とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

恒例、車山高原。その前に藤森照信、そして古谷誠章

 先週の3連休は暑かった。どこか涼しいところへ行こうということで、最終日の16日に家を出た。エンジンをかけた時にはどこへ行くか、まだ未定。それでもカーナビの目的地リストを見て、いつもの車山高原にセット。9時過ぎに家を出発した。

 途中で思い立って、経由地設定。「茅野市神長官守矢史料館」。本当の目当ては近くにあるという高過庵と空飛ぶ泥船。いずれも藤森照信氏の作品だ。
 11時半位に 茅野市神長官守矢史料館に到着。受付・管理担当のおじさんが親切に解説してくれる。建物はRC造2階建てで、屋根はフランス産の天然スレート、地元産の鉄平石とサワラ板葺。内壁の土壁はRC造にモルタル塗の上に藁を混ぜた土壁を塗ったもの。2階へ通じる可動式梯子も操作してくれた。階段手摺は特製鋳物。正面に伸びる2本のイチイの柱に打ちつけられている鳥を模した装飾は「薙鎌(なぎかま)」と呼ばれる古代の武器。夜間は装飾の明りが洩れる照明も面白い。

 ロビーには御頭祭の様子を展示。鹿の頭が多く並び、生贄の御柱、お供えの供物は鹿肉の脳味噌あえ。げっ! 今も諏訪神社上社で毎春執り行われるが、その際には75頭の鹿が集められる。と必ず1頭は耳に切れ込みがある。ってホンマかいな。

 なんてことを説明してくれる。親切で楽しい。
 史料館を左手に進み。墓地を抜けて農道に出ると、その先に異様な浮遊物体が。これが「空飛ぶ泥船」。これは2010年、茅野市美術館の藤森照信氏の展覧会が行われた際に、一般市民とともにワークショップで作成されたもの。昨年、この場所に移設された。両側2本ずつの柱から吊り下げられ土で塗り固められた物体は茶室。まるで「ハウルの動く城」。どんぐりが空を飛んでいる。ちゃんと中に入れるようにじり口のような入口があり、地上脇には梯子も添えられている。ただし厳重に鍵で固定されている。あの中空から、揺られながら茅野の街と車山高原の山々を眺めるのは気持ちいいだろうなあ。とても楽しい建物である。
 そのさらに奥に聳えるのは「高過庵」。こちらは「借りぐらしのアリエッティ」。自然の木の上に作られたツリーハウスは、床下からなじり入る茶室。これも同様気持ちよさそう。ちなみにこちらは2004年に竣工している。

 藤森作品を満喫して、次は茅野市民館へ。こちらも数年前に訪れたことがあるが、娘に見せるのは初めて。着くなりカメラ片手に飛び出していった。設計は古谷誠章。市民との共同ワークショップを重ねて設計。茅野駅から連続して小さな図書館とホール、美術館等から成る。ひと巡りした後にレストランカフェ・アンダンテで食事。中庭に面し、気持ちのいい席で美味しい昼食。食事後ももう一度歩き回って建物を観賞。現代的で素直なデザイン。奇を衒わず、センスあふれる上質の建物だ。
 しばしのんびりしてから、車山めざして出発。リフト乗り場の駐車場は満杯で、道路下の駐車場に止めて歩く。リフト乗り場も列ができている。それでも大して待つこともなくリフトに乗ってあっという間に山頂へ。天気も最高。そして涼しい。八ヶ岳の右側に意外に大きく富士山が見える。気持ちいい。
 いつまでもいたい気分だが、4時過ぎに山頂から降りて次へ移動。お土産を買って、車山肩へ。こちらは少しニッコウキスゲが咲いている。まだ、つぼみも多い。満開には2週間早いかな。山小屋ころぼっくるでベンチでのんびりミルクコーヒー。そしてレアチーズケーキ。美味しい。陽も次第に次第に陰ってきて涼しい。気持ちいい。夕方は日没までオープンとのこと。
 それでも5時半近くなってそろそろ帰ろうか。夕食は茅野市民館でゲットした地域情報誌「スワシュラン」を見て、信州諏訪みそ天丼会事務局へ電話。諏訪大社上社本宮近くの民芸食事処「やまさや」を紹介してもらう。もちろんみそ天丼を注文。川海老、野沢菜漬け、海老天、そして季節の野菜の天ぷらに温泉卵が乗って、ブレンドしたみそだれをかける。これがまた美味しい。一口そばも付いて1280円。
 帰りは途中で娘に運転を交代してもらって9時頃に帰宅。暑いよー。ずっと車山にいたかった。