とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

欧州サッカー批評(9)

 今号の特集は「ペップ・バイエルン」。無敵だったバルセロナの戦術を昨シーズン3冠を獲得したバイエルンに持ち込んで、どんなサッカーを展開するのか注目されたグアルディオラだったが、易々とチームをさらに進化させ、バルセロナを上回る完全無欠のチャンピオンになりつつある。そのバイエルンのサッカーを分析する。
 もっとも私は今シーズン、あまりバイエルンのサッカーを観ていない。観たのはリーグ序盤のゲームだったから、進化形の現在のバイエルンのサッカーをよくは知らない。だが誌面を見ると是非とも観戦してみたいと思う。いやたぶんそんなに焦らなくても、きっとCL決勝まで進出すればTV中継はあるし、日本人選手が多く所属するブンデスリーガのゲームを見ていれば、そのうちバイエルンのゲームを見る機会もあるだろう。
 しかしあまりにも強くて一方的なサッカーを観るのはつまらない。そんな気持ちもあってあえて避けてきた節もなくはない。でもスペインやバルセロナのサッカーはたとえ一方的なゲームだとしても観ていて面白い。バイエルンもそんな魅力的なサッカーをしているのだろうか。やはり一度は観てみないことには始まらない。
 他の特集で興味を引いたのは、「サッカー界は男女平等か?」と題した鈴木肇氏のレポート。男女トップチームに所属する選手の給与を同一にしたスウェーデンのクラブチーム「リンハムン・ブンケフロー2007」を取材した記事だが、クラブ事情よりも女子サッカーを巡る偏見と経済的な状況が見えてきて興味深い。経営環境改善のために筆者は二つの改善を提案する。一つは女性らしいユニフォームの採用であり、もう一つは女性向けの競技規則の変更だ。私はこの提案に大賛成する。
 テニスでも男子と女子は違うスポーツだと感じられる。フィギュア―スケートはたぶん女子の方が人気がある。サッカーも同様で、女性の特性に合わせたルールにすれば、もっと楽しいスポーツになるのではないか。これは別冊の「欧州サッカー批評」ではなく、「サッカー批評」本誌の方で取り上げてもらいたいテーマだ。そうだ、今度は女子サッカー特集を読んでみたい。

欧州サッカー批評(9) (双葉社スーパームック)

欧州サッカー批評(9) (双葉社スーパームック)

バルセロナはポゼッションを高めるために、守備における高さや重さを犠牲にしてきた。・・・弱点はあるのだが、相手にそれを利用させなかった。/しかし、バイエルンがポゼッションで互角だとすると、その弱点は必ずつかれる。逆にバイエルンは引いて守ることができる。・・・つまり、バルセロナ化したバイエルンは、完全にバルセロナを凌駕するチームになりうる。より進化したバルセロナとして、バイエルンが王座に座る資格を得るわけだ。(P027)
●ファンはなぜゴール裏で歌を歌うのか。・・・歌いたいから歌い、踊りたいから踊る。そこに理由などない。バイエルンのゴール裏では、試合開始直後、歌わない、という選択肢もある。じっと佇んでいる。しかしその静けさが却って不気味で、威圧感を醸し出している。(P078)
●例えば、試合の30分前は何をしているのでしょうか? 「選手たちがウォーミングアップを始めたとき、一人でロッカールームに残って息子たちと話をする。最も大切に思っている人たちと会話を交わすことで、これから立ち向かう挑戦や、背負っている責任から少し距離を置くんだ。この世で最も美しい、フットボールの試合に落ち着きをもって臨むためにね。(P092)
●1点目は、ユニフォームをより女性らしくすることだ。・・・女性に魅力を感じてもらうことを考えると、現行のやや男性的なユニフォームは女子サッカーの足かせになっているのではないか。・・・2点目に挙げたいのが、競技規則の変更だ。つまり男女間の体力面や運動面での違いを考慮したルールづくりをすることである。具体的にはボールサイズの変更や試合時間の短縮、・・・ゴールサイズやピッチコートの縮小化だ。(P104)