とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

へぼい じゃん・だら・りん まい・ひずるしい・おそがい よだるい・ぐろ

 岩波新書を購入すると、毎度、言葉に関するトリヴィアが記載されたしおりがはさまれており、楽しみにしている。「トクヴィル」には「へぼい」と「ぼろい」に関するトリヴィアが紹介されていた。これらが共に第六版の広辞苑で新たに加わったという記事だ。
 「ぼろい」はいいとして、「へぼい」も広辞苑に掲載されたってことは、ひょっとして標準語? ネットで検索すると、三河弁や茨城弁という説がある一方、「平凡」を略した語で標準語だという意見もある。広辞苑に掲載されたってことは、標準語なのだろう。私はてっきり三河弁だとばかり思っていた。
 少し前、NHKの「みんなで日本GO!」で、「『じゃん』の発祥地はどこか」がテーマとして取り上げられ、「実は横浜ではなく、山梨かも?」という結論になっていた。しかしその後、三河地方から「『じゃん』は三河の言葉にきまっとる!」という大反論があり、再検討テーマとして取り上げられていた。
 私も1回目を見つつ、「『じゃん』『だら』『りん』と言えば、三河弁の代表的な方言なのに」と思っていたが、多くの三河人がそう思い、NHKに反論を寄せたと知って、我が意を得たりの心境になった。
 ちなみに「じゃん」は「だろ」という念押し、「だら」は「だよね」と疑問形の確認、「りん」は「したら」という誘いの語尾だ。
 他に三河弁の代表として、「○○まい」や「ひずるしい」「おそがい」などがある。「○○まい」は勧誘の意味で、「行かまい」と言えば「行こう」、「食べまい」と言えば「食べよう」という意味で使う。学生時代、うっかりこの言葉を使ってしまい、いつまで経っても動かない友人に「早く行こうよ」と言ったところが「おまえ、今、行かないと言ったじゃないか」と反論され、きょとんとしたことがある。いやあ、方言は思わぬ時にひょっこり口に出る。
 「ひずるしい」は「まぶしい」という意味。「おそがい」は「こわい」という意味だ。ちなみに三河地方で「こわい」と言うと「かたい」という意味になるので注意が必要。
 ところで、最近、部下の仕事ぶりを見ていて、「よだるい」気分になることがある。私の周囲の三河出身者にその言葉を口に出したら、「意味がわからん」と言われた。えっ!、「物足りない」っていう意味ですけど。
 そんなことを言っていたら、岡崎出身の某氏が「おれはわかるよ」と声がかかった。どうやら三河の中でも岡崎以西の西三河で使われる言葉らしい。私は東三河の西の端、蒲郡市の出身だが、蒲郡では西と東の方言がまざっているようだ。
 同様に、「ぐろ」という言葉がある。「隅」といった意味で使うが、これも三河出身者のすべてがわかるわけではないらしい。「くろ」と濁らずに使う地域もある。狭い地域の中でまた言葉が偏在しているのが面白い。
PS.
 さっきテレビで県民ショーを見ていたら、三河地方南部の方言として「ほせ」を紹介していた。そういえばそれも使うなあ。ちなみに、アイスの棒や焼き鳥の串などを指す。テレビでもやっていたが、長すぎてもダメ。つまようじみたいに短いのもダメ。やっぱりちょうどいい長さの棒を「ほせ」と言います。