とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

先食いの景気対策よりも消費増税後の景気落ち込みの予感に気が滅入る。

 先週土曜日の中日新聞にエッセイスト内藤洋子の「安倍総理国防軍の言動を聞いて、今年の正月は例年の1/10ほどのめでたさ」という趣旨のコラムが掲載されていたが、私も新年が明けて以降、全く同じ気持ちでいる。私の場合は特に経済政策に対して気が滅入っている。
 国は国債残高の大幅増額も意に介さず大型補正予算案を公表。来年度当初予算も公共事業を中心とした大幅増額に向けて、概算要望の差し替えをしているそうだ。それで景気が回復するならいいが、どうも将来の経済を先食いしているだけのように感じてならない。仮に先食いの景気対策で経済状況が多少好転しても、それを根拠に消費増税を行うならば、来年春以降の景気の落ち込みは尋常ではないと想像できる。それを思うと今から気が滅入って仕方がない。
 景気回復と言ってもサラリーマンにとっては給料に反映しなければ何の意味もない。だからインフレターゲットも本当に怖い。麻生大臣が地方公務員の給与の抑制に言及しているが、公務員の給与が下がれば連動して多くの会社員の給料も下がる。経団連も今春の春闘定期昇給さえ認めないなんて発言しているし、生活保護費も引き下げると言う。これでどうして景気が回復するのか理解できない。2%のインフレ+3%の消費増税で5%物価が上昇しても、給料に反映するのは早くて2年後。その頃には景気対策の効果も消え失せ、給料増額は反故にされ、ますます窮乏する国民が増えることが目に浮かぶようだ。
 「世に倦む日々:夜をさまよう『マクド難民』―軽減税率は導入されない」によれば、最近はネットカフェの一泊1000円さえ払えず、一杯100円のコーヒーでマクドナルドで夜を明かす生活困窮者が増えていると言う。そのうちマクドナルドはこうしたホームレスで占拠され、日々の生活の中で景気の低迷を実感するようになるのだろうか。貧困がもっと日常的に我々の眼に触れるようになってくるのかもしれない。
 住宅業界の賀詞交歓会に出席したら、某住宅メーカーの社長が消費増税前の駆け込み需要に勝利しようと吠えていた。そういえば私もささやかな生活防衛として、今年4月に9年目を迎えるクルマの買い替えでも考えようか。そんな金があれば将来に向けて貯蓄をしておいたほうがいいのかどうか。貯蓄をしておいても、円はいつまでその信用を維持できるのか。大暴落するのであればモノに換えたほうがいい。
 週末についに娘がスマホに買い替えた。親子で買えば2台で2万円値引きに心が動いたが、よくよく考えればスマホにすると今より月5000円は通信料が増える。2万円と言ってもたったの4か月分だ。ならば4か月我慢をして、それでも必要ならその時に決断しても一緒。そして4か月後にどうしても必要になる可能性は低い。そう考えて親子買いは見送った。
 世の中は庶民から少しでも金を搾り取ろうと虎視眈々と狙っている。何が一番得なのか。そんな生き馬の目を抜くようなことは考えずに、毎日心穏やかに暮らしたい。そんな庶民のささやかな思いを打ち砕き、締め付けるとは、いったい政府は何を考えているのだ。我々は毎日平和に心安らかに暮らしたいだけなのに。