とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

冷静が情熱に優ったゲーム ジュビロ ナビスコ杯を制す

 先週から尾骨辺りが痛い。3日の祝日は1日中横になって休養に努めた。おかげで少しは回復してきたが、完治にはほど遠い。ということで、普段はメモを手元に置いて、目に止まった場面などを書き留めるようにしているのだが、今回は最初にメンバーを書き写しただけで、後は得点シーンだけを簡単に書き留め、後は横になって観戦していた。なので、ごくごく簡単な感想に留めます。
 前半はサンフレッチェがその自由なフォーメーションから流動的に攻め立てていったが、ジュビロはしっかりと守備陣営を整え、慎重かつ冷静な戦いをしていた。週末のフロンターレ戦でもそうだったが、前線の前田に当ててゲームを組み立てるやり方は効果的だが、サンフレッチェも森崎ツインズを中心に、中央をしっかり締めて、前田にボールが渡る場面が少ない。前田対槇野の競り合いは楽しかった。逆にサンフレッチェも森脇や槇野の攻撃参加など、変幻自在な攻撃を見せるが、慎重さは隠せず、ジュビロの守備も堅く、前半は探り合いといった感じの戦いに終始していた。
 しかし36分、中盤深い位置から右サイドに開いた前田にボールが渡ると、一瞬抜けだし正確なクロスをゴール前に上げる。サンフレッチェ守備陣の帰りが遅く、パスを出すと同時に走り出した船谷へのマークが甘く、きれいに先制ゴールを入れられた。
 サンフレッチェも黙ってはいない。42分、右サイドをミッキチがドリブルで切り裂くと、クロスに李忠成が後ろ向きとなってヒールで触ったボールがコロコロとゴールに転がり込む。
 後半に入ってすぐ、ジュビロイ・ガンジンがケガで動けないため、交代要員として大井を用意。そこに選手たちの気が取られた一瞬、サンフレッチェの最終ラインでパスを回していた森崎和幸から山岸へのロングフィード。古賀のマークを振りきり、山岸がきっちり川口の股間を抜いて勝ち越し点を挙げた。
 この後、サンフレッチェにとっては難しい時間が続く。本来守りきるチームでないが、森崎浩司に代えて青山を入れた辺り、やや守備的な意識があったか。ミキッチが疲れから横竹に変わると、最終ラインも明らかに下がって、逆に菅沼や山崎を入れたジュビロの攻撃にさらされる時間帯が続く。それでも守りきるかと思われた後半44分。CKを那須が逸らすとGKが弾いたボールにきっちり前田が詰めて同点ゴールを挙げた。
 延長戦開始早々はサンフレッチェも再度気合いを入れて攻撃を行う。高萩のミドルシュートが決まっていれば結果はまた違ったものになったかもしれない。が、無情にもバーに弾き返された。すると次第に運動量が落ちていく。そして延長前半12分。後半の同点ゴールと同様、CKから那須が逸らしたボールに今度は菅沼が飛びつき、勝ち越しゴールを挙げる。
 さらに14分、気落ちしたサンフレッチェをさらに突き落とすように、西からボールを受けた山崎がドリブルで前進。前田とワンツーの上、さらに前進してシュート。2点差を付ける。
 万事休すと思ったがロスタイム、槇野が意地のFKで1点を返す。しかしサンフレッチェの抵抗もここまで。延長後半4分、FKからのボールを前田が絶妙のトラップで前に抜け出すと、DFのスライディングに当ててGKを越える絶品のシュートで5点目を挙げて、ついに引導を渡す。
 気持ちのこもった熱戦だった。サンフレッチェが熱く燃えれば、ジュビロは冷たく青白い炎を煌めかせ、最後には冷徹にゴールを重ねて葬り去った。技術と冷静が情熱と組織を打ち砕いた。ナビスコ杯は勝ってもACLにも縁のない難しい大会だが、ここまでのゲームを見せてもらうとやはり心が熱くなる。あっぱれジュビロ。そしてサンフレッチェ