とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

被害妄想の国・ニッポン

 今年から柔道の国際ルールが変わったそうで、「また日本に不利になった」と先週のサンデーモーニングで騒いでいた。これまでもスキージャンプのスキーの長さやスキー複合のポイント計算が変更され、途端に日本勢が金メダルを取れなくなったなんていう報道もあった。スキージャンプで言えば、今シーズンもポイントルールの変更があったみたいだけど、さっぱりわからない。
 かと思えば、バスケットボールなんて絶対に平均身長の高い国や人が有利だと思うけど、身長でランク分けとか、身長制限なんて話は聞かない。サッカーも身体が大きい人種の国が有利だと思うけど、昨年のオリンピックは日本と大して身長の変わらないメキシコが優勝したわけで、あまりルールを変えるのもどうかとは思う。
 たぶん日本だけを目の敵にしているんじゃなく、より公平で面白いゲームにしようとしたら、たまたま日本に不利になる部分があったということなんだろう。
 サンデーモーニングでは、この話題に入る前に、橋下市長の従軍慰安婦発言問題などを扱っていて、その中で「どうして日本だけが非難されるのか」というフレーズが使われた。たぶんこれも、他国で橋下市長のようなことをしゃべった政治家がおれば、同様に非難されるだろうし(フランスの極右党ではそんな人もいたような気がする)、だからこそ在日米軍海兵隊司令官は橋下市長の言葉に反応せず否定したのだろう。つまり「日本だけ」ではないのではないか。
 先日、妻から「『尖閣諸島竹島問題に対してちゃんと対抗していかないと、中国人や韓国人にやられてしまう』ということを言う人がいてびっくりした」という話を聞いた。ちゃんと対抗していくのは当然としても、「やられてしまう」っていうのはどういうこと? まさか中国や韓国が九州や沖縄に侵攻してくるとでも思っているのか。もちろん中国が南アジアや西アジアなどで領土問題を起こしていることは知っているし、沖縄の帰属について中国高官の発言があったことも報道されている。しかしこれらの動きに対して、明日にも侵攻されると被害妄想に陥ることなく、他国の国内事情なども十分分析し、冷静に対処していくことが必要だ。沖縄発言は尖閣問題に対抗して発せられた可能性が考えられる。被害妄想の連鎖をしていてもお互い何もいい結果をもたらしはしない。
 しかし被害妄想は国民のナショナリズムを刺激し、救国的な気分を高揚させるのだろう。そして冷静に自己判断することなく、高揚した気分のまま、安易に他人に判断を委ねてついていってしまう。今回の橋下発言は、高市氏による村山談話批判と同様、安倍総理の海外からの極右政権批判をかわすための目晦まし作戦というのが真相ではないか。政治家やマスコミの言葉には安易に感情的に反応しないことが肝要だ。