とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

ネットのバカ

 中日新聞の特報ページに筆者が連載している「ネットで何が・・・」を毎週楽しく愛読している。ネトウヨステマなど色々と話題に欠かない最近のネット界の出来事を紹介するコラムだ。その中川淳一郎の本ということで手に取った。
 コラムを読みつつ感じていたが、まさに筆者の意見に同感だ。ネットを使ったところで人間の能力が上がることはない。ツイッターにしろ、フェイスブックにしろ、ブログにしろ、発言には細心の注意と覚悟が必要な不自由なツールだ。ネットは強者をますます強者にし、一般人がネットに嵌っていいことはほとんどない。かつ、バカ、エロ、バッシングがウケル下劣な世界。
 所詮ツールなので、うまく使いこなせばいいだけのこと。だが漫然としているといつの間にか引き込まれ、視野・思考が偏狭になっている恐れがあるので十分注意が必要で、ネット中毒にならないためにも読書やリアルな人間関係が重要。本を読んだ方が「知の差別化ができる」とか、20年後のソーシャルメディア高齢者のコミュニティツールとして真価を発揮しているだろうなどの記述はなるほどと思う。
 それでも筆者はネットニュース編集者。まさにネットで食べている人間だ。だからこそネットを冷静に客観的に見ている。それに間違いはないように思う。ネットに嵌るなんてほんとバカみたい。重々自分がネットのバカに陥っていないか、注意しながらネットを使いこなしたい、楽しみたい。やはりネットから離れることはできそうにないから。

ネットのバカ (新潮新書)

ネットのバカ (新潮新書)

●ネットはあくまでも、リアルの場で実績がある人をさらに強くするものなのだ。・・・知名度は「格差」を生むのだ。(P72)
●ネットがあるから多様な意見を知ることになった、という主張は嘘である。・・・ツイッターは、「狭く深く」知るには向いているツールなのである。だからこそ、ツイッターをやるにしても、複数IDでまったく異なる人をフォローすべきだし、ネット以外のマスメディアに積極的に触れるべきなのだ。(P195)
●私は書籍こそ今は読むべきだと思う。というのも、ほとんどの書籍は大抵1万部以下しか売れない。ベストセラーと言われる書籍でも10万部いけば御の字である。ということは、書籍を読むと知の差別化ができるのである。(P199)
●普段からやること、充実できることを持っている人は、別にネット上で過度にコミュニケーションを取る必要はない。仕事を引退して時間のある高齢者にとっては良いコミュニケーションツールなので、20年後のソーシャルメディアは相当多くの高齢者による書き込みが増えるだろう。その時こそ、ソーシャルメディアはその真価を余すことなく発揮するかもしれない。(P217)