とんま天狗は雲の上

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神がかりグリーンを止めた采配 アーセナル勝利を拾う

 2位とは言え、4位まで同じ勝点。得失点の差。最下位ウェストハムとの対戦は絶対勝ちたい一戦だったが、攻めども攻めども得点にならない、アーセナルにとっては一旦は引き分けも覚悟したゲームだったに違いない。
 その立役者はウェストハムのGKグリーン。グリーンと言えばW杯イングランド代表の初戦アメリカ戦で、ミドルシュートを抑えきれずに失点し、イングランド不調の象徴のようになった選手。だがこの日は違った。中盤から積極的にプレスをかけてよく守るウェストハムの中心にグリーンがいた。
 ゲームは立ち上がりからアーセナル・ペース。7分、アルシャビンがシャマックとのワンツーからシュートを放てば、8分にもナスリがソングとのワンツーでゴールに迫る。ウェストハムは9分、ノーブルのFK。20分にはベーラミのパスを受けたボアモルチのミドルとシュートを放つが、攻撃は単調でミスも多い。
 この日のゲームを象徴する場面が前半24分にやってきた。ソングが放った意外性のある長いスルーパスサーニャが走り込み、クロスにセスクがドンピシャのシュート。しかしこれをグリーンがスーパーセーブ。実に美しく完璧な攻撃だったが、グリーンが立ちはだかった。
 44分にもソングがサーニャとのパス交換からセスクに預けると、スルーパスにソングが走り込みシュート。これもグリーンが弾くと、45分、ナスリのCKにスキラチがヘディングシュート。しかしこれもグリーンがスーパーセーブ。
 後半に入ってもアーセナル・ペース。4分、サーニャのクロスはシャマックの手前でダ・コスタがクリア。8分、ナスリのFKはバーに当たる。10分過ぎからアーセナルの猛攻。セスクの強烈なシュートは、ウェストハムボランチ、パーカーの顔に当たる。パーカーは一旦起き上ったがまたふらふらと倒れてしまう。脳震盪か。だが、その気迫はウェストハムの選手全員の共有するもの。
 15分、セスクからソングのスルーパスアルシャビンが抜け出す。ダ・コスタの手がかかって転んだと見えたがPKは採らず。21分、サーニャからパスを受けたナスリがセスクとのワンツーからシュート。23分、アルシャビンのFKにシャマックが合わせるが、これもGKグリーンがキャッチ。
 アーセナルは22分にウォルコットを投入。すると26分、セスクのスルーパスウォルコットが走り込み、GKと一対一からシュート。しかしボールはポストに当たってGKの元に戻っていった。
 さすがにここまで入らないと、逆に失点が怖い。29分、ウェストハムのCKにダ・コスタがヘッド。31分には途中交代のC.コールから左サイドをイルンガが上がってクロス。ベーラミが飛び込むが、クリシーが絞ってクリア。
 38分、セスクのスルーパスに再びウォルコットが抜け出すが、シュートも再びグリーンがセーブ。40分にはセスクからサーニャの上げたクロスに、ベントナーとダ・コスタが競って、こぼれたところをセスクがシュート。しかしこれも入らない。グリーンこの日数度目かのファインセーブ。
 残り3分。ウェストハムが守備固めにフォベールを入れる。これがこのゲームを動かした。43分、アーセナルの猛攻からソングが左に大きくサイドチェンジ。これを受けたクリシーが駆け寄ってきたフォベールを楽々とかわしてクロスを入れると、これにソングが飛び込んだ。ダイビング・ヘッド。ついにゴール。
 結局、張り詰めた守備の中に残り3分で入れたフォベールが緩みとなってウェストハムの守備のネットが切れてしまった。ウェストハム残念。
 アーセナルは攻めに攻めての終了間際のゴール。引き分けだとダメージが少なくなかったと思うが、勝てて良かった。この後も中位・下位チームとの対戦が続く。けっして簡単でないことはこの日のゲームでもよくわかるが、なんとか勝星を重ねて首位戦線に残り続けてほしい。