とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

イタリアの勇気、スペインと互角の戦い。

 ユーロ2012、グループCは優勝候補スペイン対イタリアの戦い。八百長疑惑などで姦しいイタリアだが、そういう時に限って活躍するという噂もある。スペインは先発メンバーのうちバルセロナが5人、レアル・マドリードが4人、その他が2人という混成メンバーでどんなハーモニーを奏でるのか。いわゆるFWの選手はいないゼロトップの布陣も楽しみだ。
 だが意外にも、カテナチオの国イタリアが高い位置から攻めてくる。チャンピオンズリーグで各チームがバルセロナに対したように、守備ブロックを固める戦い方をしてこない。逆に高い位置からプレスをかけ、スペインを押し込んでいく。10分、カッサーノからバロテッリミドルシュート。スペインは11分、カウンターからセスク、イニエスタとつないで、最後はダビド・シルバが切り返してシュート。GKブッフォンが正面でキャッチ。イタリアも13分、ピルロのFKが枠に飛ぶ。GKカシージャスがナイスセーブ。
 考えてみるとイタリアのサッカーはユベントスのサッカー。中盤底に位置するピルロから正確な縦パスが前線に飛び、カッサーノが走り込む。スペインはいつもどおりパスをつなぐ。15分、セスクからイニエスタがポストになってD.シルバがシュート。イタリアは20分、ピルロの長いスルーパスカッサーノが走り込む。22分にはマルキージオのスルーパスカッサーノが抜け出し、クロス。バロテッリが届かない。
 イタリアの高いプレス、厳しいチェックの前にスペインが攻めあぐねる。GKカシージャスまでカッサーノがチェックをかける。そんな中、スペインではイニエスタだけがいったんボールを持つと、DFに囲まれながらもスルスルと抜けていく。
 だがイタリアの攻撃が鋭い。34分、ピルロのスルーパスカッサーノが受けて中へドリブルからシュート。GKカシージャスがナイスセーブ。こぼれたところにバロテッリが詰めるが、ピケがかろうじてブロック。36分、カッサーノのクロスにマルキージオボレーシュート。またもGKカシージャスのスーパーセーブ。
 スペインも負けてはいない。43分、シャビの縦パスをD.シルバがポストになって、セスクがシュート。DFがブロック。44分、シャビの速い縦パスを受けてイニエスタがシュート。わずかに枠の外。45分、カッサーノのクロスにモッタがぽっかりフリーでヘディングシュート。カシージャス至近距離でスーパーセーブ。前半はイタリア・ペース。スペインはGKカシージャスのスーパープレイで何度も救われる。
 後半に入って、スペインが圧力を強める。4分、イニエスタからシャビのスルーパスにセスクが抜け出しシュート。GKブッフォン、ナイスセーブ。5分にはシャビのミドルシュート。6分、セスクのスルーパスイニエスタがシュート。GKブッフォン、またもスーパーセーブ。
 だが、イタリアも負けていない。8分、キエッリーニのフィードにセルヒオ・ラモスの守備が中途半端。バロテッリが拾ってドリブル独走。だが、GKとのタイミングを計っているうちにセルヒオ・ラモスに追い付かれ、クリアされる。イエローカードを1枚もらっていたバロテッリは12分、ディナターレに交代する。
 すると15分、ピルロが中盤からスルスルとドリブルで持ち上がり、スルーパスディナターレが抜け出す。GKと一対一。シュート。ゴール。なんとイタリアが先制した。
 しかしスペインはそこから底力を見せる。19分、PA手前でイニエスタがキープからD.シルバ。左アウトサイドのスルーパスにセスク・ファブリガスが抜け出しシュート。あっという間、電光石火の同点ゴール。
 その直後、スペインはセスク、D.シルバに代えて、ヘスス・ナバスフェルナンド・トーレスを投入。イタリアはカッサーノに代えてジョビンコ。両チーム、次第に中盤が空き始める。30分、ナバスのスルーパスにF.トーレスが抜け出し、GKと一対一。だがブッフォンが身体を寄せてボールを奪い取る。イタリアは32分、ジョビンコのループ状のスルーパスディナターレボレーシュート。枠を外す。
 40分、シャビからF.トーレスがいったんポスト、シャビのスルーパスにF.トーレスが抜け出し、今度はGKの上を抜くループシュート。だが大き過ぎる。44分、マルキージオのドリブルからモッタとのワンツー、マルキージオがシュート。GKカシージャスの正面。ロスタイムにはイニエスタのドリブルからシャビが落とし、シャビ・アロンソミドルシュート。枠を外す。
 結局、ここでタイムアップ。イタリアがここまでスペインを苦しめるとは思わなかった。バルセロナのパスサッカーは着実に世界のサッカーを変えつつある。イタリアもユベントス流の正確なスルーパスと速い抜け出しで何度もスペインDFをあわてさせた。今大会、ピルロ率いるイタリアも見逃せない。