とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

柔よく剛を制す。イタリア対イングランド、両チームの特徴がよく現われたゲームだった。ジェラード気負い過ぎ。もうルーニーに主役を譲るべき時期ではないか。

 死のグループと言われるグループDの初戦、イタリア対イングランド。イタリアはデロッシをアンカーに置く4バック。その前にピルロとヴェラッティが座る守備を重視した布陣で先発した。GKは前日ケガのブッフォンに代わってシリグ。右SBもケガのデシーリョに代えてダルミアンが先発。対するイングランドはストゥーリッジのワントップにスターリングがトップ下に控え、マンUルーニーウェルベックはそれぞれ左右のSHに座る。CHはリバプールのジェラードとヘンダーソンのコンビ。
 序盤、イタリアがパスを回して隙を窺い、イングランドショートカウンターを狙う形でゲームが進む。3分、CHピルロの見事なスルーパスに右SHカンドレーバが走り込み、右に流して右SBダルミアンのクロスがゴール前に入る。対するイングランドも4分、OHスターリングの強烈なミドルシュートがサイドネットを揺する。
 その後、5分CHヘンダーソンのミドルシュート。11分、右SHウェルベックミドルシュート。19分、右SHカンドレーバのミドルシュート。23分、CFバロテッリミドルシュート。お互いなかなかゴール前までは入ってこれず、やや遠目からミドルシュートを狙う。と言ってもいずれも強力。あわやゴールの気配が漂う。24分にはイングランドが右SBグレン・ジョンソンの縦パスに右SHウェルベックが抜け出し、クロスにCFストゥーリッジが走り込むが、CBバルザーリがきっちりクリアする。お互いしっかり攻め合いきっちり守る。レベルの高い攻防が見られる。
 このまま無得点で終わるとすれば、グループリーグらしいゲームだよな、なんて思い始めた35分、イタリアがカンドレーバのショートCKから中につなぎ、CHヴェラッティがクロス。走り寄ったCHピルロがスルーするとCHマルキージオが全くのフリー。地を這う強烈なミドルシュートがCBケーヒルの股の下を抜けゴールに突き刺さる。イタリアが先制した。
 ところがイングランドも負けてはいない。直後の37分、OHスターリングから左に大きく展開すると、左SHルーニーが走り込んで、絶妙のクロスにCFストゥーリッジが合わせる。ゴール。あっという間にイングランドも追い付いた。
 前半はそのままいくのかと思ったら、終了間際、またイタリアが攻勢をかける。45分、CBバルザーリから右に展開。右SBダルミアンが中にドリブルで切れ込んでシュート。アディショナルタイム2分、CHピルロのスルーパスにCFバロテッリが抜け出すが、GKハートが飛び出て正面に構えると、下がってGKの上を抜くループシュート。CBジャギエルカがヘディングでクリア。さらに3分、CHマルキージオから左に流すと、SHカンドレーバがシュート。ポストを叩く。イタリアが攻勢のうちに前半を終えた。
 後半はまず4分、イングランドが攻め込む。CFストゥーリッジがドリブルからミドルシュート。GKシリグがナイスセーブを見せる。すると5分、今度はイタリアが反撃、右SBダルミアンからの縦パスに右SHカンドレーバが走り込むと、切り返しからクロス。ファーサイドで待つバロテッリがCBケーヒルの上からヘディングを叩き込み、イタリアが勝ち越した。
 前半あまり見せ場のなかったルーニーだが、後半に入ると、次第に存在感を見せ始める。9分、左OHルーニーがドリブルからミドルシュート。11分、左SHルーニーの大きなサイドチェンジをCHジェラードが落とし、CFストゥーリッジとのパス交換からPA内に入っていく。しかしイタリアのCBパレッタが肩で当たって弾き飛ばす。
 12分、イタリアはCHヴェラッティをモッタに交代。イングランドも16分、ウェルベックに代えてバークリーを投入。17分、左SBベインズのスルーパスに左SHルーニーが走り込んでシュート。意表を突いて左サイドを狙うが、ポストの左に外れる。19分、イタリアがCHデロッシのスルーパスに右SBダルミアンが走り込むと、イングランドもOHバークリーがシュート。両チーム、見応えのある攻防が続く。28分にはイタリアがCFバロテッリに代えてインモービレ、イングランドがヘンダーソンに代えてウィルシャーを投入する。
 前半はストゥーリッジ、スターリング、ウェルベックと個の力を前面に出して戦っていたイングランドだが、1点ビハインドでパスを繋げる選手たちに交代し、連携プレーを模索する。しかし30分過ぎ、CHジェラード、CFストゥーリッジと足を攣る選手が増えてきてミスが多くなる。ストゥーリッジは34分、ララーナに交代。ルーニーをCFに上げる。イタリアも同じ34分、カンドレーバに代わりパロールを投入。
 40分、PA前のFKのチャンス。ルーニーを押しのけてジェラードが蹴るがバーの上。しかしルーニーも42分、OHバークリーのドリブルからスイッチしてミドルシュートを放つが、やはり抑えきれない。イングランドの選手に疲れが目立つ。追い込まれて焦るイングランドを尻目に、イタリアは細かくポジションを変えて巧く守っていく。アディショナルタイム4分にはピルロのブレ球FKがバーを叩く。そしてタイムアップ。イタリアがバロテッリの決勝点を守って2-1で逃げ切った。
 イングランドは今シーズン好調だったリバプールの選手を中心に、個人技を前面に出して攻めていったが、逆に言えば、連携はイマイチ。これに対してイタリアはピルロがタクトを振るい、組織的に攻めて守った。巧いイタリアに対して強さのイングランド。どちらも特徴のよく出たゲームだったが、結果は柔よく剛を制す。イタリアが勝利した。イングランドの強さはウルグアイには勝るんだろうか。スアレスとの力勝負も楽しみだ。スアレス、出場しないかな。