とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

アジア・チャンピオン奪還 気持ちと技術による紙一重の勝利 おめでとうザック・ジャパン

 準決勝を観たときの印象どおり、やはりオーストラリア2トップとDF陣との戦いだった。日本の攻撃も、組織だったオーストラリアの前に、これまでのような速くて鋭い攻撃を繰り出すことができなかった。途中から「これは終了間際の時間帯で先制して終わらせたい。そうなるのではないか」と思った。しかし、90分ではついにそのチャンスは訪れなかった。
 延長前半でも訪れなかった。PK戦は避けたかった。そして延長後半4分。ついにその時がやってきた。長友のスタミナとキレ。李のビューティフル・ゴール。しかしこれは全員の勝利だ。今野、吉田は最後までケーヒル、キューウェルを抑えきった。途中で出てきた岩政もよく効いていた。攻撃は香川の不在が響いたと思うが、岡崎が、本田がよくがんばった。遠藤、長谷部が支えた。そして控えの選手たち。伊野波、柏木、本田、細貝、西川・・・。既にケガで会場を去った松井らのユニホームがベンチに掲げられていたが、まさに全員でつかみ取ったアジア・チャンピオン。史上最多4度目の優勝だ。
 立ち上がり、オーストラリアが押し込んできた。2分、ケーヒルからホルマン、バレリとつないでマッカイがシュートする。日本は遠藤から本田。だがGKシュウォ−ツァーが抑える。本田に密着マークが付き、日本は遠藤を中心に攻撃を組み立てていく。
 13分、二―ルからのフィードをケーヒルが落とす。16分、キューウェルがポストに入りホルマンがクロス。19分、カーニーのCKにケーヒルがヘッドでつなぎ、キューウェルがヘディングシュート。GK川島がナイスセーブ。
 その後も22分、右SBウィルクシャーのクロスにケーヒル。28分には同じくウィルクシャーのクロスにキューウェル。日本は内田からクロスが上がるが、中央で合わない。30分、本田が右サイドでふんばり、スルーパスに岡崎が抜け出しシュートを放つが、DFの手に当たったシュートはPKを取ってくれない。逆に32分、二―ルのクロスにケーヒルがポスト、キューウェルのシュートは枠を外れる。単純だが強力。逆足で助かった。
 日本も37分、遠藤が右サイドで起点を作り、本田のタテパスに走り込んだ遠藤が戻して前田がシュート。遠藤のパスがわずかに後ろに逸れ、シュートが浮いた。惜しい。前半唯一のビッグチャンス、きれいな形だったが惜しかった。
 後半もオーストラリアが押し込んでいく。1分、ケーヒルのポストにキューウェルが走り込む。3分、ウィルクシャーのクロスがバーに当たるとケーヒルが身体ごと押し込もうとする。吉田がブロック。8分、ケーヒルのポストプレーキューウェルがシュート。
 ここで日本ベンチが動く。藤本に代えて岩政を投入。今野をSBに、長友を左SHに上げて、CBに高さを加える。今野も空中戦の強いケーヒル相手によく戦い、競り負けなかった。しかしザッケローニは今野の疲労を考慮したか。この采配もよかった。その後、岩政は日本ゴール前の高さを制圧し切った。
 16分、長谷部のクロスに前田。17分、FKから岡崎のシュートは力なくGKに抑え込まれた。その直後、ホルマンからケーヒルがシュート。ここからゲームが動き出した。
 18分、遠藤から長友がドリブルで上がると、岡崎を経由して前田がシュート。オーストラリアもホルマンに代えてエマートンを投入。21分、長谷部から再び長友が左サイドを上がり、切り返してクロス。岡崎のダイビングヘッドはわずかにポストの右。惜しい。
 24分にはカウンターから内田のクロス。前田にわずかに届かない。逆に27分、オーストラリアのフィードに岩政が合わせ損ねてキューウェルが抜け出す。シュートをGK川島が右足1本、スーパーセーブ。後半終了間際にはオーストラリアに押し込まれたが、最後まで粘り強く守り切った。
 延長前半もオーストラリアが押し込んでくる。日本は8分前田に代えて李を投入。12分、キューウェルポストプレーエマートンがシュート。13分キューウェルに代えてクルーズ投入。14分、エマートンのクロスにクルーズがヘディングシュート。GK川島がかろうじて弾き返す。15分にはCKからのこぼれをマッカイがシュートするが枠を外れる。
 延長後半。日本が攻める。3分、遠藤のCKに吉田がシュート。弾かれたボールが遠藤に渡りもう一度クロス。吉田が飛び込むがシュウォーツァーがゴールを許さない。そしていよいよその時がやってくる。延長後半4分。左サイド、遠藤のパスに長友が抜け出しクロス。ゴール前ぽっかりフリーになった李がきれいなボレーシュートを叩きこんだ。
 その後、オーストラリアが押し込んできたが、オーストラリアも疲れていた。日本は押し込まれたが余裕を持って最後まできちんと逃げ切った。ギリギリ紙一重の勝利ではあったが、フェアで気持ちいいゲームを観ることができた。
 ゲーム後のインタビューで、本田が「カタールに勝ち、韓国、オーストラリアに勝っての優勝は価値がある」と言っていた。そのとおり。長谷部が「これはしょせんアジア・レベル。世界と戦うにはもっと強くなる必要がある」と言った。そのとおりだ。これを自信にさらに上を目指せ。この大会は日本にとって本当に価値があった。おめでとう、ザック・ジャパン。