とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

ユーロ2012開幕戦は混迷のドロー。ギリシャ気持ちで危機から反発。

 ポーランドウクライナの共同開催となったユーロ2012。前回のスイス・オーストラリア大会は経済復興著しいロシアの台頭、トルコのがんばり、そしてスペインがW杯につながる優勝を飾った。その時々のヨーロッパ情勢を微妙に反映するというイメージもあるが、今年のユーロ2012はどうなるだろうか。可愛くも楽しい開幕セレモニーの後、開催国ポーランドと経済危機でお騒がせのギリシャの開幕戦で大会が始まった。
 序盤4分、CMポランスキーから右サイド、ピシュチェクが上がり、クロスにレヴァンドフスキーが落としたところを右SHブラシュチコフスキーがシュート。DFのブロックこぼれ球をCMムラフスキーがシュート。ゲームはポーランドの優勢で始まった。
 ギリシャはボールを持ってもゆったりとパスを回し攻めていかない。12分、カラグーニスのFKにCFゲカスがヘディングシュート。当然攻撃はセットプレー頼み。だがポーランドはその直後、ブラシュチコフスキーがMFオブラニャクとのワンツーで抜け出しシュート。ポーランドは速い攻めを繰り出していく。14分にはオブラニャクを起点に右SBピシェチェクが上がり、ブラシュチコフスキーのスルーパスでさらに深く抉る。クロスにレヴァンドフスキーが飛び込むが、わずかに届かない。
 しかし17分、もう一度オブラニャクを起点にブラシュチコフスキーが右サイドを抜けてクロス。今度はファーサイドに逃げていったレヴァンドフスキーにピタリとあってヘディングシュート。強烈にネットに突き刺さる。ポーランド先制。
 ギリシャは左SHサラマスがボールを持って前に運ぶが、サポートがなく孤立する。遠目から放り込み、CFゲカスの高さ勝負に委ねるだけの単調な攻撃。ポーランドDFの集中力は高く、悠々とはね返す。30分過ぎ、CBアヴアラム・パパドプロスが右足筋肉系の故障。一時ピッチに戻ってがんばるが、37分、キリアコス・パパドプロスに交代する。
 そして44分、オブラニャクがドリブルで体勢を崩し倒れると、もう一人のCBパパスタソプロスにファールの判定。しかもイエローカード。2枚目。退場を宣告される。これは厳しい。直後にはPA内でポーランドのCBペルキスの微妙なプレーにホレーヴァスが抗議。イエローカードを突きつけられる。ホームディシジョンと言われても仕方がない。かわいそうなギリシャ
 それでも後半に登場した選手たちは落ち着きを取り戻していた。後半頭から右SHニニスに代えてサルピンギディスを投入。3分、ポーランドは右SBピシェチェクのドリブルからレヴァンドフスキーが外に抜け出しシュート。
 ところが6分、CBパパスタソプロスの退場でCBに下がったカツラニスからボランチに下がったマニアティスに縦パス。右SBトロシディスがこのゲーム初めての上がりを見せると、クロスにCFゲカスが飛び込む。DFとGKが重なってこぼれ球にサルピンギディスが飛び込みシュート。なんとギリシャが同点に追い付いた。
 後半に入ってポーランドの動きが停滞する。ボールを持っても前半のような速い動き出しが見られない。ギリシャは18分、CBカツラニスのスルーパスにサマラスが抜け出すが、タイミングが合わず、シュートはネットにかける。ポーランドも21分、ポランスキーのドリブルから左SBベーニシュのクロスに左SHリブスがヘディングシュート。
 後半に入り勢いの出たギリシャは23分、ゲカスに代えてフォルトゥニスを投入。するとその直後、サマラスのポストからフォルトゥニスのスルーパスにサルピンギディスが走り込む。GKシュチェスニーが飛び出すと、足がサルピンギディスの足にかかる。PK。一発退場のレッドカード。
 このピンチにポーランドはリブスに代えてGKにティトニを投入。カラグーニスが蹴ったPKはGKティトニが止める。汗まみれで倒れ込むカラグーニス。だが35歳ベテランのカラグーニスギリシャを引っ張る。29分、後方からのフィードをサラマスが背中に当てて、前にこぼれたボールをフォルトゥニスが拾い、クロスにサルピンギディスが飛び込む。シュート。ギリシャが勝ち越す。と思いきや、サラマスからのボールがオフサイドの判定。ギリシャ残念。
 場内はホームのポーランドに攻撃を促すが、ポーランドの選手たちに動きがない。中盤も空いてプレスがかからない。ギリシャカラグーニスが老骨鞭打ってという感じでチームを引っ張るが、疲れきっている。40分、CBヴァシレフスキーのフィードにレヴァンドフスキーが抜け出し、シュートを放つがサイドネット。結局、ポーランドギリシャとも全てを出し尽くしてのドロー。
 勢いは前半だけというポーランドの戦い方には疑問符が付くが、ギリシャの気持ちのこもった反撃で楽しめるゲームとなった。日本代表のヨルダン戦を思うと、これらのチーム相手なら日本の方が強いと思うが、ユーロにかける気持ちはW杯最終予選に劣らない。「経済危機に苦しむギリシャ国民の少しでも力になれば」というカラグーニスの言葉も泣かせる。混迷のユーロ2012を予感させる開幕戦と言えようか。