とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

フットボール批評issue02

 今回、本書を手に取って非常にショックを受けた。「何だ、サッカー批評は、名前を変えてちゃんと継続しているじゃないか!」
 7月に「次号からサッカー批評が大きく生まれ変わります」と書かれており、9月にそのあまりの変わりようにびっくりした。そしてもう二度と「サッカー批評」は購読しないぞと思った。それでもissue02の案内がAmazonから来て、内容が面白そうだったので、今号だけと思って恐る恐る注文した。そして手に取ってみたら・・・。何と、「サッカー批評」は「フットボール批評」と名前を変えて継続されていた。逆に言うと、「サッカー批評」と言う名前を使ってミーハー向けの雑誌を作り続けている双葉社に対して怒りを覚える。いやいい、もう二度と間違えないから。この内容なら満足。issue01もどこかで手に入れて読まなくては。
 「フットボール批評issue02」の特集は「サッカーを知らない日本人」。戦術理解や守備面でいかに日本人サッカー選手がサッカーを知らないか、劣っているかが、さまざまな論客によって語られる。スペイン人から見て、イタリア人から見て、オシムから見て。その結果としてのAFC U-19、U-16敗退ではなかったか。そう思うとこれは相当に深刻な話だ。
 巻末に岡野俊一郎日本サッカー協会会長のインタビュー記事が連載されている。そこでは協会の閉鎖的な体質への批判がされているが、日本人サッカー選手の課題が協会から発してるとすれば問題だ。長期的な展望が要求される。
 「フットボール批評」と名前が変わって、出版も「カンゼン」自らが行う形となり、内容もいい意味で昔に戻って、批評精神にあふれている。また継続して読んでいこう。そう決意した。

AFC U-19選手権・・・初戦の中国戦での敗戦(1-2)は衝撃的だった。なぜなら、2ゴールを決められたのがポルトガル1部のボアビスタに所属するMFい世豪であり、「欧州を活用した個の育成」を国策として採用してきた中国のプロジェクトの脅威が現実のものとなったからだ。・・・育成世代における戦術指導不足と戦術理解力の欠如を認めた上で、早急な対策を打ち出さなければ、そう遠くない将来A代表においてもアジアのライバル国に足をすくわれ、W杯の出場権を逃す最悪の事態が訪れることになる。(P015)
●監督は試合が始まってしまえば割り切りが必要なんだ。映画監督と違って、リテイクはないから。こちらがカリカリして選手が萎縮したら悪循環に陥る。これをやったら怒られる、次の試合メンバーから外されると縮こまっちゃう。そうなったら悲惨だよ。チームから躍動感が消え失せ、インテリジェンスを発揮する余裕なんてない。そんなサッカーは御免だね。(P053)
●僕もJリーグの選手にセカンドキャリアについて話す機会がありますが、そんな時は、引退後のことよりもまず今、サッカーに100%力を注いで下さいと言うんです。それが出来ないと簡単な人生は待っていませんよと。現役時代に悔いなく全力を注ぐことが出来れば、結果、成功しようが、失敗しようが良いんです。そういう経験をしている人間というのは普通の社会ではできないような経験をすでにしているんだから次のステージでも報われるんです。サッカーに真摯に向き合った苦労は絶対に生きる。(P080)
●「テンポラリーな狂気」こそが、実は、サッカーの華であり、フットボールの果実だということだ。別の言い方をするなら、われわれが、サッカーを通じて経験したいと願っているのは、自分たちが「普通でなくなる瞬間」それ自体なのである。(P105)