とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

最後はマスケラーノのスライディングが届かず、メッシのFKが空を飛んだ。GKノイアーのバリアにシュート決まらず、ドイツ優勝。サッカーの新時代の始まりを告げる大会だった。

 W杯決勝戦は最後まで手に汗握る接戦だった。アルゼンチンの方が多くのチャンスを作りゴールに迫ったが、GKノイアーのバリアは最後まで破れず、無得点のまま、ゲームを終えた。総合力に勝るドイツの勝利だった。
 立ち上がり、アルゼンチンのプレスの速さに驚いた。勝利への意欲がみなぎっていた。4分、ドイツのFKから一転カウンター。DFのフィードに右SHラベッシが抜け出し、最後はCFイグアインがシュート。9分にもOHメッシが右サイドをドリブル突破。クロスを入れるが、中を走るイグアインらに合わない。
 序盤攻勢をかけたアルゼンチンだったが、ゲームが落ち着くと、ドイツがパスを回し、アルゼンチンがカウンターを狙う体制に落ち着いていく。だがお互い守備が堅い。21分、GKノイアーのフィードからCHクロースがヘディングでバックパス。これを残っていたCFイグアインが拾い、GKと一対一。だが、GKノイアーの迫力の前にシュートは枠を外す。その後もこうしたシーンが何度も見られる。
 30分、OHメッシから右に展開、右SHラベッシのクロスにCFイグアインがシュート。ネットに突き刺しゴールを喜ぶがオフサイドの判定。35分、右SHラベッシのドリブルからOHメッシが受け継ぐが、DFにつぶされる。ラベッシのドリブル突破はよく効いていた。
 アルゼンチンは32分、CHで先発したクラマーが負傷で交代。左SHシュルレが出場。エジルをトップ下にCHにシュバインシュタイガーとクロースを並べる布陣に変更する。すると37分、SHミュラーが左サイドをドリブルで突破し、クロスにSHシュルレがシュート。GKロメロがファインセーブで抑える。40分、OHメッシがドリブルで右サイドを駆け上がり、最後はGKノイアーもかわすが、CBボアテングがクリア。メッシは最後まで孤立していた。
 43分、CHマスケラーノパスミスをクローゼが奪い、右に展開。右SHミュラーのクロスをOHエジルが落として、CHクロースがシュート。これもGKロメロがナイスセーブ。アディショナルタイムにはクロースのCKをCBヘベデスがヘディングシュート。ポストを叩き弾き返される。前半は序盤アルゼンチンが押し込んだが、ドイツが盛り返す。お互いチャンスは作るが、ゴールが遠い展開。前半は0-0で終わった。
 後半最初からアルゼンチンは右SHラベッシに代えてFWアグエロを投入。ラベッシに故障でもあったか。ペレスをやや下げて、4-3-3の布陣とする。2分、CHビリアのスルーパスにOHメッシが抜け出しシュートを放つも、ポストの右。メッシのシュートもGKノイアーが放つ精神的バリアを破れない。14分、右SBラームのクロスにCFクローゼがヘディングシュート。GKロメロがセーブ。お互い厳しい攻防が続く。ゴール前までは迫るが、なかなかシュートが打てない、30分にはOHメッシが中に切れ込むドリブルからミドルシュート。だが枠に決まらない。
 90分で勝負をつけたいアルゼンチンは33分、CFイグアインに代えてFWパラシオを投入。すると直後の33分、FWアグエロポストプレーからOHメッシがドリブル。スルーパスにパラシオが抜ける。だがそこにGKノイアーが飛び出てクリア。どうしてもGKノイアーが立ちはだかる。41分にはCHペレスに代えてガゴを投入。中盤の運動量を補填する。ドイツは43分、CFクローゼに代えて若いゲッツェを投入。しかしこのまま90分が終了。勝負は延長戦にもつれ込んだ。
 延長前半1分、CFゲッツェの落としから左SHシュルレがシュート。GKロメロがナイスセーブ。ドイツは若くてフレッシュな二人のFWが躍動する。アルゼンチンも2分、FWパラシオのスルーパスにFWアグエロがシュート。だがまたもポストの右。GKノイアーの壁をどうしても破れない。7分には左SBロホのクロスにFWパラシオが抜け出し、GKと一対一。GKノイアーの上を越すループシュートを放つが、わずかにコースを外してしまう。GKノイアー、恐るべし。
 延長後半に入って、アルゼンチンの動きがめっきり落ちてきた。やはり準決勝でPK戦まで戦った影響がここになって出てきた印象。2分、CHシュバインシュタイガーに対してCHビリアとCHマスケラーノが二人してスライディング。マスケラーノが必死の守備でドイツの攻撃の芽を摘む。4分、CHシュバインシュタイガーとFWアグエロが接触。シュバインシュタイガーは大量の血を流すが、根性でピッチに戻ってくる。
 そして8分、左SHシュルレが左サイドをドリブルで上がると、DF二人を置き去りにし、最後はCHマスケラーノがスライディングをするが届かず、CBデミチェリスの頭を越すふわっとしたクロスにゲッツェが走り込んでシュート。ついにドイツがゴールを挙げた。気落ちするアルゼンチン。そして場内のサポーターたち。12分にはCHビリアから左に展開。左SBロホが走り込むが、その前にGKノイアーが飛び出してきてクリア。GKノイアー、さすがの動きと判断を見せる。
 それでもあきらめないアルゼンチンは13分、左SBロホのクロスにOHメッシがヘディングシュート。だがわずかにバーの上。そしてアディショナルタイム3分、最後のFKのチャンスにメッシが蹴ったボールは高く枠を外した。万事休す。タイムアップの笛が鳴り響き、ドイツが4度目の優勝を遂げた。
 若い二人による決勝点。だがそれ以上にGKノイアーの存在感が光った。アルゼンチンのシュートはことごとくGKノイアーを避けて、枠外へ外し続けた。そして最後はアルゼンチン最後の砦マスケラーノの足先を抜けてのクロスからゴールが決まる。アルゼンチン、万策尽きた。全精力を振り絞っての敗戦。MVPを受賞したメッシの虚ろな表情がその全てを物語っていた。
 決勝にふさわしい面白いゲームだった。ドイツは前回大会でもそのプレー振りが光ったが、それを2大会かけて練り上げてきた感じ。総合的にバランスの取れた完璧なサッカー。いかにもドイツらしいサッカーだ。スペインがそうだったように、次のロシア大会に向けて全世界がドイツのサッカーを追いかける。ネイマールハメス・ロドリゲス、ポグバ。若い才能も煌めいた。また世界のサッカーは新しい時代に入った。それを実感したブラジル大会だった。