とんま天狗は雲の上

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審査力と管理力。プラス政策力。

 昨今、建築技術者の技術力の低下ということがよく言われる。少子高齢化に伴い、高い技術を身に付けた人材が高齢化し、一方でコンプライアンスの強化や効率化が進められる中で、ただでさえ少数の若年技術者が書類作成等に追われ、現場に出ていかない、モノづくりの現場を知らないといった類の話だ。
 実際、何らかのミスが発生すると、技術力の低下が指摘されるのだが、「ところで技術力って何?」と常々思ってきた。建設作業に従事する職人ならば、まさに作業能力が技術力だが、現場監督であれば多種多様な職工を束ね、また調達・交渉等の金銭的な管理も含めたマネジメント能力が技術力として求められるのだろう。
 では、建築行政の世界ではというと、建築技術者の業務として建築確認等の審査等と公共工事の設計監理に関する業務の大きく二つが期待されている。そういう意味では、建築法規をよく知って間違いなく指導・指示ができる「審査力」と、工事を期日までに確実に完成できるよう、現場のことをよく知り、設計・発注・施工の各段階で円滑に事業を進捗させていく「管理力」が求められる。この二つに加え、ある程度昇進した際には、政策立案能力も必要とされるから、プラス「政策力」が建築行政の技術職員として求められる技術力かなと思っている。
 ちなみに、前者の「審査力」は知識や技術などの「静的」な知識ストックが求められ、後者の「管理力」には、交渉や調整などの「動的」な能力が重要である。もちろん、審査・指導にあたっては単に理解しているだけでなく説得し説明することも重要であるし、管理力も現場で何が行われているか十分理解していなければ説得力を持って進めることができない。だが大きく分ければ「知識」と「活用する力」が重要になる。でもこれってどんな仕事にも求められる能力だよね。
 「技術力って何だろう」と考えていたら、一般論にたどり着いてしまった。ま、何でもそんなもんだろうけど、基本から積み上げることで理解できることも多いのかもしれない。