とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

3位決定戦も完敗でブラジル誇りの崩壊。サッカー王国終焉の予感。

 準決勝大敗のショックを覆し、王国の誇りを守りたい。そんなゲームだったはずが、前半2分、ロッベンの突破にPKの判定。開始3分で失点して、誇りの挽回は脆くも葬り去られた。ゲームを通じ、主審に問題があったとは思うが、こうやって敗れるというがいかにも象徴的。サッカー王国ブラジルの終焉を予感させるようなゲームだった。
 オランダは直前の練習でスナイデルが負傷。ケガを抱えるデヨングも欠場でデグズマンとクラシーが先発したが、あとはレギュラーメンバー。カイトはこの日も右WBで先発した。対するブラジルはCFフレッジに代えてジョー。オスカルをOHに下げて、SHはウィリアンとラミレス。CHはルイス・グスタボとパウリーニョが先発した。
 前半2分、GKシレッセンからのフィードをFWロッベンがヘディングで競ると、こぼれたボールをFWファンペルシーがスルーパスロッベンが抜け出すと、CBチアゴ・シウバが肩に手を掛けて倒す。PA前に見えたがPKの判定。これをファンペルシーが決めて開始早々にオランダが先制する。結局これでゲームが決まってしまった。もっともPKにならなくてもチアゴ・シウバは本来なら一発レッドでもおかしくないプレーだった。
 6分、左SHウィリアンのスルーパスにOHオスカルが走り込みクロスを入れるが、CFジョー、右SHラミレスが届かない。10分、左SBマクスウェルのクロスもCBマルティンス・インディがクリア。CFジョーがボールに触れない。
 すると16分、右WBカイトからFWロッベンのスルーパスにOHデグズマンが走り込み、クロスをいったんはCBダビドルイスがクリアするが、クリアボールに左WBブリントが走り込みシュート。オランダが追加点を挙げた。ブラジルの中盤の守備がガラガラ。CHパウリーニョが全く消えている。中盤にぽっかり穴が空いていた。
 ブラジルは21分、OHオスカルがドリブルで中に切れ込んでシュート。GKシレッセンがナイスセーブ。23分、左SHウィリアンのスルーパスにOHオスカルが抜けかけるが、トラップをミスしてチャンスをつぶす。38分、オスカルのFKをCHルイス・グスタボがフリックするが、CHパウリーニョダビド・ルイスが届かない。オスカルがネイマールの穴を埋めようと必死に走り回るが、今度はオスカルの代わりに走る選手がいない。
 特にCHパウリーニョがひどい。ほとんど歩きっ放しで動けず、OHオスカルが中盤底まで下がって守備をする始末。全体的にミスが多く、攻撃の連携が見られない。前半は0-2で終えた。
 さすがにスコラーリ監督もハーフタイムで選手交代。CHフェルナンジーニョを投入すると思えば、交代はルイス・グスタボ。少しでも攻撃力をという気持ちはわかるが、この日のパウリーニョはあまりにひどい。6分、パウリーニョがボールを持つが、パスを出せずに結局奪われる。12分、ついにパウリーニョに代えてエルナネスを投入した。
 するとしばらくエルナネスが奮闘する。15分にはOHオスカルの縦パスに右SHラミレスが反転からミドルシュート。枠を外す。ラミレスもよくがんばってはいるが、右SHでは荷が重い。ブラジルの攻撃に創造性が生まれない。ネイマールの不在があまりに大きい。逆に言えば、ネイマール以外、ブラジルの魔法を受け継ぐ選手がいない。伝統の消滅。
 18分、ダビド・ルイスのFKはGKシレッセンの正面。23分、OHオスカルがドリブルでPA侵入。左WBブリントが倒すが、なぜかオスカルにシミュレーションの判定。イエローカードを提示する。主審があまりにひどい。予備審判の西村さんに主審を務めてもらいたかった。結局、西村さんは開幕戦のPK判定でその後、1回も笛を吹く機会が与えられなかった。残念。
 ブリントは25分、右WBヤンマートに交代。ブラジルも28分、右SHラミレスに代えてフッキを投入。30分、OHオスカルのクロスをCFジョーが落とし、左SHフッキが強引にシュート。枠を外す。34分、OHオスカルが左サイドを突破してミドルシュート。しかし枠を大きく外す。オスカルにも疲れが覆い被さる。36分、OHオスカルの長いスルーパスに右SHウィリアンが走り込むが、クロスはGKシレッセンがセーブした。
 逆に37分、オランダもFWロッベンが後方からのフィードにPA内に走り込む。CHフェルナンジーニョが後ろから倒すが、PKの笛は吹かれず。うーん、主審の笛の基準がわからない。そしてアディショナルタイム、右WBヤンマートが自陣でボールを奪うと、CHワイナルドゥムがFWロッベンに預ける。ロッベン、ドリブル。そして右サイドを上がった右WBヤンマートにスルーパス。ヤンマートのクロスに走り込んだのはワイナルドゥム。シュートを決めてダメ押しの3点目。献身的に走るオランダの特長がよく表れたゴールだった。
 そしてアディショナルタイムにはCHフェルトマン、さらにGKフォルムが交代出場。今大会で23人全員を起用した。逆にブーイングを浴びるブラジル。場内響き渡るブーイングの中、タイムアップの笛が鳴った。ブラジルの失望。王国の崩壊。誇りが地に落ちた瞬間だった。
 結局、今大会のブラジルは守備のチームだったが、ネイマール以外の攻め手が見られなかった。創造性がなければ普通のチーム。もうブラジルも怖くない。ブラジルの凋落を印象づける大会となってしまった。明日の決勝戦も楽しみだが、今大会のメインイベントの半分は終わってしまった感じ。喪失感の漂う3位決定戦だった。