とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

ネイマールの2ゴール、オスカルのキレキレドリブル、髪を切ったモドリッチ、西村主審のPK判定、見所満載のオープニングゲーム。クロアチアに足りなかったのはマンジュキッチと追加点。

 W杯が始まった。開催国ブラジルが登場するオープニングゲームはスタジアム全体がカナリア色に染められ、満員の観客に包まれた。そんな興奮した雰囲気の中、西村主審の笛が鳴り響いた。
 序盤、後方でパスを回すブラジル。クロアチアは守備を固めてカウンターを狙う。6分、左SBマルセロのFKをCBチアゴ・シルバがヘディングで折り返すと、CBダビド・シルバがヘディングシュート。クロアチアも7分、CHモドリッチの縦パスに右SHベリシッチが走り込み、クロスに左SHオリッチがヘディングシュート。両チーム、手堅い感じで様子見の立ち上がり。だが、クロアチアの中盤のプレスが厳しい。
 11分、中盤の争いからCHラキティッチがボールを奪い左に流すと、左SHオリッチがドリブルで駆け上がる。クロスにCFイェラヴィッチが走り込み、足を振るがシュートは当たり損ね。コースが少し変わって左SBマルセロの足に当たりゴールに転がり込む。オウンゴールクロアチアが先制点を挙げた。
 思わぬ失点でブラジルにエンジンがかかる。ブラジルが積極的に攻めていくが、クロアチアもしっかり守る。21分、右SHオスカルのアーリークロスにCHパウリーニョが走り込みシュート。GKプレティコサが正面でキャッチ。22分、右SBダニエウ・アウベスのフィードにOHネイマールが走り込み、ぎりぎりライン深く切れ込んでのクロスにDFがクリア。これを右SHオスカルがミドルシュート。GKプレティコサがファインセーブで弾き出す。
 クロアチアも守っているばかりではない。29分、FKの流れから右SHベリシッチのクロスにCFイェラヴィッチがヘディングシュート。しかしその直後、中盤の奪い合いからOHネイマールが抜け出すと、DFをかわしてミドルシュート。DFの足の間から飛んできたボールにGKプレティコサの反応が一瞬遅れ、手の先をかすめて右のポストぎりぎりにゴールに飛び込んだ。ブラジルが同点に追い付く。
 その後は両チーム、伯仲したゲーム展開。お互い大きなチャンスをつかむことなく、前半は1-1で終えた。それにしても、モドリッチは髪をばっさり切ったんだ。最初のうち、どこにいるのかさえわからなかった。全く別人の風貌になってしまった。
 後半に入り、ブラジルが押し込んでいく。右SHオスカルがキレキレ。6分には華麗なドリブルでクロアチア選手を翻弄してみせる。一方、クロアチアも負けずに中盤のプレスから押し返し、膠着状態でゲームが進む。16分、OHコヴァチッチに代えてブロゾヴィッチを投入。ブラジルも18分、CHパウリーニョに代えてエルナネス、23分には左SHフッキに代えてベルナルジを投入する。
 そして26分、右SHオスカルからのクロスをPA内で受けたフレッジが大袈裟に後ろに倒れてみせる。ビデオで見返すとCBロブレンがわずかに肩を引っ張っているが、フレッジの倒れ方がわざとらしい。だが西村監督は迷わずPKの判定。ネイマールの蹴ったPKにGKプレティコサがよく反応して手で弾くが、ボールはそのままゴールに飛び込んだ。ゴール。ブラジルが勝越し点を挙げた。
 32分にも右SHオスカルがDFを抜いてクロスにCBダビド・ルイスがヘディングシュート。やはりオスカルは絶好調だ。だがこの時間帯からクロアチアが必死に反撃する。38分、左SBヴルサリコのクロスに左SHオリッチがGKジュリオ・セザールと競って折り返し、こぼれをベリシッチがシュートするが、オリッチがファールを取られる。41分、CHモドリッチミドルシュートはGKジュリオ・セザールが横っ飛びファインセーブ。43分、CHモドリッチアーリークロスにCBコルルカがヘディングシュート。枠に入らない。さらにアディショナルタイム1分、右SHベリシッチがミドルシュート。GKジュリオ・セザールがファインセーブ。こぼれ球をOHブロゾヴィッチがシュートするが、CBダビド・シルバがブロック。
 そしてその直後、ピッチ中央付近でCHラキティッチからCHラミレスがボールを奪うと、右SHオスカルが拾ってドリブルからタイミングを外すトゥーキック。これが決まり、ブラジルが決定的な3点目を入れる。そしてタイムアップ。W杯開幕戦、開催国ブラジルが3-1で勝利した。
 結果だけ見れば順当。だがクロアチアにしてみれば、あのPKは厳しすぎる。西村主審も厳しい立場に置かれるかもしれない。ブラジルは先制されたもののネイマール、オスカル、ルイス・グスタボとキープレーヤーがしっかりプレーして確実に勝利を引き寄せた。最高のスタートと言える。一方のクロアチアは、3失点目が今後の結果にどう影響するか心配だが、十分、グループリーグ突破の実力があることを示したゲームだった。オープニングにふさわしい見応えのあるゲームだった。西村主審の微妙な判定さえなければもっと楽しめたのに。それが少し残念。