とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

温泉と料理満喫 奥山田温泉と小布施・松代

 合宿に遅れて参加する娘を志賀高原まで送っていくことにした。いや、運転は娘がしたから、合宿へ向かう娘の車に乗せてもらい、現地で車を回収し帰宅したと言うべきか。途中駒ヶ岳SAで休憩し、2度目の休憩、姨捨SAで昼食。そこで運転を交代し志賀高原へ向かう。次第に台風12号の影響による風雨が強まり、志賀高原ではかなりの雨風。娘を降ろし、当日の宿に向かう。
 1週間前、いつもの鍼灸院で「来週、志賀高原へ行くんですけど、どこかいい宿はないですかね」と話題にしたら、「それなら満山荘がいい」と、こちらは全身鍼を打たれ身動きできない中で、空室確認の電話を入れる。「空いてるぞ、どうするか」と言う勢いに押され、「お願いします」と返事。奥山田温泉「満山荘」に泊まることになった。1泊16,800円。うっ、高い。
 志賀高原からは笠ヶ岳を越える山道があるが、すれ違い待機場所が各所にある狭い道で、風雨の中、恐る恐る車を進める。途中、突然飛び出すものがある。ウサギだ! 最初は草津温泉経由を考えたが、2時間は悠にかかる。後で、「草津への道は霧がすごく、途中で引き返した」と聞いた。偶然ながら正しい選択。ただし翌朝は通行止めになっていた。
 少し早いとは思ったが2時半前の到着。帳場にぶら下がった鉦をチンと鳴らすと奥から若旦那が出てきた。お茶を勧められ、「日本秘湯を守る会」のスタンプ帳を作ってくれる。続いて夕食時の飲み物の確認。その間にも次のお客さんが来たが、「少しお待ちください」と言って、先に我々を案内してくれる。
 部屋には既に布団が敷かれ、作務衣と洗面セット、バスタオルなどが用意されている。バストイレ付き。「夕食は18時半から1階食堂にて。温泉は22時と8時に男女入れ替え」などと親しげで素人っぽい案内をして去っていく。
 窓からは眼下に長野市の街並みが見える。正面には北アルプスの山容が見えるはずだが、雲に隠れて見えない。翌朝、大旦那は「昔は1/10の確率で見えたが、今は1/100になってしまった」と嘆いた。極端な喩えだろうが、露天風呂で知り合ったリピーター客も、「まだ見たことがない」と言う。やはり冬の方が見える確率は高いらしい。
 まずは作務衣に着替えて温泉へ。夕方の時間帯は女性が新浴場。男性は古くからある大旦那手造りの岩風呂。好みがあると思うが、私は野趣のある岩風呂のほうが好きだなあ。露天風呂に先客があり、雨が降る中、湯船に浸かっている。短い庇が架かる位置に浸かってしばし話をする。千葉の船橋からはるばるここまで。もう10回近くも通っている。これまで色々な秘湯の宿へ行ったが、食事はここが一番と言う。湯はさらっとして、やや白濁。岩風呂はかなり熱いが、露天風呂はぬるい。いつまでも浸かっていられる。
 新浴場に向かう入口に休憩用の和室があり、妻とはそこで待ち合わせ。大旦那の撮った北アルプスの素晴らしい山々が写ったアルバムを見ながらコーヒーを飲んで待っていた。部屋に戻ってしばしのんびり。いつしか、うとうと。のんびりした時間がうれしい。
 夕食を待ちかねて6時半10分前に食堂に行ったら、まだ開いていなかった。ロビーでしばし待つ。席に着くと既にきれいに食事が並べられていた。ダイヤ型に斬新な配置。メニューは、食前酒、十六穀米スープ、ビーツの芋生酢、馬刺しにえご、アロエ、生湯葉などが並べられた色鉢。地元出身の作家の作品だそうだ。足の長い陶器の器には牛乳豆腐。細長い角皿には、シリンダー状のガラスの器に串に刺した野菜がリンゴ酢の中に漬けられたサラダ。エシャロット、モロッコインゲン、山菜スティックの芥子酢味噌、ズッキーニのバター炒め、大根生ハム巻、行者ニンニクの炒め物などが並べられている。

