とんま天狗は雲の上

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食品偽装事件は日本特有の問題?

 大阪のホテルでレストランのメニューと違う食材が使われていたと問題になっている。昨日には阪急阪神ホテルの社長が辞任会見を行ったようだが、リッツカールトン大阪の方は開き直ったままになっている。
 たぶん想像するに、訴訟対応に過敏なリッツカールトン側が「偽装は認めない」という方針を打ち出し、阪急阪神ホテル側がそれに合わせて会見を開いたところ、阪急阪神ホテルの社長の言動が日本人ゆえに、マスコミの追求が厳しくなってしまったというあたりが実情ではないか。
 「偽装ではなく誤表示」という説明は、社長辞任会見でも述べていたとおり、「騙そうという意図はなく、多少食材を変えても問題はないという甘い判断だった」という説明が正しいとすれば、必ずしも間違っているわけではない。それよりも興味を惹いたのは、リッツカールトン大阪総支配人のコメントにあった「日本特有の問題」という言葉だ。
 この言葉をそのまま受け取れば、「レストランの表示と使用食材が違っただけのことでここまで騒ぎになるのは日本だけだ」ということになる。たぶんそのとおりで、もっと言えば、単なるエビではなく芝エビ、単なるねぎではなく九条ねぎと表示して、それが差別化となって売り上げにつながるのは日本くらいということだろう。
 本当は、芝エビだろうがバナメイエビだろうが美味しければいいわけで、旬のバナメイエビと冷凍の芝エビではバナメイエビの方が旨いのかもしれない。シェフがその季節に一番おいしいと思う食材を使用してくれれば、エビであればなんでもいいはずだが、日本人はそこで表示に重きを置くということなのだろう(もっともやっぱり養殖冷凍のバナメイエビよりも芝エビの方がおいしそうな気がするが)。
 これと同じことは品質表示でも言え、食べ物が腐っているかどうかは自分の鼻や舌で判断すればいいものを、品質保証期間が1日でも過ぎれば廃棄してしまう。そういう文化なのだ。
 今後、この問題がどう展開するのかわからないが、さまざまな偽装騒ぎが報道されるたびに、どこまで厳格を求めるんだろう、ちょっとカッコつけたけどできないこともあるんじゃないの、といつも思う。「人間はミスする葦である」というのは、私が日頃から言っているジョークだが、大した被害も出ていないのに大騒ぎするのはいかがなものかと、「日本特有の問題」というコメントを見て思った次第。日本には「赦す」という文化はなかったんだっけ。