とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

読書感想文とは何か

 多和田葉子の「言葉と歩く日記」2月22日の項に「ドイツには感想文というジャンルはない」という趣旨の文章があった。「小学生の時から『感想文を書きなさい』ではなく、『文芸批評を書きなさい』と言われていれば、大人になっても文芸批評というジャンルに抵抗を感じないのではないか。」(P113)とあるが、いくらなんでも小学生に「文芸批評を書きましょう」というわけにはいかないんじゃないか。「文芸批評とは・・・」と説明しなくてはいけなくなる。そもそも小学生が「批評」という言葉を知っているのか。
 なんて多和田葉子に絡みたいわけではなくて、小中学生の読書感想文という課題は、「文芸批評を書け」というのではなく、作文をするにあたり、「読書経験をきっかけに感じたこと、考えたことを書け」という意味なんだと思った。すなわち、「○○(書名)を読んで感じたこと、考えたこと」をいうテーマの作文を書けということではないか、と。
 娘が小学生の頃、夏休みに読書感想文の課外指導があり、妻と娘で参加したことがある。こうした内容のものをこんな順序で書きましょうといった内容だったように聞いたが、今思えばあれはやはり文芸批評だったかも。
 なぜこの文章に反応したかというと、いつもこのブログの「読書」カテゴリーで書いているものは、「文芸批評か、はたまた読書感想か」と思った次第。もちろん「文芸批評」という意識はなく、「読書感想」だと思っているが、「ドイツには読書感想というジャンルはない」と言われるとドキッとしてしまう。
 私の「読書」カテゴリーには二つの意味があって、一つは何を読んだか、どんな内容だったかをすぐに忘れてしまうので読書記録として書いているもの。そしてもう一つは、読書をするとそれに喚起されて感じること、考えることがあるので、それを備忘録として残しているという意味。文章末尾の引用は、読書しながら気になった文章を書き写している。そうしないと読む端から忘れてしまう。そしてその前の本文は、内容を紹介する程度の説明文になっていることが多いが、時にインスパイアされると長文の感想が書かれることもある。
 で結局、このブログには「読書」をきっかけとするもの、「サッカー」をきっかけとするもの、その他の日々の出来事やニュースから感じたこと・考えたこと「雑感」を書き連ねている。読書感想文とはそういう意味だ。けっして文芸批評ではないと言いたい。