とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

W杯アジア二次予選 日本対カンボジア

 シンガポール戦から2ヵ月半。屈辱の最下位に終わった東アジア杯の結果を踏まえ、いかに多くのゴールを挙げて勝利するかがこのゲームのテーマだった。だがわずか3点。何度も決定機を逃す姿に、日本代表の病巣を見る思いがした。1勝ができなかったくらいでカンボジア相手にこれだけナーバスになってどうするんだ。日本代表の課題はその精神面にある。そのことを痛感したゲームだった。

 序盤から日本が圧倒的にゲームを支配した。4分、右SH本田のスルーパスに右SB酒井宏樹が抜け出し、クロスに左SH武藤がシュート。しかしミス。DFがクリア。7分、香川のCKを左SH武藤がフリック。CB森重がバックヘッドを見せるがDFが手でクリア。でもハンドは取らず、森重のファール。10分、右SB酒井から中へパス。CH長谷部の縦パスにOH香川が走り込んでシュートを放つが、DFがクリア。13分、右SB酒井のクロスに左SH武藤がシュート。DFがブロック。

 右サイドは右SB酒井宏樹が積極的に上がり、左SH本田との連携もよく、再三サイドを破ってはクロスを入れるが、ゴール前で人数をかけて守るカンボジアの守備の前に、シュートがことごとくDFに当たってしまう。28分、CH山口からのサイドチェンジを受けて右SB酒井がクロス。CF岡崎が落としたボールを左SB長友がシュートを狙うが、空振り。19分、左SH武藤の縦パスに反応したCF岡崎がシュートを放つも、わずかにポストの右。22分、左SH本田のクロスにCB吉田がヘディングするが、枠の外。本田にゲーム勘が戻っていないのか、パスミスが多く、コースがずれる。23分、右SH本田のクロスにCH長谷部がシュート。これもDFにブロックされる。

 シンガポール戦を思い出す嫌な展開。そう思い出した28分、右サイドから前が少し空いた本田が積極的にミドルシュート。目の前のDFの頭の上を通り、GK正面も手を弾いてゴールに吸い込まれる。ようやく日本が先制点を挙げた。

 それでもその後も日本の攻撃はなかなか波に乗れない。30分、右SB酒井のクロスにOH香川がシュートするも、ミスキック。カンボジアの唯一のシュートは35分。CHビーン・チャンタッチアリーのFKにFWクーン・ソックンペアックがヘディングシュート。GK西川が正面でキャッチした。ちなみにカンボジア人の名前には姓がないそうで、前に付くのが親の名前、後ろが自分の名前。NHKは前の名前を読んでいたけど、どちらがいいのだろうか。

 40分、OH香川がCH山口とのワンツーで走り込みシュート。しかしGKスー・ヤーティーがナイスセーブ。はね返りを打ったCF岡崎のシュートもGKスー・ヤーティーがファインセーブで弾き出す。なかなかシュートが決まらない。42分、CF岡崎の落としから左SH武藤がクロス。OH香川がゴール前でフリーにも関わらずクリアしてしまう。うーん。香川自身、ポストを蹴飛ばして悔しがっていたが、ゴールを決めなくてはという意識が身体を縛り付けている感じ。精神的に余裕がない。前半は本田のよく言えば思い切った、悪く言えば適当に蹴った、強烈なミドルシュートが決まり、日本が何とか1点をリードして終えた。

 後半も同じ展開。1分、CH長谷部のクロスに左SH武藤がヘディングシュート。NHKの解説で山本昌邦氏が「武藤が中に早く入り過ぎ」と指摘する。確かに左SH武藤がすぐに中に入っていってしまうため、ゴール前が混雑し、左SB長友もパスを預ける相手がおらず、単独突破を試みるばかり。右サイドに比べ、左サイドからは有効な攻撃は一切なかった。

 それでも5分、CH山口が横に流したパスにCB吉田が上がって地を這うミドルシュート。これが決まり、日本が追加点を入れる。7分、OH香川の縦パスにCF岡崎のヘディングシュートは体勢が悪く枠に飛ばない。後半9分くらいから武藤をFWに上げて、香川を左SHに張る4-4-2の布陣に変更。これで長友と香川の左サイドの関係がようやく落ち着く。10分、FW武藤が左に流し、左SH香川が切り返してミドルシュート。しかしGK正面。15分、右SH本田のミドルシュートは左SB長友がヘディングクリアか? 香川が開くことで長友が中に入ってくるが、それが大して効果的とも思えない。

 それでも16分、CH山口の縦パスを右SH本田が縦につなぎ、FW岡崎がシュート。武藤もやってきてDFが集まり密集の中、こぼれたボールを外側から走り込んだ左SH香川がシュート。これが決まり、日本が3点目を挙げた。ゴール前でボール近くに集まるより、少し距離をとってスペースを狙う方がゴールは近くなる。幼稚園の頃からわかっていたことじゃないのか。

 20分には武藤に代えてFW宇佐美を投入する。21分、左SB長友のクロスにFW宇佐美がミドルシュート。しかしDFがブロックする。宇佐美もこのところ調子が上がらない。Jリーグでも7月以降ゴールがない。27分、CH山口の縦パスをFW岡崎が落とし、FW宇佐美がミドルシュート。GKスー・ヤーティーがナイスセーブ。宇佐美にもゆとりがない。

 33分にはFW岡崎に代えて興梠、さらに38分、右SH本田に代えて原口を投入する。42分、FW宇佐美がドリブル。OH香川とのワンツーからシュートを放つも、これもGKスー・ヤーティーがファインセーブ。45分、宇佐美と香川のワンツーから右に流して、右SH原口がシュート。原口もDFに引っ掛けてしまった。

 結局最後まで、シュートは打てども打てども、DFとGKにブロックされ、セーブされ、終わってみれば3-0。勝利はすれど、満足にはほど遠い。ゲーム前のハリルホジッチ監督がインタビューで「10点取れれば」といった発言をしていたが、それがプレッシャーになってしまったか、最後まで堅さが取れず、思い切ったシュートだけが3本決まったゲームだった。

 次はすぐにイランに飛んでアフガニスタン戦。中立国でのゲームとなったが、日本は立ち直ってくれるだろうか。このゲームが少しでも教訓となり、押しっ放しではなく余裕を持ってスペースを作って攻めることができればいいのだが、そこまでのゆとりはまだ日本の選手にはなさそうだ。少なくとも勝利はしなくては。そうでないとハリルホジッチ監督の去就問題にも発展しかねない。厳しいアウェイゲームとなる。大丈夫かな、日本代表。