とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

若々しく美しい組織サッカーのエスパルスだが、ベテランの意地と技のアントラーズの前に清々しくも散る。やはり点が取れないと勝利はやってこない。

 前節グランパス相手に美しい組織サッカーを見せたエスパルス。後半44分の失点で勝負には負けたが、内容的には十分グランパスに対抗していた。そして今節の相手はナビスコ杯から3連敗中のアントラーズ。岩政、野澤、中田らのベテランをベンチに置いて、CB山村、左SB前野、右SH遠藤を先発。心機一転勝利をめざす。それでも平均年齢は28歳。エスパルスの24歳がベテランの技に挑む。
 エスパルスはバレーと伊藤の2トップの下に左から河井、村松、竹内、六平のMFがきれいに横一戦に並ぶ。最終ラインも高く、積極的に速いプレスをかけるアントラーズに対して互角に対抗する。
 9分、CH小笠原のCKからFW大迫のヘッドで左SHジュニーニョが抜け出すが、シュートはGK櫛引がナイスセーブ。エスパルスも17分、スローインからバレーのポストプレーに左SH河井がミドルシュート。今度はアントラーズのGK曽ヶ端がナイスセーブ。一進一退の展開だったが19分、河井のCKをGK曽ヶ端とCB平岡が競り、こぼれ球をCB杉山がつなぐと、FW伊藤がヒールシュート。これがきれいに決まり、エスパルスが先制した。
 しかし次第にアントラーズが圧力を強めると、32分、FW大迫がドリブルで仕掛け、CB杉山をかわしてシュートのこぼれ球を左SHジュニーニョがシュート。豪快にネットに突き刺してアントラーズが同点に追い付いた。さらに35分には遠藤のクロスをGK櫛引がはね返すと、左SB前野がミドルシュート。CB平岡がブロックした。
 前半は両チーム組織立ったプレーによくボールが動く。特にエスパルスの2ラインは美しくセカンドボールへの寄せも速かった。
 後半7分、左SHジュニーニョのクロスのこぼれを右SH遠藤がミドルシュートエスパルスも11分、CH竹内から右斜めの見事なスルーパスに右SH六平が走り込みクロス。だがバレーに合わない。エスパルスは守備や攻守の切り替えは見事なものの、攻撃がなかなか形にならない。期待されたバレーも他の選手との連携が不十分。伊藤のドリブルを身体をぶつけて倒してしまう始末。
 15分、左SBイ・キジェのクロスから河井がミドルシュート。わずかにバーの上。アントラーズも17分、CH小笠原の見事なクロスからFWダヴィがヘディングシュート。これもバーの上に外す。18分、ジュニーニョのクロスを遠藤が戻し、大迫がシュートもCB平岡がブロック。
 アントラーズは19分、ついに遠藤に代えて野澤を投入。21分にはスローインから野澤の落としにCH柴崎がミドルシュートエスパルスは23分、河井のクロスにCH村松がヘディングシュート。27分、河井のCKからCB平岡がヘディングシュート。だが、どちらもゴールが決まらない。そして30分、アントラーズダヴィに代えて本山を投入。すると本山がパスを引き出し、アントラーズの攻撃に変化をつけていく。34分、本山のサイドチェンジからジュニーニョが抜け出し、GKとの一対一をかわしてシュート。ゴールライン上でCB平岡がナイスブロック。しかし直後の野澤のCKにCB青木がヘディングシュート一発。ついにアントラーズが勝ち越した。
 するとさらに39分、今度はジュニーニョがドリブルでPAに迫る。ずるずる下がるDF。そして野澤が抜け出してシュート。3点目。アントラーズが突き放す。エスパルスは38分石毛、41分には村田と高木を投入し、反撃を仕掛ける。42分、イ・キジェのクロスから伊藤がシュートを放つが、GK曽ヶ端が飛び出しブロック。チャンスを逃すと、そのままタイムアップ。アントラーズがベンチスタートのベテランの活躍で勝越し点を重ね、3-1。アントラーズが若いエスパルスを粉砕した。
 美しくもはかない敗戦。守備は美しいが、どうやってゴールを入れるのか、その筋道が見えない。バレーは雑で美の中の汚点に過ぎない。石毛や高木を先発から起用すると、守備ラインが崩れるのだろうが、だからと言って最後まで無失点で抑えきれるわけでもない。攻撃手段を見つけないと、このままずるずる落ちていきかねない。なんとかならないのだろうか。美しいだけにもったいない。