とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

なでしこ無敗で五輪出場決定 これってすごいことだと思う

 五輪アジア最終予選の最終戦、中国との対戦は、後半12分、ボランチ田中明日菜がゴールを決め、1-0で勝利。5戦無敗で五輪出場を決めた。連戦の中、またW杯優勝後のフィーバーが続く中、厳しいゲームもありながら何とかしのいで無敗で終えたのは、かなりすごいことだと思う。
 特に最終戦の中国はけっして弱いチームではないし、その相手に対して、控え選手主体で臨んで勝利したのは大きい。タイ戦の反省もあったか、先発で宮間を起用。高瀬を慣れたFWで起用し、CBは岩清水と宇津木で組んだ。右SBは矢野。鮫島は5戦連続の先発フル出場だが、右SBの近賀は休ませた。中国戦の失点による精神的な疲労を考慮したのかもしれない。
 このDF陣がよく機能した。中国のシュートの精度のなさに救われたところもあるが、岩清水がいるとDFは抜群に落ち着く。また鮫島のタフさには舌を巻く。このゲームでは田中と上尾野辺との関係も良好で、中国の中盤の攻撃をうまく抑えていた。
 序盤3分、矢野からのクロスを受けた高瀬が一旦戻して宮間のスルーパスに抜け出してシュート。初戦で思うような活躍ができなかった高瀬は、人一倍このゲームでアピールを狙っていたのだろう。得点ができずに終わったゲーム後、泣きじゃくっていたのが印象的だが、体力的に強い高瀬をはずすことは考えられない。ただ、オフ・ザ・ボールの動きはもっと研究する必要がある。
 4分には上尾野辺がミドルシュート。上尾野辺もこのゲームに賭けている一人だと思う。視野の広さなどで宮間や澤との差はまだ大きいが、このゲームでも連携のコマとしてよく機能しており、欠かせない一員だ。
 中国の攻撃は荒削りだが力強い。6分、CF徐媛が左サイドで宇津木を振り切ってパス、左SH周霏霏が抜け出してシュート。岩清水がスライディングでクリア。やはり岩清水は頼りになる。9分にはスローインからCF韓端がシュート。ここもDFがブロック。18分にはCM馬君が韓端とのワンツーで抜け出しミドルシュート。精度のなさに救われるが、GK福元が躊躇するシーンも何度かあったので、偶然が決まると怖かった。
 日本は29分、永里(妹)から田中が飛び出しポストとなって高瀬がシュート。中盤ではうまくパスがつながるが、ゴール前での連携が悪く、うまくシュートに結びつかない。逆に中国は長いボールを放り込み、ゴール前で体格勝負といった感じ。36分、ボランチの屈珊珊のFKがわずかに逸れる。38分、韓端のスルーパスに徐媛が抜け出しシュート。
 前線の攻撃がうまく行かなかった日本は後半に宮間に代えて安藤を投入。永里(妹)を右SHにして、川澄を左SHに回す。FWを代えるかと思ったが、宮間にしたのは監督の激励であり温情。上尾野辺らのMF陣への信頼感もある。だが後半開始1分、中国のCB李丹陽のミドルシュートが枠に飛ぶ。GK福元、好セーブ。
 そして12分、川澄が蹴ったCKを岩清水がヘディングシュート。惜しくもバーを叩くが、跳ね返りを田中明日菜がシュート。ついに日本が先制する。中国も16分徐媛のクロス。21分、尤佳から徐媛がシュート。25分、徐媛のポストプレーから馬君が切り返しからシュートと日本ゴールを脅かす。特に馬君のシュートは危なかったが、なでしこにはツキもある。
 17分、川澄に代えて永里優季を投入。永里(姉)も得点に飢えている一人。31分、安藤のクロスに永里(姉)が飛び込んでシュート。しかしまたもバーに当たる。跳ね返りを田中がシュートするも、今度はコースを外れていった。37分には永里(妹)が安藤とのワンツーからシュート。永里(姉)のゴールに貪欲な姿勢は若手にもいい効果を与えている。
 タイムアップの笛と同時に交代出場の丸山が膝を痛めて泣き崩れる。丸山の一人異質な天然キャラもなでしこには欠かせないパーツの一つ。隣で高瀬が号泣し、岩清水らに慰められていたのが雰囲気のよさを窺わせる。
 ロンドン五輪は1年近く先の来年の7月末から。このメンバーから誰が外れるか、誰が加わるか、まだわからない。ケガもあるかもしれない。だが、どういうメンバーでもその結束は選考メンバーを越えて広がる。そのチームワークの上にさらに戦力の上積みが求められる。がんばれ、なでしこ。来年もう一度、日本中がなでしこフィーバーに染められることを期待したい。