とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

ラ・ロハの終焉。スペインはチリの闘志の前に凡庸なチームになり下がってしまった。

 オランダ戦後半、ロッベンらの個人能力の前になす術もなく大量得点を奪われ敗戦を喫したスペイン。その終了間際、デルボスケ監督がベンチに座る選手たちの頭をなでて回ったシーンが印象に残っている。選手たちの悲しそうな顔とともに。だが、結局、彼らの顔に笑顔が戻ってくることはなかった。楽しい宴はホテルの中ではあったのかもしれないが、スタジアムとサポーターたちと共に楽しむことはなかった。ラ・ロハの終焉だ。いや、それ以上にチリがよかったのだろうか。確かにチリは闘志を持って戦った。むしろ、スペインの凋落を決定づけるのにふさわしい相手と言うべきではなかったか。
 序盤1分、FWサンチェスから大きく左に展開、左WBメナのクロスにOHビダルが飛び込む。サンチェスのCKからCBハラがヘディングシュート。チリが高い位置から厳しいプレスを仕掛けていく。スペインはパスにいつもの正確性とリズムが見られない。15分、OHダビド・シルバからCFジエゴ・コスタのシュート。左SHイニエスタのクロスにCHシャビ・アロンソがシュート。だが、GKブラヴォがナイスセーブを見せる。
 そして20分、FWサンチェスが中盤でボールを奪うと、OHビダルが落とし、サンチェスのスルーパスにCHアランギスが抜け出す。ゴール前に落としたボールにFWバルガスが走り込み、切り返してシュート。チリが先制点を挙げた。
 スペインも23分、左SHイニエスタのクロスからCFジエゴ・コスタが落とし、CHシャビ・アロンソミドルシュート。27分、左SBジョルジ・アルバのクロスをD.シルバがヘッドでつなぎ、CFジエゴ・コスタがシュートを放つが、サイドネット。スペインが前掛かりになって反撃をするが、チリのプレスが速く、孤立する。逆にパスが繋がり、組織的に戦うのはチリ。スペインがやるべきサッカーをチリがやっている。多くの選手が次々と走り込み、いきいきと躍動するチリに対して、パスが繋がらず孤立するスペインの選手たちが困惑の表情を浮かべる。そして43分、サンチェスのFKをGKカシージャスが弾くと、CHアランギスが走り込んで押し込む。チリ2点目。スペインを突き放した。
 スペインは後半開始からCHシャビ・アロンソに代えてコケを投入する。それで前半よりは多少パスが回るようになったか。4分、左SHイニエスタのスルーパスにCFジエゴ・コスタがシュート。8分にはCBセルヒオ・ラモスのFKが力なくGKブラヴォの正面へ。はね返りをCFジエゴ・コスタがオーバーヘッドでクロスを入れるが、ゴール正面でフリーになったCHブスケスがうまう合わせられない。
 そして失速するスペイン。19分、スペインはCFジエゴ・コスタに代えてフェルナンド・トーレスを投入。チリもCHアランギスをグティエレスに交代する。23分、カウンターでFWバルガスが前に運び、左WBメナのクロスに右WBイスラが飛び込みシュート。26分、今度はFWサンチェスがカウンター。ドリブルからクロスにCHグティエレスがヘディングシュート。30分にもFWサンチェスがドリブルでライン際まで走り込んでクロスを入れる。
 スペインは31分、右SHペドロに代えてカソルラを投入する。35分、左SHイニエスタの落としから右SHカソルラミドルシュート。39分、左SHイニエスタミドルシュートはGKブラヴォがナイスセーブ。40分、CKからCBセルヒオ・ラモスがヘディングシュートを放つが、いつもの力がない。43分、カソルラのFKもGKブラヴォがファインセーブを見せた。
 結局、後半はスペインの凋落を見せつけるかのような45分。いつまでも元気に走り回るチリに対して、スペインの選手たちが先に疲れて、運動量も落ちてしまった。そしてタイムアップ。0-2でスペインが完敗。そしてグループリーグ敗退。スペインの時代が終わりを告げた。引導を渡したのはチリ。サッカーの変化を象徴するようなゲームだった。