とんま天狗は雲の上

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日本、京都議定書達成見込みという事実。

 日頃愛読している「霞が関公務員の日常」というブログに「2011年の温室効果ガス排出量発表。京都議定書達成はとりあえず確実」という記事が出ていたのは先月9日のこと。その時はえっ!と思ったけど、この時の記事は環境省から公表された速報値をベースに国のキャリアであるまろりいさんが個人的に検討をしたもので、そのうちマスメディアでも大きく報道されるものと思っていた。
 その後、昨年12月22日付けで環境省から「京都議定書目標達成計画の進捗状況について」という報道発表が行われている。これに添付された地球温暖化推進本部の文書を読むと、非常に慎重な書き振りで、「東日本大震災後の原子力発電の稼働状況、節電等による電力需要の状況、経済活動の状況、気象状況などの予見が困難な要因に大きく影響を受けるため、第一約束期間を通じた見通しを現時点で示すことは困難である。」と書かれているが、内容をよく読むと、2008年から2010年の3年間に「約5%の超過達成の状況」とある。
 京都議定書は2008年から2012年までの平均で規定しているから、直近2年間でそれ以前の3年間より1割以上も過剰に二酸化炭素排出をしていなければ達成できるという計算になる。大震災後、全国の原発がいったん停止するという状況になったものの、一方で電力会社は執拗に節電を訴え、また実際かなりの節電も達成したところであり、加えてこの間の経済状況も全国的に工場がフル稼働なんてことは全くなかったわけだから、まろりいさんが言うように余裕で達成することは間違いないと思われる。
 もっとも目標達成の要因は、実排出量が+0.2%、森林吸収分が−3.8%、政府購入のクレジットが−1.6%、電力会社購入のクレジットが−4.0%で、他国の排出量を金で購入した結果ではある。しかしルールはルール。新聞各紙の報道は実排出量の増加を危機感をもって煽る感じのものが多かった印象だが、目標達成の見込みをきちんと報道することで、京都議定書の本質が明らかになったのではないだろうか。
 最近ネットで目にして驚いた情報としては「日経ビジネス:中国労働人口、年内に減少へ!」もある。これなども今後の経済運営や経営戦略に大きく影響する話題でもっと話題になっていいように思うが、新聞等の反応はほとんど見られない。分析が必要ということだろうか。何となく作為的なものを感じてしまうのは私の日頃のメディア不信がなせる技なのだろうか。