とんま天狗は雲の上

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最悪のシナリオに備える動きが見えない

 朝日ニュースターニュースの深層」で3/17に放送されたノンフィクション作家・広瀬隆氏のインタビュー番組を今朝ようやく視聴した。

 広瀬氏はかねてからの有名な原発反対論者ではあるが、ここで話されたことには、これまで枝野官房長官NHKなどのマスメディアが繰り返してきたエセ情報を根本から覆すショッキングな内容がテンコ盛りだった。私がショックを受けた内容を以下に列記したい。
 まず、現在、防衛省ほかで取り組まれている放水作業が、まさに文字どおり「焼け石に水」だということ。これを続けても事態を改善することはなく、あくまで応急対応だと思っていたので、このこと自体はやっぱりということでしかないが、先週から海水を注ぎ込んでいること。これについて、語られた内容がショッキングだ。
 「塩水を煮立てたらどうなります。塩が吹き出て、周りにこびりつくでしょう。そういう状況が今、福島原発で起きているんです。そんな状態の機器に電気を通して、本当に大丈夫でしょうか。機能するのでしょうか。」
 といった趣旨のことを言われた。確かにそのとおりで、下手をすると通電に伴い、2次災害の可能性すらある。既にチェルノブイリ同様、上空からコンクリートで封じ込める作業を迎える時期に来ているという指摘はそのとおりかもしれない。
 もう海水で使った原子炉は使用できないと言われている。ならば、冷却ポンプを回して燃料棒の安全を確保したとしてもその後の方策は結局封じ込めしかないではないか。ならば、世界の原子力関係者に総動員をかけてでも、封じ込めの対策を進めてもらいたい。
 もうひとつショックだったのは、放射線量に対する誤情報の流布とプロパガンダ。私もおかしいのではないかと感じていたが、「ただちに健康に影響がない」という表現。「ただちには」ということは「将来はありうる」ということだ。原爆のような熱線被害はないが、放射線の被害で心配なのは発ガン。発ガンの可能性は高くなっているということだ。
 そしてそれより怖いのが、放射線量の計測について。これも常々おかしいと感じていたが、レントゲンやCT撮影、航空機搭乗による放射量は一時のことで、その後のDNAレベルの修復も期待されるが、今回はたとえそれよりも低レベルだとは言え、それだけの放射量を浴び続けているということ。「発表された放射線量に365日×24時間を乗じてみてください。それが真実の被爆量です。」という言い方は、若干誇張はあるものの、けっしてでたらめではない。積み重なる被爆量とDNAの修復作業とどちらが早いか。問題はそう考えてみる必要がある。
 さらにショックなのが、「放射線よりも放射性物質が怖い。特に、体内被曝の危険性」を指摘されたことだ。現在、放射線量が○マイクロシーベルトと計測されるが、それが全て福島原発から放射されると考えるべきではない。福島原発から放散された放射性物質から放射されている可能性が高く、放射性物質を計測することが必要。万一、放射性物質が体内に取り込まれれば、体内から放射線が放射され続けることになり、非常に危険だ。これを距離の二条で危険になると説明されたのは、出来過ぎの怖い話だが、正直ショッキングだ。
 計画停電についても興味深い指摘があった。東電の発電能力は原発がすべて休止しても火力発電や水力発電で十分真夏の発電量をまかなうことができるだけの能力がある。今回、計画停電を行っているのは、火力発電所が機能していないからではないかというものだ。これについては、東電が定期的にプレスリリースをしていた。最新の情報は以下のとおり。
「東京電力:東北地方太平洋沖地震における当社設備への影響について」
 これによると、現在停止中の火力発電機が7機。全部で何機あるのかしらないが、被災直後からは大分稼働している発電機も増えてきている。計画停電を当面4月までという報道があるが、火力発電等が復帰すればこれは可能らしい。東京電力社員の献身的な努力には声援を送りたい。
 問題は政府であり、マスメディアだ。最悪のシナリオに備える動きが見えない。それが国民に伝わってこない。パニックを恐れているのだろうが、これは避難者への対応だが、宮城県では兵庫県との間で県外疎開が検討され、また福島県では自主的な疎開行動が広がっている。福島原発封じ込めと住民疎開に向けて明確な方針の検討と早急な実施を望む。