とんま天狗は雲の上

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マニフェスト以外の仕事が多かった

 名古屋市のリコール騒動に続いて、今、愛知県の知事選が熱い。現在の神田知事が四選出馬を辞退。新知事に5人の候補が手を挙げて、熱い活動を繰り広げている。現職・神田知事は前回の選挙で、民主党から立った石田候補に対して、自民党の支持の元に厳しい選挙戦を戦ったが、その自民党からは40歳になったばかりの若い重徳氏が立候補予定。一方、民主党は今回、前県総務部長の御園氏の擁立を早々と決定した。
 新旧総務省官僚の対決かと思っていたら、名古屋市の河村市長に焚き付けられて、衆議院議員の大村氏が立候補を表明。さらに、みんなの党から女医の薬師寺氏、共産党から土居氏と2人の医師も参戦して混戦模様となっている。
 年末に、神田知事の12年間を振り返るインタビュー記事が各紙に掲載されていた。愛・地球博COP10などの経過や成果を語る内容が主だが、知事の業務を振り返り、「マニフェスト以外のことで判断を求められることが多かった」と述懐していたのが興味を惹いた。
 マニフェストには新規の政策が書かれることが多いが、実際には現に進めている事業においても課題や問題が次々と現れることは想像に難くない。知事と言えど県が実施している全ての事業・制度について熟知していることは少ないだろう。
 例えば、秋頃に姉歯事件に伴う半田市のホテル業者との建築確認訴訟の報道があったが、知事が建築確認の現場で担当者がどういう審査を行い、どういう対応をしているかを了解しているとはとても思えない。それでも現知事は弁護士出身だから、訴訟となれば概ねの理解はできるだろうが、福祉の現場、教育の現場、公共工事の現場で日々行われている業務について、全て了解しているはずがない。
 そうであればこそ、「マニフェスト以外のことで判断を求められることが多かった」という述懐は非常に正直な感想であり、知事に求められる資質の何たるかを示しているとも言える。でき得れば自説や思い込みに固執せず、かつ取り巻きの言動だけに左右されることもなく、幅広い情報収集力と思いやりの心を持ち、将来を見通す眼力と想像力を兼ね備え、迷うことのない判断力と誤りを認め軌道修正を行う柔軟性と時に身体を投げ出す気概を持った人が必要だろう。
 そんな人がいるのかどうかわからないが、減税合戦で大風呂敷を敷いた人が当選するような選挙戦にだけはなってほしくない。だって、新知事の最初の仕事が東海・東南海地震被害に対する陣頭指揮になるはずだから。えっ、どうしてそう言えるかって。それはこちらを見てください。チャンチャン!
「波乱の予感 − 猛暑・政変・ドラゴンズ優勝、そして・・・」