とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

地雷野を往く思い

 先週半ば、上司が退社した。いなくなったのにまだその人の言動が気になる。既に過去の言動なのに、また何か言われたらと不安に思う。まさにトラウマ。本当に自分は彼に深く傷つけられたのだと思う。上司とは「ある日突然、躁状態がやってきた」のH氏のこと。
 退社が決まってから実際に退社する先週半ばまでの1週間にも色々なことがあった。発表があった当日まで直属の部下にも全く情報が伝えられなかったのは「自立の覚悟」で書いたとおりだが、その翌日も何も言わない。「退社までの1週間の予定はどうしますか?」と聞いたところ、「予定どおりやる」と言っただけ。「あ、そうですか」
 それでその週末に後任のS氏に引継をしたのだが、先週の退社する最後の日に、各課長を集めて最後の話をすることになった。その内容が耳を疑った。「S氏にはこれまでにないほどしっかりと引継をしたから、これまでとなんら方針に変更はないと思う。引き続き、しっかりと仕事を進めてほしい」。
 いや、普通に聞けば全く普通の言葉なのだが、S氏とH氏では全くタイプが違う。そのまま同じやり方で仕事が進められるはずがない。みんなもS氏になればこれまでの閉塞感が一掃されるだろうと期待している。S氏が就任した翌日、「H氏の方針をそのまま受け継ぐんですか?」と直截に聞いてみた。「H氏の言うことは黙って聞いてないといけないだろう」との言葉。結局、H氏はS氏が黙って聞いている様子を見て、理解したと思ったのだろう。H氏にはそういうところがある。黙って話を聞いて指示を仰ぐ部下は異常に可愛がり、反論をする者は評価を落とす。こうして歪になった体制を正常に戻していくのもこれからの重要な仕事だ。
 その後、先週末から各課の懸案事項についてS氏へ説明する会議が始められた。同席して初めて知ったが、H氏はこの4月に就任したばかりの副社長にも色々と自分の意見を吹き込んでいたらしい。しかもそれを課長ではなく担当者だけに伝えていた。何で? いや彼らしい。でもそんな独断専行による既成事実がどれだけ埋め込まれているのだろうか。大丈夫かな。
 突然の退社騒動だったが、その後様々な人の話を聞くと、どうやら昨年末位から色々と画策が始まっていたらしい。今になって思えば、当時どうしてH氏はそういう決定をするのかと疑問に思ったことが、そういう意味だったのかと腑に落ちることが多くある。逆に言えば、私が知らないところで行われた決定が思わぬところで問題になって現われる可能性も高い。いったい地雷はどれだけばら撒かれているのだろうか。
 まるで地雷野を進む思い。だが、そう思ってしまうことこそ、トラウマの大きさを物語っている。H氏はもう過去の人。いつまでも彼のことを考えてもしょうがない。そう思うのだが、いなくなればなったでなおのこと、心の傷跡が気になる。疼く。そう言えばH氏は最後まで「突然退社することになって申し訳ない。後はよろしく頼む。」などと謝ったり頭を下げることはしなかった。「俺が敷いた道のとおりに進まないと大変だぞ」と最後まで傲然としていたような気がする。
 H氏の敷いた道にこそ地雷が埋まっている。早く自立して自分の道を歩み始めよう。そうは思うのだが、自分の道へ至るまでは慎重に足を進める必要がある。しばらくは気が抜けないかもしれない。早くこのトラウマから脱して、気持ちよく仕事を進められるようになりたい。