とんま天狗は雲の上

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地方自治法施行60周年記念500円貨幣の発行にまつわる疑問

 愛知県が来年1月19日から地方自治法施行60周年記念500円貨幣の交換を始めるそうである。地方自治法って法律だから、60周年は全国一律に訪れるはず。どうして愛知県なのかと思ったら、同時に青森県佐賀県も交換するそうだ。でもどうしてこの3県?
 「造幣局のHP」を見たら、平成20年度の北海道、京都府島根県から始まって、21年度から毎年5〜6都道府県の記念貨幣が発行される予定になっている。また1000円銀貨も発行されており、こちらは造幣局から直接発行されている。ちなみに、500円貨幣の交換は指定銀行等で行われるが、造幣局では記念ケース付きで2800円で販売している。なんと箱代が2300円!
 地方自治法は昭和22年5月3日、日本国憲法と同日に施行された。記念貨幣の発行は、60周年を迎えた平成19年11月に開催された地方自治法施行60周年記念式典に先立ち決定され、翌20年度から28年度までの9年間にわたり、すべての都道府県の記念貨幣が発行される計画になっている。
 ここでいくつか疑問がある。地方自治法は前述したように日本国憲法と同日に施行された。ではどうして憲法施行60周年記念貨幣は発行されないのか。ひょっとして記念切手は発行されているかと調べてみたが、こちらも発行されていない。しかし、ついでに奇妙なものを発見してしまった。慶應義塾創立150年記念切手である。どうして一私立大学に過ぎない慶應義塾の記念切手を発行するのか。
 さらに調べていくと、早稲田も記念切手を発行している。では関西の雄、同志社はどうかと調べると、大学創立135年記念切手シートなるものを記念事業として発行しているが、これは郵便会社のHPリストには掲載されておらず、(株)同志社エンタープライズで販売すると言う。
 どうやら記念切手の発行については、裏に関係者の一定の負担と政治力がありそうだ。
 さて、記念貨幣の発行に戻ると、日本の記念貨幣は、昭和39年の東京オリンピックの1000円・100円金貨に始まり、大阪万博札幌オリンピック、沖縄海洋博、天皇陛下在位50周年と発行されている。その後も、愛地球博や大阪花博、長野オリンピック天皇即位、皇太子御成婚などはわからないでもないが、関西空港開港や中部国際空港開港などとなると、「成田空港はないのにどうして?」とやや疑問に感じる。平成18年度は、国際連合加盟50周年と南極地域観測50周年、19年度はユニバーサル技能五輪、20年度はブラジル移住100周年、そしてこの地方自治法施行60周年である。
「我が国における記念貨幣の発行一覧」
 これはどうみても、適当な理由を付けて、記念貨幣を発行しているような感じがする。それも、記念行事を主催する相手に一定の負担を押しつけているのではないか。空港開港や技能五輪などは、相手方が記念貨幣の発行を望み、要請があったのかもしれない。しかし地方自治法施行記念は、相手は都道府県である。総務省から話があればイヤと言えない。
 500円貨幣、1000円貨幣の製造原価はいかほどか? 額面金額を下回ることは確実だが、その差額は記念行事側とどう分配するのか? ひょっとしたら製造経費をすべて相手側に押しつけて、造幣局(国)が額面総取りということも考えられる。
 これまでの発行都道府県は、例えば北海道は洞爺湖サミット奈良県は平常遷都1300年などの行事に関係づけられていることが多い。愛知県はCOP10だ。「愛知県のHP:愛知県分の地方自治法施行60周年記念5百円貨幣の引換えが来年1月19日に開始されます」を見ると、問い合わせ先は「環境部環境政策課国際会議推進グループ」となっている。総務省から押しつけられた仕事を、愛知県の総務部は環境部に押しつけたらしい。やれやれ、県庁内部も大変だ。
 記念貨幣一つでいろいろな世界が見えてくるから面白い。