とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

積算ミス根絶のためのH氏メソッドの導入

 建築設計を行っていて一番最後の段階は積算である。決定された設計図を元に、必要な部品や材料、工数等を拾い上げていく。建築物の場合、使用される工種や材料が膨大で、それらを間違いなく計算していくのはかなり困難な作業であり、建築積算士という資格が存在するほどである。逆に、建築積算士が算出した数量計算書については、その後のチェックも甘くなりがちなのが実情だ。
 ところが我が社にはこれらのミスをたちどころに見つけて指摘するH氏がいる。その異能を十分活用すれば便利なことこの上ない。が、問題が一つある。H氏が上司だということだ。文言の食い違いの指摘程度であれば「おっしゃるとおりです。ありがとうございます」で済むが、先日は大きな積算ミスが見つかって「いったい何をやっているんだ」とお叱りを受ける羽目となった。
 担当者相互の検算や上司によるチェック、同種物件との比較検討等も実施しているのだが、それでも見逃してしまうミスがある。
 H氏は上司なので、ミスの指摘だけでなく、「設計の意図は何か」「同種の設計との変更点と理由は何か」など、設計そのものに対する質問も多くある。これらに対応し、某課では、H氏の指摘事項をまとめて担当者に配布していた。さっそくそれを取り寄せ、うちの課独自の「H氏への傾向と対策」をまとめることにした。
 しかしどうしたらH氏のようにミスを発見できるのか。それを解明することが必要だ。もちろんH氏の異能による部分が大きいとは思うが、まずはH氏のチェック方法を真似ることから始めよう。これまでH氏から直接質問を受けた者数人に、その内容や指摘事項をまとめ、整理・分析することを依頼した。「積算チェックリスト(H氏メソッド)」の作成だ。
 次にこのチェックリストをいかに活用するか。これまで担当者相互の検算は行ってきたが、忙しい中で、担当外の建築物の設計内容を短時間に把握することは困難で、大項目のレベルで電卓を叩いたり、手作業で入力する項目のチェック位にとどまっていた。直属の上司だと設計内容が一番の関心事だし、日程管理も気になる中で、積算チェックは大概になりがちだ。そこで他グループの上司がチェック・検算をする仕組みを取り入れようと思う。「H氏なりきりチェック」の実施だ。
 これらの方法がどれだけ効果があるかわからないが、「もっとしっかりチェックしろ」と精神論をぶってもしょうがないし、まずはできるところから。それにしてもあんな異能を持っているなんてうらやましい。いや僕なら却ってもてあますかな。