とんま天狗は雲の上

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チンパンジーはヒト科の仲間。人間とチンパンジーの違いは「想像するちから」

 愛知県犬山市京都大学霊長類研究所がある。当研究所の松沢哲郎教授による「想像するちから〜チンパンジーが教えてくれた人間の心」と題する講演会を聞く機会があった。気さくな語りや楽しい話に会場は大盛上がり。あまりに面白かったので、少しメモにして紹介する。
 最初は、サルの話。青森に棲むニホンサルは世界に棲息するサルの北限地で、別名スノーモンキーとも呼ばれる。ちなみにしっぽがあるのがサル=モンキーで、尻尾がない種類をエイプと呼び、ヒト科に分類される。ヒト科にはヒト属ヒト種の他に、オランウータン、ゴリラ、チンパンジーの3つの属があり、チンパンジー属はさらにチンパンジーとボノボに分かれる。
 霊長類研究所では1976年からチンパンジーのアイを対象に、「アイ・プロジェクト」と題する研究を始め、チンパンジーの行動を通して「人間とは何か?」について研究をしている。例えば、1から9までの数字を一瞬見せて白くブランクにすると、チンパンジーは数字が隠れた後もブランクをちゃんと順番どおり示すことができる。人間にはとてもできない業だ。また、人間の子供とチンパンジーに顔の書かれた線画を示すと、どちらも線に沿って絵をなぞるが、目や鼻を抜いた絵を見せると、人間の子供は目鼻を付け加えるのに対して、チンパンジーはけっしてそういうことはしない。これらの実験から、彼らは、今「あるもの」に対しては人間以上に賢い行動を示すことができるが、「ないもの」に対してそれを補うという行動ができないことがわかる。
 これこそが人間とチンパンジーを分けるもの。すなわち「想像するちから」が人間には備わっていると指摘する。詳細は先生の著書「想像するちから」(岩波書店)に書かれているとのこと。さっそく市の図書館に予約した。