とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

尿管結石さわぎ

 先週月曜日の午後から突然腰が痛くなった。その前の金曜日に仕事でミスがあり、上司に陰湿に叱られた。週末は気分転換に努めたが、日曜日の午後には気が重くなり、月曜日には午前から昼休みを大幅にオーバーして対策会議。それが精神的に応えたか。周囲にはストレス性腰痛と嘯いた。
 ところが帰宅通勤中に腰痛がひどくなり、夜には右を向いても左を見ても、上を向いても腰が痛い。結局、3時過ぎまで眠られず、朝は5時前に目が覚める。火曜日は会社を休んだ。
 水曜日、少し良くなったので恐る恐る会社へ。朝一番に上司に呼び出される。「おまえの課は変だ」と言うので、「変なのは私のせいです」と答えた。「○○グループは評判が悪いぞ」と言うので、「それは私の責任です」と答える。なんて1日を過ごすと、また腰が痛くなってくる。緊張して知らず知らず腰に力が入っているのかもしれない。
 それでも木曜日は懸案事項にも方向が見え、金曜日は職場の先輩や同僚に愚痴を聞いてもらい溜めていたものを吐き出した。
 そして土曜日、朝から妻の友人たちと南信州へ小旅行。リンゴを買い、ソースかつ丼を食べてきた。5時には待ちに待った鍼治療。ところが7時に終わって家に着きクルマを降りようとしたところで左腰に違和感を感じる。鍼をしてきたばかりなのに、却ってバランスを崩したのか?
 夕食にフライドチキンを食べ、早く寝ようと洗面所で着替えようとしたが、ますます腰が痛い。ついには身体を支えられず倒れこんでしまう。それでも何とかパンツは穿き、布団の敷かれた和室まで四つん這いで移動する。だが布団の上でどうにも身体が動かせない。寝ようとするも左腰が痛い。いや痛いというより激痛が走る。立ち上がることもできない。ついに声を挙げて妻に助けを請う。
 だが、妻が来てもどうしようもない。とりあえず激痛の中、パジャマを着せてもらう。トイレに行きたいような気がし、まだ動くうちに言っておいた方がよいという気もして必死で立ち上がる。が、左側に体重をかけることができず、かと言って右足に体重をかけようと身体を右に傾けただけで左側に激痛。しかも痙攣したような重い激痛に思わず全身の力が抜けてしまう。妻が背の高い籐の整理籠を持ってきてくれ、それにつかまりながら少しずつ前進。ようやく用を足す。
 部屋に戻ってもしばらく辛苦。だがどうにも動けない。時折激痛が左腰を襲う。いや正確には腰というより背中。肩甲骨の真下あたり。妻に鍼灸院に電話してくれるよう頼む。電話に出た先生が「尿管結石じゃないのか」と言う。「違う違う、そんな痛みじゃない」と言うが、尿管結石の経験があるわけではない。深夜にも拘らず、先生が来てくれた。私を診るなり、「尿管結石だ。救急車を呼べ」。
 初めての119番。妻が電話。意外に早く救急車のサイレンが聞こえる。救急救命士が着いて病状を説明。救急車まで移動するのに担架を使うかと聞かれるが、布団の上でも横になれなかったのに、担架で横になれる自信がない。結局、さっき整理籠につかまり立ちした要領で救急救命士の肩につかまってそろりそろりと歩く。何とか救急車のベッドに乗って車内の人になる。
 初めての救急車体験。車内で血圧と体温、脈拍を計測。血圧がやや高めらしい。すぐに救急病院に到着。当直医に病状を説明。痛み止めの入った点滴。エコー検査。痛み止めの筋肉注射。「尿管に一部狭窄部があるので多分尿管結石だと思う」と言う。ただし緊急医は外科の先生らしい。血液検査と尿検査を実施した後、別室に移される。
 小1時間ほどして先ほどの先生が現れ、「血尿が見られた。尿管結石だと思う。95%の人は一両日中位で石が出る。水を大量に飲んで尿を出すように。痛みが取れなければ月曜日に泌尿器科にかかってください」と言われ、点滴が終わったら帰るように言われる。痛み止めと頓服、座薬をもらう。
 点滴が終わり、さあ帰ろうかと思ったらまた激痛が走りだす。今度は心なしか痛みが横腹に移った感じ。車いすに乗せてもらい、娘の運転するクルマまで移動。家に帰ってすぐ座薬挿入。それでも救急車を呼ぶ前の激痛は収まり、3時過ぎに何とか布団に横になって眠る。
 翌朝日曜日は6時前に目が覚める。まだかなり痛い。実は日曜日出勤の予定だったが、早朝から調整して代わりの人に出てもらうようにする。そんなことができるまでに回復するが、まだ歩いたりすると時々激痛が走り、思わず腰を落としてしまう。夜まで寝たり起きたりを続け、その間にサッカーを2ゲーム見て観戦記を執筆。
 日曜日の深夜、眼が覚めると痛みが引いていることに気づく。月曜日は休んで病院に行こうと思っていたが、どうしようかと妻に相談すると、寝ぼけながら「調子がよければ病院はまたにしてもいいんじゃない」と言う。
 朝6時に目が覚める。痛みはほとんどない。妻は起きてこない。起きないうちに出勤時間になる。通勤中に痛みが出たら帰ってこようと思いつつ家を出る。なんと自転車で。それでも大して支障なく出勤できてしまう。もちろん電車ではなるべく座るようにしたが。駅のトイレで勢いよく放尿。水の大量摂取でトイレが近い。
 会社に着いたらみんなが休んで病院へ行くべきだと言う。朝一の会議を済ませ、必要な指示をして帰ることにする。
 妻に連絡し、病院で待ち合わせ。泌尿器科で救急時の話をする。検尿にCTとレントゲンを撮る。先生曰く「血尿が見られない。CTにも結石が写っていない。尿の流れもいい。たぶんもう流れてしまったのではないか」。 えっ、あ、そう? 「でもまだ左腰は触ると痛いんですが。」「2〜3日は痛みはあるかもしれません。痛み止めを追加で出しましょう。」
 ということで、私の尿管結石さわぎが終わった。まだ少し痛いが、あの時の痛みに比べれば1/100にも満たない。会社では結石経験者の同僚から、機械で壊した、薬で流したと色々な話を聞かされたが、もうその時には私の結石は流れていたとは、いやはやあっけない顛末。だがもう2度と味わいたくない経験。食生活を改める必要があるか、いややっぱりストレス性尿管結石なのか。鍼灸院の先生は「ストレスで尿が濃くなって結石を作りやすくなる」と言っていた。やはり上司に対するストレスに違いない。