に緊結することが求められる。しかし、数日の使用期間中に大規模地震が発生する確率は非常に小さい。工事に要する費用だけではなく、許可申請のための図書の作成や申請費用も必要であり、そのためにどこまで費用をかけるかと考えると、イベントの規模にもよるが、名古屋場所の開催という規模ですら、仮設許可を取ってまで法に適合する建築物を建てようということにはならない。
 結果的に仮設テントの設置となったわけだが、よくよく考えると本末転倒である。
 建築基準法の目的は、(この場合)建築物の使用時の安全性の確保にあるわけだが、仮設プレハブ小屋と仮設テントで使用目的や頻度等に差異があるわけではない。安全性を比較すれば、地震時と台風時では違うが、普通に考えれば、テントよりはプレハブ小屋の方が安全性が高いと考えるのが普通だろう。少なくとも快適性ははるかに異なる。
 結局、仮設施設を利用する人のことを考えれば、プレハブ小屋の方が安全性、快適性に優るにも関わらず、法律適用の有無でより劣悪な施設の使用を余儀なくされているということになる。施設設置者はよりよい施設の設置を望んだにも関わらず・・・。
 つまり、利用者よりも法律を優先させた、ということだ。そんなことがまだまだ日本には多すぎる。建築基準法について言えば、「建築物とは何か」は永遠のテーマだ。犬小屋や物置は建築物か。エクステリア売場に展示された車庫や物置は建築物か・・・・官僚の存在意義と保身の間で法の適用範囲と内容を左右させる。そんなくだらない規制はさっさと撤廃して、第三者審査と損害保険料を市場バランスに委ねる自己責任の仕組みにした方がよくないか。