 これらに加え、秋の天麩羅として、まこも筍、松茸、万願寺甘唐(ししとうの仲間)、独活、信州リンゴの天麩羅が順々に揚げ立てが運ばれてくる。その間に岩魚の塩焼。牛ヒレと冬瓜のお吸い物はたっぷりとコクがあって予想外の美味しさ。チーズの茶わん蒸し。もう満腹。そしてたっぷりな野沢菜茶漬け。これが満腹にも関わらず意外に食べられる。最後に柚子シャーベット。あ、もう無理。大満足。目でも楽しんだが、味は絶品。料理だけで一万円出しても惜しくない。すごいです。
 もう満足して部屋に戻ると、「おっ、W杯予選、北朝鮮戦、ハーフタイム」。それから1時間、妻はもう一度温泉に行き、私はサッカーに熱中。ロスタイム、吉田の起死回生ゴール。すごい!やったぞ!
 その後、風呂へ行こうかと思ったが、ビールでほろ酔い気分。そのまま眠くなって寝てしまった。でも台風の風雨に夜中に目が覚める。しょうがないね。サッカーの録画放送の前半を見ていたら、また寝てしまった。
 翌朝6時過ぎ、新浴場に行く。待合の和室を抜けて長い渡り廊下を通った先。湯船は磨き大理石で明るく広々。露天風呂も広いが、庇は短い。雨が気になったが、湯船に入れば同じ。昨夜よりもさらにぬるくなっていたが、一人でのんびりと楽しむ。
 朝食は8時。朝はバイキングで岩魚の甘露煮なども含め、種類は豊富。野菜のおしたしや煮物が美味しい。1時間近くかけてゆっくりと楽しむ。部屋に戻ってまたのんびり。朝8時に風呂が男女交代。今度はまた岩風呂。外は風雨が強まってきたが、やはり温泉はいい。10時半までのんびり過ごす。
 名残惜しく部屋を出ると、帳場に大女将が座っている。食事が美味しいだけでなく、現代的な感覚の斬新さがよかったですとお礼を述べる。宿を出ると、曲がりくねった道を下っていく。五味温泉などの秘湯もあり、山田温泉を通り、小1時間ほどで小布施に入る。
 小布施は全く雨が降っていない。駐車場のおじさんが「どこから来たのか」とハッパまみれのクルマにびっくりする。広場に人があふれている。ベンチに座り、栗ソフトを食べる。続いて栗の小径を歩き、幟の広場を見、小布施堂本店で栗菓子を買う。陣屋小径を歩き、あかり博物館の横を抜け、広場に戻る。妻は地元農産物市で桃とリンゴを買う。
 お昼はおぶせミュージアム裏側住宅街にある蕎麦屋。ただしまだ満腹状態であまりお腹に入らない。その後、小布施PAから高速に入って松代まで。前に来た時は夕方の4時近くで、多くの施設が閉館間近。真田邸は復元工事中で、外観だけを見て回った。この日は余裕があったのでまずは復元なった真田邸から。広い。旧樋口家住宅は2年前は公開していなかった。さらに文武学校へ。さらに広い。広過ぎて疲れた。旧白井家表門でボランティアの方たちがお茶の接待。しばし休憩し話をする。松代はエコール・ド・まつしろの活動が盛ん。真田家の現当主は年に一度、真田十万石まつりに際に東京から帰られ、真田信之に扮して武者行列に参加するとのこと。
 4時を回り、各施設の閉館時間も迫ってきたので、スタンプ帳を片手に、旧横田家住宅、山寺常山邸、旧前島家住宅などを駆け足で巡る。5時。夕食は前に行った「食いしん坊 かじや」に行きたくて、6時まで国民宿舎松代荘で時間つぶし。
 2度目となる「かじや」は相変わらず不思議な店だ。押し出しのいい女将が順々に食事を運んでくる。一番安いコースで2,500円。畳敷きの部屋に長机を白布で覆い、雀荘にでもありそうなゆったりソファで食べる。長芋スープや千代幻豚のすきやきは美味いのだが、前回同様、今回も私たち以外客は誰も入ってこず、閑散。静かに7品ばかりを食べ終わる。美味しいが、ゆうべ食べた満山荘の夕食と比べると、やはり値段相応の違いを感じる。今度は昼食で入ろう。
 7時まで松代で遊び、帰路に着く。10時過ぎに到着。いやぁ、のんびりできた。夕食がよかった。16,800円は味わってみれば、十分それ以上の価値がある。また是非行きたい。来年の合宿も志賀高原だろうか。